ナルシシスト数(Narcissistic Number)の意味,有限個しかないことの証明などを解説します。
分野: 整数問題
前半は準備(メビウス関数の定義,簡単な性質)です。後半はメビウスの反転公式という美しい定理とその応用例を解説します。
正 $n$ 角形が定規とコンパスで作図可能 $\iff$ $n=2^Np_1\cdots p_k$ となる $0$ 以上の整数 $N$ と互いに異なるフェルマー素数 $p_1,\cdots,p_k$ が存在する。
命題1(ゴールドバッハ予想):
$2$ より大きな偶数は2つの素数の和で表すことができる。
命題1が真なのか偽なのかは分かっていません。整数論における有名な未解決問題です。
Lucasの定理:
任意の素数 $p$ と非負整数 $m,n$ に対して,
$\displaystyle{}_{m}\mathrm{C}_{n}\equiv\prod_{i=0}^k{}_{m_i}\mathrm{C}_{n_i}\:\mathrm{mod}\:p$
ただし,$m_km_{k-1}\cdots m_1m_0$ は $m$ の $p$ 進数表示,$n_kn_{k-1}\cdots n_1n_0$ は $n$ の $p$ 進数表示。
なお,$m\geq n$ のときは ${}_{m}\mathrm{C}_{n}=\dfrac{m!}{n!(m-n)!}$ ですが,このページではさらに $m < n$ のときは ${}_{m}\mathrm{C}_{n}=0$ とします。
3桁のカプレカ数は $495$ のみである。
4桁のカプレカ数は $6174$ のみである。
カプレカ数の意味,および関連する性質について解説します。
クンマーの定理(Kummer’s theorem)
${}_m\mathrm{C}_n$ が素数 $p$ で割り切れる回数は $m-n$ と $n$ を $p$ 進数表示して足し算をしたときの繰り上がりの回数と等しい。
整数の美しい定理です!
以下を満たす実数 $r$ をリウヴィル数(リュービル数)と言う:
任意の正の整数 $n$ に対して,ある正の整数 $p,q\:(q\geq 2)$ が存在して
$0< \left|r-\dfrac{p}{q}\right| < \dfrac{1}{q^n}$ を満たす。
定義がやや複雑ですが「$r$ が有理数 $\dfrac{p}{q}$ でかなり精度よく近似できる」というイメージです。
$\zeta_n=e^{\frac{2\pi i}{n}}=\cos \dfrac{2\pi}{n}+i\sin\dfrac{2\pi}{n}$($n$ 乗して $1$ になる数のうちの一つ)とおく。多項式
$F_n(x)=\displaystyle\prod_{k\in A_n} (x-\zeta_n^k)$
を円分多項式(円周等分多項式)と言う。
ただし,$A_n$ は $1$ 以上 $n$ 以下の整数で,$n$ と互いに素なもの全体の集合です。
整数 $a,b$ を用いて $a+bi$ と表される複素数をガウス整数(複素整数)と呼ぶ。
全ての桁が $1$ である整数をレプユニット数と言う。
$1$,$11$,$111$ などです。Rep(繰り返し)Unit($1$)という意味です。

中心が $\left(\dfrac{q}{p},\dfrac{1}{2p^2}\right)$ で直径が $\dfrac{1}{p^2}$ である円を並べると美しい。
フォードの円と呼ばれる美しい円たちについて紹介します。
数列における余りの周期性について,以下の2つの話題を紹介します。
- 漸化式で表される数列における,割り算の余りの周期性(受験レベル)
- 特に,フィボナッチ数列における周期について(難しい)
定理:
すべての原始ピタゴラス数は,$\begin{pmatrix}3\\4\\5\end{pmatrix}$ に対して,3つの行列 $A,B,C$ のどれかをかける操作を何度か繰り返すことで作れる。ただし,
$A=\begin{pmatrix}1&-2&2\\2&-1&2\\2&-2&3\end{pmatrix}$,
$B=\begin{pmatrix}1&2&2\\2&1&2\\2&2&3\end{pmatrix}$,$C=\begin{pmatrix}-1&2&2\\-2&1&2\\-2&2&3\end{pmatrix}$
ピタゴラス数に関する非常におもしろい定理です。この定理の主張と証明を詳しく解説します。