三辺の長さが $a, b, c$ の三角形の外接円の半径を $R$, 面積を $S$ とおくとき以下の美しい関係が成立する。
$S=\dfrac{abc}{4R}$
分野: 平面図形
三角形の3辺の長さから素早く面積を求める公式です。

3辺の長さが $a, b, c$ の三角形の面積 $S$ は,
$S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$
ただし, $s=\dfrac{a+b+c}{2}\\$
内心と外心の距離を求める公式です。
内接円の半径を $r$,外接円の半径を $R$ とおくとき,外心 $O$ と内心 $I$ との距離 $d$ は以下の式で表される:
$d^2=R^2-2Rr$
非常に美しい定理です。
トレミーの定理:円に内接する四角形 $ABCD$ において, $AB×CD+AD×BC=AC×BD$

非常に美しい定理で応用も広いです。
大学入試問題では,検算に用いる場合が多いです。
本記事ではトレミーの定理の2通りの証明と,トレミーの定理の応用例を3つ紹介します。まずは応用例から!
ブラーマグプタの公式;
円に内接する四角形 $ABCD$ において $AB=a, BC=b, CD=c, DA=d$ とおくと,四角形 $ABCD$ の面積は,
$S=\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}$
ただし, $s=\dfrac{a+b+c+d}{2}$ とおいた。
一般的な四角形の面積を求める公式(ブラーマグプタの公式の一般化)。
ブレートシュナイダーの公式:
四角形 $ABCD$ において,$AB=a, BC=b, CD=c, DA=d$, $∠BAD+∠BCD=θ$とおくと,
四角形の $ABCD$ の面積 $S$ は,
$S=\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)-abcd\cos^2(\frac{\theta}{2})}$
ただし,$s=\dfrac{a+b+c+d}{2}$ とおいた。
四角形が円に内接する場合 $\theta=180^\circ$ より,ブレートシュナイダーの公式はブラーマグプタの公式と一致します。
三角形の五心は有名ですが非常に豊かな性質を持っており,数学オリンピックの初等幾何の証明問題では超頻出です。三角形の五心の定義と重要な性質をまとめておきます。
傍心に関する性質は内心に関する性質とほとんど同じ。傍心,傍接円に関して迷ったらまずは内心,内接円を考えるべし。
最大角が $120^{\circ}$ 未満の三角形 $ABC$ においてはフェルマー点は三角形の内部に存在して, $\angle AFB=\angle BFC=\angle CFA=120^{\circ}$
三角形の面積比,四面体の体積比にまつわる重要な公式を3つ紹介します。

フランクモーリーの定理:
任意の三角形 $ABC$ に対して,3つの角の三等分線どうしが最初にぶつかる点を $P, Q, R$ とおくとき三角形 $PQR$ は正三角形である。

三角形 $ABC$ において,$\angle A$ の二等分線と辺 $BC$ の交点を $D$ とおく。
$AB=a, AC=b, BD=d,$
$DC=e, AD=f$ とおくとき以下の公式が成立する。
$1:ae=bd\\
2:(a+b)f=2ab\cos \dfrac{A}{2}\\
3:f^2=ab-de$

中線定理:
三角形 $ABC$ において,辺 $BC$ の中点を $M$ とおくとき,
$AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)$

チェバの定理:
三角形 $ABC$ と内部の点 $P$ に対して,$AP$ と $BC$ の交点を $D$, $BP$ と $CA$ の交点を $E$, $CP$ と $AB$ の交点を $F$,とおくとき,
$\dfrac{AF}{FB}\dfrac{BD}{DC}\dfrac{CE}{EA}=1$

スチュワートの定理:
三角形 $ABC$ と辺 $BC$ 上の点 $P$ に対して,
$b^2\cdot BP+c^2\cdot CP\\=a(BP\cdot CP+AP^2)$

九点円の定理:
三角形 $ABC$ において,以下の9点は同一円周上にある。
三辺の中点 $A_M,B_M,C_M$
垂線の足 $A_H,B_H,C_H$
垂心と各頂点の中点 $A_N,B_N,C_N$

