分野: 積分


シュワルツの不等式の積分バージョン:
$\displaystyle\left(\int_p^q f(x)^2dx\right)\left(\int_p^q g(x)^2dx\right)\\
\geq\displaystyle\left(\int_p^q f(x)g(x)dx\right)^2$

等号成立条件は $g(x)=tf(x)$ となる $t$ が存在する(または $f=0$)こと。

シュワルツの不等式の積分バージョンを紹介します。


三角関数と指数関数の積の積分は部分積分を2回行って求めるのが定石ですが,計算量も多くミスしやすいので,公式として覚えておくとスピードアップや検算に役立ちます:

$\displaystyle\int e^{ax}\cos bxdx=\dfrac{e^{ax}}{a^2+b^2}(a\cos bx+b \sin bx)+C$
$\displaystyle\int e^{ax}\sin bxdx=\dfrac{e^{ax}}{a^2+b^2}(a\sin bx-b \cos bx)+C$


$m, n$ が $0$ 以上の整数のとき,以下のような積分公式が成立する(ベータ関数の積分公式):

(i) 第一種オイラー積分
$\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)^m(\beta-x)^ndx=\dfrac{m!n!}{(m+n+1)!}(\beta-\alpha)^{m+n+1}$

(ii) 特に,$\alpha=0, \beta=1$ とすると,
$\displaystyle\int_0^1 x^m(1-x)^ndx=\dfrac{m!n!}{(m+n+1)!}$


公式1:$\displaystyle\int \dfrac{dx}{\sqrt{x^2+a^2}}=\log(x+\sqrt{x^2+a^2})$
公式2:$\displaystyle\int \sqrt{x^2+a^2}dx=\dfrac{1}{2}(x\sqrt{x^2+a^2}+a^2\log(x+\sqrt{x^2+a^2}))$

今回はマニアックな不定積分の公式です。 $\sinh$(ハイパボリックサイン)の逆関数のような形が出現しています。積分定数は省略していますが,答案では忘れないでください!


面積は微分の逆の操作を用いて求めることができる。

一見面積とは無縁な微分という操作の逆を考えることで面積が求められるというのは驚きです。


極方程式と面積

$r(\theta)$ が連続関数のとき,極方程式 $r=r(\theta)$ で表される曲線と $\theta=\alpha, \beta$ で囲まれる部分の面積は,
$\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\dfrac{1}{2}r(\theta)^2d\theta$

レベル: 基本公式    

覚えておくべき積分公式をただひたすら一覧形式で列挙しました。いずれも積分後の式を微分することで確かめることが出来ます。


バウムクーヘン分割の図

バウムクーヘン分割:
連続関数 $y=f(x)$,$x$ 軸,$x=\alpha,x=\beta\:$(ただし $0\leq \alpha <\beta$)で囲まれた図形を $y$ 軸の回りに回転させてできる立体の体積 $V$ は,
$V=\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}2\pi x|f(x)|dx$

難関大受験者は知っておくべき有名な求積テクニックです。


パップスギュルダンの定理:
面積が $S$ である平面図形 $A$ がある。 $A$ を直線 $l$ の回りに回転させてできる回転体の体積 $V$ は, $V=2\pi g_xS=$(重心の移動距離) $\times S$
($g_x$ は重心と回転軸の距離)
ただし,$A$ を回転させる過程で $A$ 自身とは重ならないとする。


傘型分割

傘型分割:
$y\leq mx,\:y\geq f(x),\\\:a\leq x\leq b$
が定める図形を $l:y=mx$ の回りに回転させてできる図形の体積 $V$ は,
$V=\pi\cos\theta\displaystyle\int_a^b(mx-f(x))^2dx$
ただし,$\theta$ は $l$ と $x$ 軸のなす角で,$\tan\theta=m$


ガウスグリーンの定理

ガウスグリーンの定理:
$x=x(t),\:y=y(t)$ と媒介変数表示された曲線 $C$ がある。 $\alpha\leq t\leq \beta$ の範囲で $t$ の増加とともに $(x(t),y(t))$ が原点中心に反時計回りに動くとき,動径が掃いた部分の面積は, $S=\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\dfrac{1}{2}(xy’-yx’)dt$


弧長積分1:$f$,$g$ が連続かつ微分可能で $f’$,$g’$も連続とする。
$x=f(t), y=g(t)$ と媒介変数表示された曲線 $C$ の $\alpha\leq t\leq \beta$ の部分の長さは, $\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\sqrt{f'(t)^2+g'(t)^2}dt$

