巴戦(ともえせん)の問題について解説します。2016年東大第2問(文理共通)でも扱われた話題です。
巴戦とは(3人の場合)
- 登場人物はA,B,Cの3人
- 1試合目はAとBが戦う
- $n+1$ 試合目は $n$ 試合目の勝者と $n$ 試合目に待機していた人が戦う
- 全員の実力は同じ
- 誰かが二連勝したらその人が優勝してゲーム終了
大相撲の優勝決定戦などで使われる方法です。巴戦でAが優勝する確率を2通りの方法で求めます。
方程式を立てる方法
解答1
「二試合目において,1勝している人」が優勝する確率を $x$
「二試合目において,1勝している人の対戦相手」が優勝する確率を $y$
「二試合目の待機者」が優勝する確率を $z$ とする
二試合目の結果で場合わけすることにより,
$x=\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2}z$
$y=\dfrac{1}{2}x$
$z=\dfrac{1}{2}y$
が分かる。これを解くと,$x=\dfrac{4}{7}$,$y=\dfrac{2}{7}$,$z=\dfrac{1}{7}$
よって,巴戦でAが優勝する確率は,
$\dfrac{1}{2}x+\dfrac{1}{2}z=\dfrac{5}{14}$
ちなみに,Bが優勝する確率も $\dfrac{5}{14}$ です。Cが優勝する確率は $\dfrac{4}{14}$ です(微妙に不平等)。
各パターンを直接計算する方法
解答2
Aが $n$ 試合目に優勝する確率を $a_n$ とする。$a_1=0$,$a_2=\dfrac{1}{4}$,$a_3=0$ はすぐ分かる。もう少し小さな $n$ で考えてみると以下のことが分かる。
- Aが $3k+1$ 回目に優勝するのは「負け,待ち,勝ち」を $k$ 回繰り返して最後に勝つ場合だけなので,
$n=3k+1\:(k=1,2,\cdots)$ のとき,$a_n=\dfrac{1}{2^n}$ - Aが $3k+2$ 回目に優勝するのは1回目勝ってから「負け,待ち,勝ち」を $k$ 回繰り返して最後に勝つ場合だけなので,
$n=3k+2\:(k=0,1,\cdots)$ のとき,$a_n=\dfrac{1}{2^n}$ - Aが $3k$ 回目に優勝することはない。
よって,求める確率は $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}a_n=\dfrac{\frac{1}{4}}{1-\frac{1}{8}}+\dfrac{\frac{1}{16}}{1-\frac{1}{8}}=\dfrac{5}{14}$
ちなみに,5人の場合なども同様に考えることができます(待機者が3人)。解答1,解答2のいずれでも解くことができます。練習問題にどうぞ!
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