シュタイナーレームス(Steiner-Lehmus)の定理:
三角形 $ABC$ において $\angle B$ の二等分線と $AC$ の交点を $D$,$\angle C$ の二等分線と $AB$ の交点を $E$ とおく。
$BD=CE$ ならば $\angle B=\angle C$

根心の存在定理:
3つの円が互いに2点で交わるとき,三本の根軸は一点で交わる。
2つの円が2点で交わるとき,その2点を結んだ線を根軸(radical axis)と言います。
三角形の自由度は $3$ である。すなわち,三角形に関して(独立な)3個の情報が与えられたら残りの情報も分かる
任意の円は相似である。
特に,接する2つの円の相似の中心は接点である
特に,2つの円が内接する場合が数学オリンピックで頻出の構図です。

ケージーの定理(Casey’s Theorem):
互いに交わらない4つの円 $O_1,O_2,O_3,O_4$ がそれぞれ点 $A,B,C,D$ で別の円 $O$ に(この順番に)内接しているとき,円 $i$ と $j$ の共通外接線の長さを $l_{ij}$ とおくと,
$l_{12}\cdot l_{34}+l_{14}\cdot l_{23}=l_{13}\cdot l_{24}$
2つの円の位置関係は5通りあり,中心間の距離と半径によって状況が変わってくるのでどのパターンなのか把握することが重要です。このページでは5通りの分類,交点,接線,相似の中心について整理します。

三角形 $ABC$ において各頂点から向かいの辺に下ろした3本の垂線は一点で交わる。その点を垂心と呼ぶ。
図形問題における頻出の構図を2つ紹介します。いずれも線分の長さを最小化する問題です。

定理:三角形 $ABC$ の内接円と辺 $BC$ の接点を $D$ とおく。 $D$ から辺 $BC$ と垂直な直線と内接円の交点を $E$ とおく。さらに $AE$ と $BC$ の交点を $F$ とおくとき, $BD=CF$
問題
正方形の4頂点を結ぶ方法で,使う線分の長さの総和が最も短いものを求めよ
正方形以外の場合にも拡張できますが,正方形の場合の結果が特に有名な問題です。
今年の数学オリンピックの問題です:

問題
鋭角三角形 $ABC$ の辺 $BC$ 上に $\angle PAB=\angle BCA,$ $\angle CAQ=\angle ABC$ となるように取る。また,$AM$ の中点が $P$,$AN$ の中点が $Q$ となるように $M,N$ を取る。
このとき $BM$ と $CN$ の交点 $X$ が $ABC$ の外接円上にあることを証明せよ。
アポロニウスの円がなぜ嬉しいのか?

アポロニウスの定理:
2点 $A,B$ からの距離の比が $m:n$ で一定である点の軌跡は円である。これをアポロニウスの円と呼ぶ。
なお,$m=n$ のときの軌跡は $AB$ の垂直二等分線になりますが,これを半径無限大の円とみなすとアポロニウスの定理は崩れません。
逆数の和に関する平面図形の美しい定理を3つ紹介します。実用的な定理ではありませんが,証明はよい練習問題になるのでトライしてみてください!
円に外接する四角形 $ABCD$ において,
性質1:$a+c=b+d$
性質2:$S=\sqrt{abcd}\sin\dfrac{\theta}{2}$
方べきの定理の主張と一般的な証明について復習した後で,3タイプの方べきの定理を統一的に証明するエレガントな方法を解説します。
三角形の五心と各頂点までの距離は素早く導出できるようになっておきましょう!
三角形の成立条件(存在条件):三辺の長さが $a,\:b,\:c$ である三角形が存在する必要十分条件は,
$a+b > c$ かつ $b+c > a$ かつ $c+a > b$
三角形の成立条件とその証明を詳しく解説します。
複比(Cross-ratio):
同一直線上の四点 $A,\:P,\:B,\:Q$ に対して複比を,
$(A,B;P,Q)=\dfrac{AP}{BP}\times\dfrac{BQ}{AQ}$ と定義する。
図形問題への応用を念頭に置いているので厳密さよりもわかりやすさを重視しています。
調和点列:
同一直線上に四点 $A,\:P,\:B,\:Q$ がこの順にあるとき,
1:$AP:PB=AQ:QB$ (線分 $AB$ を同じ比で内分する点 $P$ と外分する点 $Q$)
ならば四点 $A,\:P,\:B,\:Q$ を調和点列と言う。

