最終更新:2019/12/30

極座標における回転体の体積公式

分野: 積分  レベル: 最難関大学

極座標における回転体の体積公式

極座標平面において,図のように $\theta=\alpha,\:\theta=\beta,\:r=r(\theta)$ で囲まれた,$x$ 軸の上側にある図形を $D$ とする。$D$ を $x$ 軸(始線)の回りに回転させてできる立体の体積は,
$\dfrac{2}{3}\pi\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} r(\theta)^3\sin\theta d\theta$

極座標における回転体の体積公式について,例題と証明方法などを紹介します。

回転体の体積公式と球の体積公式の関係

まず,具体例として $\alpha=0,\:\beta=\pi,\:r=r_0$ の場合を考えてみます。極座標における回転体の体積公式を使ってみると,回転体の体積は,
$\dfrac{2}{3}\pi\displaystyle\int_{0}^{\pi} r_0^3\sin\theta d\theta=\dfrac{4}{3}\pi r_0^3$
となります。

具体例

一方,$D$ は半径 $r_0$ の円の上側半分を表すので,球の体積公式を使うことでも,体積が $\dfrac{4}{3}\pi r_0^3$ であることが分かります。

つまり,極座標における回転体の体積公式 $\dfrac{2}{3}\pi\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} r(\theta)^3\sin\theta d\theta$ は,球の体積公式 $\dfrac{4}{3}\pi r^3$ を拡張したもの,とみなすことができます。

体積公式を使う例題

極座標における回転体の体積公式を使って,2009年京都大学理系第5問の一般化を解いてみます(京大の問題は $a=2, b=1$)。

例題

極方程式 $r=a+b\cos\theta\:(0\leq\theta\leq 2\pi)$ で表される図形で囲まれる部分 $D$ を $x$ 軸の回りに回転させてできる立体の体積 $V$ を計算せよ。ただし,$a>b>0$ とする。

リマソンの回転体の体積

極座標における回転体の体積公式を使って計算してみます。$D$ は $x$ 軸に関して対称であることに注意すると,
$V=\dfrac{2}{3}\pi\displaystyle\int_{0}^{\pi} r(\theta)^3\sin\theta d\theta\\
=\dfrac{2}{3}\pi\displaystyle\int_{0}^{\pi} (a+b\cos\theta)^3\sin\theta d\theta\\
=\dfrac{2}{3}\pi\left[-\dfrac{1}{4b}(a+b\cos\theta)^4\right]_0^{\pi}\\
=\dfrac{\pi}{6b}\{-(a-b)^4+(a+b)^4\}\\
=\dfrac{\pi}{6}(8a^3+8ab^2)\\
=\dfrac{4\pi a}{3}(a^2+b^2)$

例題の補足

  • 極方程式 $r=a+b\cos\theta$ で表される図形のことを,リマソンと言います。リマソン(英語版Wikipedia)
  • 特に,$a=b$ の場合をカージオイドと言います。カージオイド曲線のグラフ,面積,長さ
    カージオイドは有名ですが,リマソンはわりとマニアックだと思います。私自身,大学受験時にはリマソンという名前や体積公式は知りませんでした。
  • 極座標における回転体の体積公式は,記述式の試験で使うと減点されてしまうかもしれません。検算用にとどめておくのがおすすめです。

体積公式の証明

パップスギュルダンの定理を使って公式を証明します。
参考:パップスギュルダンの定理とその証明

また,極座標の面積公式の証明を理解しているとスムーズです。

大雑把な証明

$\theta=\theta_0$ から $\theta=\theta_0+\Delta \theta$ の間の微小部分 $A$ を $x$ 軸の回りに回転させた立体の体積 $\Delta V$ をパップスギュルダンの定理を使って計算する。

極座標の回転体の体積公式の証明

$\Delta\theta$ が十分小さいとき,$A$ を三角形とみなすと,
$A$ の面積 $\fallingdotseq \dfrac{1}{2}r(\theta_0)^2\sin\Delta\theta\fallingdotseq\dfrac{1}{2}r(\theta_0)^2\Delta\theta$
$A$ の重心の $y$ 座標
$\fallingdotseq \dfrac{r(\theta_0)\sin\theta_0+r(\theta_0+\Delta\theta)\sin(\theta_0+\Delta\theta)}{3}\\
\fallingdotseq\dfrac{2r(\theta_0)\sin\theta_0}{3}$

よって,微小部分の体積は,
$\Delta V\fallingdotseq 2\pi\times\dfrac{1}{2}r(\theta_0)^2\Delta\theta\times\dfrac{2r(\theta_0)\sin\theta_0}{3}\\
=\dfrac{2}{3}\pi r(\theta_0)^3\sin\theta_0\Delta\theta$
これを積分することで,回転体の体積公式を得る。

紹介した証明方法と例題は,高校時代の恩師に最近教えていただいたものです!

Tag: 京大入試数学の良問と背景知識まとめ