log xの積分計算の2通りの方法と発展形

対数関数の不定積分

logxdx=xlogxx+C\displaystyle\int \log xdx=x\log x-x+C

対数関数の積分公式について,2通りの証明と発展形を解説します。数学が得意な人には発展形2がオススメです。

CC は積分定数とします。

1.強引に部分積分を用いる

log\log を含む積分は部分積分が鉄則です。強引に logx=1logx\log x=1\cdot \log x とみなして部分積分を使います。

復習(部分積分): fg=fgfg\displaystyle\int fg=f^*g-\int f^*g'

ただし ff^*ff の積分

証明

logx=1logx\log x=1\cdot \log x

であるので f=1,g=logxf=1,g=\log x として部分積分を使うと,

logxdx=xlogxx1xdx=xlogxx+C\displaystyle\int\log xdx\\\displaystyle=x\log x-\int x\cdot\dfrac{1}{x}dx\\ =x\log x-x+C

このように対数関数の積分はわりと簡単に導出できますが,頻出なので結果を覚えておくとよいでしょう。

2.置換積分を用いる

「対数関数には部分積分」という鉄則を知らない場合,logx=y\log x=y と置換したくなる気がします。結局部分積分を使うことにはなりますが,自然な方法だと思います。

復習(置換積分):置換積分の公式の証明と例題

証明

logx=y\log x=y と置換すると dydx=1x=1ey\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{x}=\dfrac{1}{e^y} であるので,

logxdx=yeydy\displaystyle\int \log xdx=\displaystyle\int ye^ydy

これは関数の積の形になっているので部分積分を使う:

yeydy=yeyeydy=yeyey+C\displaystyle\int ye^ydy\\\displaystyle=ye^y-\int e^ydy\\ =ye^y-e^y+C

最後に y=logxy=\log x を代入すると,xlogxx+Cx\log x-x+C となる。

発展形1

原始関数の選び方には任意性があることを利用した小技を紹介します。

例題

不定積分 log(x+2)dx\displaystyle\int\log (x+2)dx を計算せよ。

鉄則に従って 1log(x+2)1\cdot \log (x+2) とみなして部分積分します。

このとき 11 の原始関数として xx ではなく x+2x+2 を取ってくると計算が楽になります!

解答

log(x+2)dx=(x+2)log(x+2)x+2x+2dx=(x+2)log(x+2)x+C\displaystyle\int \log (x+2)dx\\\displaystyle =(x+2)\log (x+2)-\int\dfrac{x+2}{x+2}dx\\ =(x+2)\log (x+2)-x+C

ちなみに,11 の原始関数として普通に xx を使うと,以下のように少しだけめんどうです。

別解

log(x+2)dx=xlog(x+2)xdxx+2=xlog(x+2)x+22x+2dx=xlog(x+2)(12x+2)dx=xlog(x+2)x+2log(x+2)=(x+2)log(x+2)x+C\displaystyle\int \log (x+2)dx\\ =x\log (x+2)-\displaystyle\int\dfrac{xdx}{x+2}\\ =x\log (x+2)-\displaystyle\int\dfrac{x+2-2}{x+2}dx\\ =x\log (x+2)-\displaystyle\int \left(1-\dfrac{2}{x+2}\right)dx\\ =x\log (x+2)-x+2\log (x+2)\\ =(x+2)\log (x+2)-x+C

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT84では,置換積分を使う方法や計算ミスを減らすコツを紹介しています。

発展形2

対数関数の nn 乗の積分です。

(logx)ndx=xk=0n(1)knPk(logx)nk+C\displaystyle\int (\log x)^ndx=x\displaystyle\sum_{k=0}^n(-1)^k{}_n\mathrm{P}_k(\log x)^{n-k}+C

n=2,3n=2,3 くらいはときどき登場するので覚えておくと時短に役立つかもしれません:

(logx)2dx=x{(logx)22logx+2}+C\displaystyle\int (\log x)^2dx=x\{(\log x)^2-2\log x+2\}+C

(logx)3dx=x{(logx)33(logx)2+6logx6}+C\displaystyle\int (\log x)^3dx=x\{(\log x)^3-3(\log x)^2+6\log x-6\}+C

証明の概略

部分積分を使うと

(logx)ndx=x(logx)nxn(logx)n11xdx=x(logx)nn(logx)n1dx\displaystyle\int (\log x)^ndx\\\displaystyle=x(\log x)^n-\int xn(\log x)^{n-1}\cdot\dfrac{1}{x}dx\\ =x(\log x)^n-n\displaystyle\int (\log x)^{n-1}dx

となり (logx)n(\log x)^n の積分が (logx)n1(\log x)^{n-1} の積分に帰着できた。

次に (logx)n1(\log x)^{n-1} の積分に部分積分を使う。このような操作を nn 回繰り返すと nn 乗の公式が得られる。

注: y=logxy=\log x と置換してから瞬間部分積分を使っても導出できます。

私は8時間半くらいは寝ないと日中の集中力・計算力が低下します。四当五落という言葉は好かんですね。

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