第一余弦定理:三角形 $ABC$ に対して,
$a=b\cos C+c\cos B$
$b=c\cos A+a\cos C$
$c=a\cos B+b\cos A$
普段はめったにお目にかからない第一余弦定理の解説と証明です。

ニュートンの定理:
中心が $O$ である円に外接する四角形 $ABCD$ において対角線 $AC$ と $BD$ の中点をそれぞれ $M,\:N$ とおくと,$M,\:N,\:O$ は同一直線上にある。この直線をニュートン線と呼ぶ。
反転変換:
中心 $O$,半径 $r$ の円 $\Gamma$ がある。このとき,円 $\Gamma$ による反転を以下のように定義する。
$P$ の行き先は,半直線 $OP$ 上の点で,$OP\times OP’=r^2$ を満たす点 $P’$
数学オリンピックでたまに使える「反転」という手法についての基礎的な事柄を解説します。

デザルグの定理:
三角形 $ABC$ と $A’B’C’$がある。このとき,
$AA’$,$BB’$,$CC’$が一点 $O$ で交わる
→ $AB$ と $A’B’$の交点 $P$,$BC$ と $B’C’$の交点 $Q$,$CA$ と $C’A’$の交点 $R$ は同一直線上にある。

メネラウスの定理:
右の図において, $\dfrac{AD}{DB}\dfrac{BE}{EC}\dfrac{CF}{FA}=1$
メネラウスの定理の二通りの覚え方(見方)と定理の拡張について解説します。玄人は覚え方2以降がオススメです。

等角共役点:三角形 $ABC$ と点 $P$ がある。
角の頂点を通る直線 $l$ と角の二等分線に関して対称な直線 $m$ を $l$ の等角共役線という。
$AP,\:BP,\:CP$ の等角共役線は一点で交わり,これを $P$ の等角共役点という。
平面図形の非常に美しい定理です。
ジュルゴンヌ点(Gergonne point):

三角形 $ABC$ において内接円と各辺の接点を $D,E,F$ とおくとき,$AD,BE,CF$ は一点で交わる。この点をジュルゴンヌ点という。

クイズ:図の黄色部分の面積をできるだけ短時間で求めよ。
ただし,$\Gamma_1,\:\Gamma_2,\:\Gamma_3$ はそれぞれ $AB,\:BC,\:CA$ を直径とする半円です。

三平方の定理(ピタゴラスの定理):$\angle C=90^{\circ}$ であるような直角三角形において,$a^2+b^2=c^2$
円に内接する四角形の性質を整理しました。円周角の定理からトレミーの定理まで,全部使えるようになっておきましょう!
正五角形を(定規とコンパスのみを使って)作図する方法を解説します。
正五角形の作図の原理を理解するために,まずは1辺が1の正五角形の対角線の長さについて考えます。とにかく作図方法だけ知りたい!という方はページ下部のグレー背景部分(2箇所)のみ読んで下さい。
有名な嘘の証明です。
全ての三角形が二等辺三角形であること,さらに正三角形であることの証明を解説します。もちろんそのような命題が成立するはずはないので証明のどこかに嘘があります。探してみてください!
ルーローの三角形と定幅曲線について。意味や応用などを解説します。
- 難関大の図形問題は「どの道具を使って解答するか」から考える必要があることも。
- 昔の東大入試では簡単な問題も出題されている。
東大の問題とその解説を通じて「図形問題における道具選び」について考えます。

Kiepert(キエペルト,キーペルト)の定理:
三角形 $ABC$ の外側(または内側)に相似な二等辺三角形 $ABF,BCD,CAE$ をつくる。このとき,$AD,BE,CF$ は一点 $X$ で交わる。
垂心,フェルマー点,ナポレオン点などを包含している非常に美しい定理です。