最終更新:2019/04/23

剰余の定理の証明と応用

分野: 方程式,恒等式  レベル: 基本公式

剰余の定理とは,多項式を $(x-a)$ で割ったときの余りを計算するための定理。

この記事では,剰余の定理の意味剰余の定理の証明について解説します。難しめの応用問題についても紹介します。

剰余の定理とは

多項式 $P(x)$ を $(x-a)$ で割った余りは $P(a)$ になります。これを剰余の定理と言います。

例を見ると分かりやすいです。

例題1

$P(x)=x^2+3x+1$ を $x-2$ で割った余りを,剰余の定理を使って計算せよ。

解答

剰余の定理で,$a=2$ とすると,
$P(x)$ を $(x-2)$ で割った余りは,$P(2)$
であることが分かります。

よって,余りは
$P(2)=2^2+3\cdot 2+1=11$
であることが分かります。

剰余の定理のおかげで,実際に割り算(多項式の割り算はめんどくさい!)をしなくても $P(2)$ を計算するだけで余りが求まりました。

剰余の定理の証明

「多項式の割り算」の式をきちんと書ければ,剰余の定理の証明は非常に簡単です。

証明

多項式 $P(x)$ を $x-a$ で割ったときの商を $Q(x)$,余りを $R$ とおくと,
$P(x)=(x-a)Q(x)+R$
となる。
この恒等式に $x=a$ を代入すると,$P(a)=R$ となる。

つまり,多項式 $P(x)$ を $x-a$ で割ったときの余りは,$P(a)$

剰余の定理はもちろん覚えるべきですが,導出の過程(商と余りを設定して立式する)が非常に重要なのできちんと理解しておきましょう。

剰余の定理の応用に向けた注意点

  • $P(x)$ を $x-a$ で割った余りは $P(a)$ です。 $x+a$ で割った余りは $P(-a)$ です。符号を間違う人が多いので注意して下さい。
  • 同様な議論により,$P(x)$ を $ax+b$ で割った余りは $P(-\dfrac{b}{a})$ です。(→例題2)
  • 剰余の定理の証明でも登場しましたが,
    割り算の等式をたてる → 「割る式=0の解」を代入する
    というのが鉄板の流れです。割る式が2次以上の場合は剰余の定理は使えませんが,上記の流れは通用します。(→例題3)

頻出の例題

一次の係数が1でない場合

例題2

$P(x)=x^5$ を $2x-1$ で割ったときの余りを求めよ。

解答

商を $Q(x)$,余りを $R$ とおくと,
$x^5=(2x-1)Q(x)+R$
となる。両辺に $x=\dfrac{1}{2}$ を代入すると,
$R=P(\dfrac{1}{2})=\dfrac{1}{32}$


二次式で割る場合

例題3

$P(x)=x^4+x$ を $x^2-3x+2$ で割ったときの余りを求めよ。

解答

余りは一次式になることに注意して商を $Q(x)$,余りを $ax+b$ とおくと,
$x^4+x=Q(x)(x^2-3x+2)+ax+b$
ここで,$x^2-3x+2=0$ の解が $x=1,2$ であるので,両辺に $x=1,2$ をそれぞれ代入すると,
$2=a+b$
$2^4+2=2a+b$
これを解くと $a=16,b=-14$,よって答えは $16x-14$

応用問題

重解のときには情報が足りないので微分すると覚えておきましょう。

例題4

$f(x)=x^{10}$ を$(x-1)^{2}$ で割った余りを求めよ。

解答

余りが一次式になることに注意して,商を $Q(x)$,余りを $ax+b$ とおくと,
$x^{10}=(x-1)^2Q(x)+ax+b$

鉄則に従って両辺に $x=1$ を代入すると $1=a+b$ を得る。
これだけでは情報が足りないので,両辺を $x$ で微分してから $x=1$ を代入すると
$10x^9=2(x-1)Q(x)+(x-1)^2Q'(x)+a$
$10=a$
を得る。よって,余りは $10x-9$

注1:両辺微分するときに積の微分公式:$(fg)’=f’g+fg’$(数3で習う)を使っています。

注2:テイラー展開を知っていれば簡単に検算できます。 $f(x)=x^{10}$ を $x=1$ でテイラー展開すると,
$x^{10}=f(1)+f'(1)(x-1)+$「$(x-1)^2$ 以上の項」
よって,求める余りは
$f(1)+f'(1)(x-1)\\
=1+10(x-1)\\
=10x-9$

剰余の定理を使った超難問がないかと探してみましたがいいのがありませんでした。

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