点と平面の距離公式と例題・2通りの証明

点と平面の距離公式

xyzxyz 座標平面上で ax+by+cz+d=0ax+by+cz+d=0 という式は平面を表す。この平面(x0,y0,z0)(x_0,y_0,z_0) の距離は,ax0+by0+cz0+da2+b2+c2\dfrac{|ax_0+by_0+cz_0+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}

点と平面の距離

点と平面の距離公式について,意味・例題・証明を整理しました。大学入試でもたまに役立つ公式です。

点と平面の距離公式の例題

点と平面の距離公式:ax0+by0+cz0+da2+b2+c2\dfrac{|ax_0+by_0+cz_0+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} を使って問題を解いてみます。

例題

(2,0,3)(2,0,3) と平面 5xy+2z+1=05x-y+2z+1=0 の距離を求めよ。

解答

公式 ax0+by0+cz0+da2+b2+c2\dfrac{|ax_0+by_0+cz_0+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} に代入するだけ。(x0,y0,z0)=(2,0,3)(x_0,y_0,z_0)=(2,0,3) であり,平面の方程式から a=5,b=1,c=2,d=1a=5,b=-1,c=2,d=1 なので,距離は

5×2+(1)×0+2×3+152+(1)2+22=1730 \dfrac{|5\times 2+(-1)\times 0+2\times 3+1|}{\sqrt{5^2+(-1)^2+2^2}}=\dfrac{17}{\sqrt{30}}

点と平面の距離の例題

補足:

  • 分子の絶対値,分母のルートを忘れやすいので注意しましょう。
  • xyzxyz 座標空間において,平面が ax+by+cz+d=0ax+by+cz+d=0 という1次式で表されることは,平面の方程式とその3通りの求め方で解説しています。
  • 「平面と点 AA の距離」とは,AA から平面におろした垂線の長さのことです。

点と直線の距離公式の3次元バージョン

「点と平面の距離公式」ax0+by0+cz0+da2+b2+c2\dfrac{|ax_0+by_0+cz_0+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}は,2次元の場合の「点と直線の距離公式」ax0+by0+ca2+b2\dfrac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}} と合わせて覚えておくと良いです。

2つの距離公式
  • (2次元平面における)点と直線の距離公式:
    (x0,y0)(x_0,y_0) と直線 ax+by+c=0ax+by+c=0 の距離は ax0+by0+ca2+b2\dfrac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}
  • (3次元空間における)点と平面の距離公式:
    (x0,y0,z0)(x_0,y_0,z_0) と平面 ax+by+cz+d=0ax+by+cz+d=0 の距離は ax0+by0+cz0+da2+b2+c2\dfrac{|ax_0+by_0+cz_0+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}

2つの公式は非常に似ていますね。証明も似ています。点と直線の距離公式については点と直線の距離公式:例題と5通りの証明で解説しています。

点と平面の距離公式の証明

2通りの証明を紹介します。

空間ベクトルを使った証明

A(x0,y0,z0)A(x_0,y_0,z_0) から平面 p0:ax+by+cz+d=0p_0:ax+by+cz+d=0 に下ろした垂線の足を HH とします。

前提知識として,ベクトル (a,b,c)(a,b,c) が平面 p0p_0 と垂直なベクトル(法線ベクトル)であることを使います。→平面の方程式とその3通りの求め方

証明

点と平面の距離公式

点から平面におろした垂線の足 HH の座標を (X,Y,Z)(X,Y,Z) とおく。AHundefined\overrightarrow{AH}p0p_0 の法線ベクトルと平行なので実数 tt を用いて, (x0X,y0Y,z0Z)=t(a,b,c) (x_0-X, y_0-Y, z_0-Z)=t(a, b, c) と表せる。あとは,HHll 上にある条件: aX+bY+cZ+d=0aX+bY+cZ+d=0 を用いて tt を求めればよい。

aXbYcZ=d-aX-bY-cZ=d に注意して,紫の式の両辺に対して (a,b,c)(a,b,c) との内積を取ると,

ax0+by0+cz0+d=t(a2+b2+c2) ax_0+by_0+cz_0+d=t(a^2+b^2+c^2)

となる。

a2+b2+c20a^2+b^2+c^2\neq 0 なので, t=ax0+by0+cz0+da2+b2+c2 t=\dfrac{ax_0+by_0+cz_0+d}{a^2+b^2+c^2}

よって,AHAH の長さ,すなわち t(a,b,c)t(a,b,c) の長さは,

ta2+b2+c2=ax0+by0+cz0+da2+b2+c2 |t|\sqrt{a^2+b^2+c^2}=\dfrac{|ax_0+by_0+cz_0+d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}

となり点と平面の距離公式が導出できた。

ヘロンの公式を使った証明

四面体の体積を二通りの方法で表します。

ヘロンの公式を応用する部分以外は二次元の場合(点と直線の距離公式の証明)と全く同じです。計算はやや大変で省略している部分もあるので,難しければ二次元の場合で確認してみてください。

証明

a=0a=0 のとき,点と直線の距離公式より成立。b=0,c=0b=0,\:c=0 のときも同様。以下 a,b,ca,\:b,\:c が全て 00 でない場合を考える。

AA を通り xx 軸,yy 軸,zz 軸に平行な直線と平面 p0p_0 の交点をそれぞれ P,Q,RP,Q,R とおく。

PA=p,QA=q,RA=rPA=p,\:QA=q,\:RA=r とおく PQ=p2+q2,QR=q2+r2,RP=r2+p2PQ=\sqrt{p^2+q^2},\:QR=\sqrt{q^2+r^2},\:RP=\sqrt{r^2+p^2} である。

求めたい距離を DD とおくと,四面体 PQRAPQRA の体積を二通りの方法で表すことにより,

16pqr=13DS \dfrac{1}{6}pqr=\dfrac{1}{3}DS

ただし,SS は三角形 PQRPQR の面積。

次に,SSp,q,rp,\:q,\:r で表す。

ヘロンの公式の変形版(ヘロンの公式の下部参照)より,三辺の長さが A,B,CA,\:B,\:C である三角形の面積 SS

16S2=2(A2B2+B2C2+C2A2)(A4+B4+C4) 16S^2=2(A^2B^2+B^2C^2+C^2A^2)-(A^4+B^4+C^4)

を満たすので,これに PQ,QR,QPPQ,\:QR,\:QP の式を代入して整理すると,

S=12p2q2+q2r2+r2p2 S=\dfrac{1}{2}\sqrt{p^2q^2+q^2r^2+r^2p^2} となる。

よって, D=pqrp2q2+q2r2+r2p2 D=\dfrac{pqr}{\sqrt{p^2q^2+q^2r^2+r^2p^2}}

平面の方程式を利用して P,Q,RP,Q,R の座標を求めることにより, p=ka,q=kb,r=kc,(k=ax0+by0+cz0+d) p=\dfrac{k}{a},\:q=\dfrac{k}{b},\:r=\dfrac{k}{c},\:(k=|ax_0+by_0+cz_0+d|)

となるので,これらを上式に代入して整理すると

D=ka2+b2+c2 D=\dfrac{k}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}

が得られ証明完了。

二次元の場合の証明をそのまま三次元に拡張できる場合もあれば,拡張の際に工夫が必要となる場合もあります。

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