最終更新:2016/12/11

フォードの円

分野: 整数問題  レベル: マニアック

フォードの円

中心が $\left(\dfrac{q}{p},\dfrac{1}{2p^2}\right)$ で直径が $\dfrac{1}{p^2}$ である円を並べると美しい。

フォードの円と呼ばれる美しい円たちについて紹介します。

フォードの円とは

まず,値が $0$ 以上 $1$ 以下で,分母が $n$ 以下の既約分数を並べます。例えば $n=4$ のとき,
$\dfrac{0}{1},\dfrac{1}{4},\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{2},\dfrac{2}{3},\dfrac{3}{4},\dfrac{1}{1}$
という感じです(左端は $\dfrac{0}{1}$,右端は $\dfrac{1}{1}$ とします)。

ちなみに,この数列はファレイ数列と呼ばれます。

次に,各分数 $\dfrac{q}{p}$ に対して,中心が $\left(\dfrac{q}{p},\dfrac{1}{2p^2}\right)$ で直径が $\dfrac{1}{p^2}$ である円を書きます。各円は $x$ 軸に接することに注意してください。

このとき,隣り合う分数に対応する円は互いに接します!この円(たち)のことをフォードの円と言います。
$n=4$ のときは冒頭の図のような感じです。

接することの証明

ファレイ数列の性質を使います。→ファレイ数列の4つの性質とその証明

証明

隣り合う既約分数 $\dfrac{q_i}{p_i}$ と $\dfrac{q_{i+1}}{p_{i+1}}$ に対応する円が接することを証明する。

それぞれの円の中心間の距離を $d$ とおくと,
$d^2=\left(\dfrac{q_i}{p_i}-\dfrac{q_{i+1}}{p_{i+1}}\right)^2+\left(\dfrac{1}{2p_{i}^2}-\dfrac{1}{2p_{i+1}^2}\right)^2$

一方,2つの円の半径を $r_i,r_{i+1}$ とおくと,
$(r_i+r_{i+1})^2=\left(\dfrac{1}{2p_i^2}+\dfrac{1}{2p_{i+1}^2}\right)^2$

この2つが等しいことを証明すればよい。差を計算すると,
$d^2-(r_i+r_{i+1})^2\\
=\left(\dfrac{q_i}{p_i}-\dfrac{q_{i+1}}{p_{i+1}}\right)^2-\dfrac{2}{2p_i^2p_{i+1}^2}\\
=\left(\dfrac{q_ip_{i+1}-p_iq_{i+1}}{p_ip_{i+1}}\right)^2-\dfrac{1}{p_i^2p_{i+1}^2}$

ここで,ファレイ数列の性質3より,$q_ip_{i+1}-p_iq_{i+1}=-1$ なので,上式は $0$ になる。

フォードの円の面積の総和

分母の上限 $n$ をどんどん大きくしていったときのフォードの円の面積の総和を計算してみましょう(ただし,便宜上 $\dfrac{0}{1}$ に対応する円は除きます)。

まず,分母が $p$ である既約分数は,$\phi(p)$ 個あります。→オイラーのファイ関数のイメージと性質

よって,それらの分数に対応する円の面積の和は,
$\pi \left(\dfrac{1}{2p^2}\right)^2\times \phi(p)$

したがって,全てのフォードの円の面積の和は,
$\dfrac{\pi}{4}\displaystyle\sum_{p=1}^{\infty}\dfrac{\phi(p)}{p^4}$
となります。

実は,上式はゼータ関数を用いて
$\dfrac{\pi}{4}\dfrac{\zeta(3)}{\zeta(4)}$
と書けることが知られています。
参考文献:Introduction to Analytic Number Theory

具体的な値は $0.87$ くらいです。

※1998年東大理系前期第3問が,フォードの円に関連する問題のようです!(読者の方に教えていただきました)

ゼータ関数で書けることの証明はきちんと理解していません(大雑把に証明を読んだ程度)が,美しいです!
分野: 整数問題  レベル: マニアック