2014/05/06

ヴィエトの無限積の公式

分野: 三角比・三角関数  レベル: マニアック

オイラーの公式:
$\displaystyle\prod_{n=1}^{\infty}\cos\left(\dfrac{x}{2^n}\right)=\cos\dfrac{x}{2}\cos\dfrac{x}{4}\cos\dfrac{x}{8}\cdots=\dfrac{\sin x}{x}$


実用的な公式ではないので覚える必要はありませんが,導出方法が非常にエレガントで感動したので紹介します。
追記:実用的な公式ではないと思っていましたが,北大の入試問題で出題されていました!→ロジスティック写像と漸化式の最後の方参照。他にも関連する入試問題があるようです。

オイラーの公式の証明

方針:サインの倍角公式を繰り返し用いるだけの簡単なお仕事です。

証明

$\sin x=2\sin\dfrac{x}{2}\cos\dfrac{x}{2}\\
=2^2\sin\dfrac{x}{2^2}\cos\dfrac{x}{2}\cos\dfrac{x}{2^2}\\
=\cdots\\
=2^n\sin\dfrac{x}{2^n}(\displaystyle\prod_{k=1}^{n}\cos\dfrac{x}{2^k})$
ここで,
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}2^n\sin\dfrac{x}{2^n}\\
\displaystyle=x\lim_{n\to\infty}\dfrac{2^n}{x}\sin\dfrac{x}{2^n}\\
=x$
なので,上記の式で $n\to\infty$ として,オイラーの公式を得る:
$\displaystyle\prod_{n=1}^{\infty}\cos(\dfrac{x}{2^n})=\dfrac{\sin x}{x}$

コサインを無限に掛けたら応用上重要なsinc関数が出現するというのは驚きです。この公式の応用例として円周率を近似するヴィエトの公式が導かれます。

ヴィエトの公式

ヴィエトの公式:
$\dfrac{2}{\pi}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}\dfrac{\sqrt{2+\sqrt{2}}}{2}\dfrac{\sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt{2}}}}{2}\cdots$

(ヴィエトの公式の導出)
オイラーの公式で $x=\dfrac{\pi}{2}$ を代入するとヴィエト(Viete,ビエト)の公式が得られる。
$\cos\dfrac{\pi}{2^n}$ の値を求める必要があるが,それは半角の公式 $\cos\dfrac{x}{2}=\dfrac{\sqrt{2+2\cos x}}{2}$ を使って順次求めることができ,上記のような式が得られることが分かる。

ヴィエトの公式は円周率の近似式になっています。(収束が遅いので実用的ではありません)

実用的でない公式でもいろいろな証明方法を学ぶのは大事だし,何より美しいので紹介しました。

Tag: オイラーの公式・定理まとめ
Tag: 無限和,無限積の美しい公式まとめ

分野: 三角比・三角関数  レベル: マニアック