分数関数の極値を求める2つのテクニック

分数関数の極値を求めるテクニックを2つ紹介します。

1つ目は y=f(x)g(x)y=\dfrac{f(x)}{g(x)} の形の関数ならどんなものでも使える実践的なテクニック,

2つ目は分母が2次式,分子が1次式の場合にのみ使えるエレガントなテクニックです。

分数関数の極値を求めるテクニック1

テクニック1

y=f(x)g(x)y=\dfrac{f(x)}{g(x)}x=αx=\alpha で極値を取るとき,g(α)0g'(\alpha)\neq 0 ならその値は f(α)g(α)\dfrac{f'(\alpha)}{g'(\alpha)} である。

g(α)0g'(\alpha)\neq 0 という条件はほとんどの場合成立します。

テクニック1の証明

y(α)=0y'(\alpha)=0 なら,商の導関数の公式より f(α)g(α)g(α)f(α)=0f'(\alpha)g(\alpha)-g'(\alpha)f(\alpha)=0 が成り立つので両辺を g(α)g(α)g(\alpha)g'(\alpha) で割って公式を得る。

-例えば,以下の例のように計算が楽になるので,検算テクニックとして非常に有効です。

h(x)=x+1x2+1h(x)=\dfrac{x+1}{x^2+1} を微分して h(x)=0h'(x)=0 の解を求めると x=1±2x=-1\pm\sqrt{2} となる。

h(1±2)h(-1\pm\sqrt{2}) を直接計算するのはめんどうだが,h(x)h(x) の分母分子をそれぞれ微分して 12x\dfrac{1}{2x} とした上で x=1±2x=-1\pm\sqrt{2} を代入すると計算が楽。

数学講師である安田氏によって発見された公式なので「安田の公式」とも呼ばれています。

分数関数の極値を求めるテクニック2

テクニック2

「分母が二次かつ分子が一次」なら,微分を用いずに相加相乗平均の不等式を用いて極値を求めることができる。

さっきの例を用いて解説します。

h(x)=x+1x2+1h(x)=\dfrac{x+1}{x^2+1}

x=1x=-1 のとき h(x)=0h(x)=0

x1x\neq -1 のとき,

1h(x)=x2+1x+1=x1+2x+1=x+1+2x+12\dfrac{1}{h(x)}=\dfrac{x^2+1}{x+1}\\ =x-1+\dfrac{2}{x+1}\\ =x+1+\dfrac{2}{x+1}-2

よって,x>1x > -1 のとき相加相乗平均の不等式より 1h(x)222\dfrac{1}{h(x)}\geq 2\sqrt{2}-2 (等号成立条件は x=1+2x=-1+\sqrt{2}

つまり,h(x)h(x)x=1+2x=-1+\sqrt{2} で極大値 1222\dfrac{1}{2\sqrt{2}-2} を取ることが分かる。

また,x<1x <-1 のときも同様に 1h(x)222\dfrac{1}{h(x)}\leq -2\sqrt{2}-2

つまり,h(x)h(x)x=12x=-1-\sqrt{2} で極小値 1222\dfrac{1}{-2\sqrt{2}-2} を取ることが分かる。

デメリット:

  • 場合わけや極値が2つしかないことを説明するのがめんどうなので解答には不向き,とりあえずは素直に微分を用いるべし。

メリット:

  • 検算に使えるので時間が余ったらこの方法で確認してもよい。
  • 微分を用いないのがかっこいい。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT43ではこの問題に関連して「必要条件を確認する」という検算方法も紹介しています。

検算の道具をいくつも用意しておくことも重要です。

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