弧長積分2:$f$ は連続かつ微分可能で $f’$も連続とする。
$y=f(x)$ で表される曲線 $C$ の $a\leq x\leq b$ の部分の長さは, $\displaystyle\int_{a}^{b}\sqrt{1+f'(x)^2}dx$


$n$ 次元単位超球の体積は, $V_n=\dfrac{\pi^{\frac{n}{2}}}{\Gamma(\frac{n}{2}+1)}$

$\Gamma(x)$ はガンマ関数と呼ばれるものです。 $x$ が整数のときには $\Gamma(x)=(x-1)!$ です。

この記事の目標は $V_n$ の導出です。ガンマ関数とか重積分をできるだけ使わずに高校数学で(ほとんど)理解できるようにしています。


置換積分を行うときには変数を置き換えるだけでなく,微分をかけるのを忘れないように。定積分の場合は積分区間の変更も必要。

置換積分(不定積分)の例題→公式の証明
置換積分(定積分)の例題→公式の証明
の順に解説します。


対数関数の不定積分: $\displaystyle\int \log xdx=x\log x-x+C$

対数関数の積分公式の証明および発展形について解説します。数学が得意な人にとっては前半は簡単かもしれません,発展形2がオススメです。


$\displaystyle\int \tan xdx=-\log |\cos x|+C$
$\displaystyle\int \tan^2 xdx=\tan x-x+C$
$\displaystyle\int \tan^n xdx=\dfrac{1}{n-1}\tan^{n-1}x-\int\tan^{n-2}xdx$

$\tan x,\tan^2x,\tan^n x$ の不定積分についてそれぞれ解説します。いずれもタンジェント特有の技を使います。なお,$C$ は積分定数です。


三角関数の有理式の積分は $\tan\dfrac{x}{2}=t$ と置換することによって必ず計算できる。

多項式÷多項式の形の式を有理式(有理関数)と言います。 $\sin x, \cos x$, ($\tan x$)の有理式の積分は機械的な計算でできます!


定積分で表された関数の微分の公式:
$\displaystyle\frac{d}{dx}\int_a^xf(t)dt=f(x)$
(ただし,$f(t)$ は $t$ に関する1変数の関数)

このページでは,定積分で表された関数の微分公式の証明,例題,より一般的な公式について解説します。


$0$ 以上の整数 $n$ と,$\displaystyle\sum_{k=1}^n|a_k|\leq 1$ を満たす実数 $a_1,\cdots, a_n$ に対して,
$\displaystyle\int_0^{\infty}\dfrac{\sin x}{x}\left(\prod_{k=1}^n\dfrac{\sin a_kx}{a_kx}\right)dx=\dfrac{\pi}{2}$


微分すると $f(x)$ になるような関数 $F(x)$ を $f(x)$ の原始関数と言う。

前半は簡単な具体例です。後半は原始関数が初等関数で表せない具体例を紹介します。


回転体の体積

$y=f(x)$,$x=a$,$x=b$,$x$ 軸で囲まれた領域を $x$ 軸のまわりに回転させてできる図形の体積は,
$V=\displaystyle\int_{a}^b\pi \{f(x)\}^2dx$

例題,証明,および回転体の体積を求める他の公式について。


$1$ と $\sqrt{2}$ の算術幾何平均 $M(1,\sqrt{2})$ は,単位円周の長さ $l=2\pi$ とレムニスケートの長さ $L$ の比に等しい:
$M(1,\sqrt{2})=\dfrac{l}{L}$

「算術幾何平均」や「レムニスケートの長さ」については後述します。非常に美しい定理です。


$\displaystyle\int_0^{\infty}\dfrac{x^3}{e^x-1}dx=\dfrac{\pi^4}{15}$

Planck の法則から Stefan–Boltzmann 定数を計算するときに登場する広義積分です[1]。


極座標における回転体の体積公式

極座標平面において,図のように $\theta=\alpha,\:\theta=\beta,\:r=r(\theta)$ で囲まれた,$x$ 軸の上側にある図形を $D$ とする。$D$ を $x$ 軸(始線)の回りに回転させてできる立体の体積は,
$\dfrac{2}{3}\pi\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} r(\theta)^3\sin\theta d\theta$

極座標における回転体の体積公式について,例題と証明方法などを紹介します。