2014/08/17

中間値の定理の応用と多変数関数への拡張

分野: いろんな関数  レベル: 最難関大学

中間値の定理:$a\leq x\leq b$ で連続な関数 $f(x)$ を考える。 $f(a)$ と $f(b)$ の間にある任意の実数 $k$ に対して,
$f(c)=k$ となる $c\:(a\leq c\leq b)$ が存在する。

中間値の定理について

中間値の定理
  • グラフを書けば当たり前な定理です。日本語で言うならば「高さの違う2点を結ぶとき,その中間の高さを絶対に一回は横切る」ということになります。(多変数関数に拡張したいときはこのような理解の仕方が重要になります!)
  • 入試問題では特に「 $f(a)f(b) <0$ ならば $f(c)=0$ となるような $c$ が $a$ と $b$ の間に存在する」という形で頻出です。方程式に解が存在することを証明できるのです。
  • 数学オリンピックでもたまに使えます。→ラグランジュの補間公式とその応用例の応用例2

中間値の定理の応用

これ以降はかなり難しい話になります。腰を据えて読んでください。

中間値の定理の多変数関数への拡張を考えるために以下の数オリの問題(を少し変えたもの)を考えてみます:

問題

$x+y+z=1$ を満たす任意の非負実数 $x,y,z$ に対して,
$f(x,y,z)=xy+yz+zx-2xyz$
が $0$ 以上 $\dfrac{7}{27}$ 以下であることを示せ。

これ自体面白い問題なので考えてみてください!答えは→1984年IMO第1問の解説

では, $f(x,y,z)$ は $0$ 以上 $\dfrac{7}{27}$ 以下の値を全てとりうるのか?というのが次の問題です。(読者の方に質問いただきました)

これを中間値の定理を使って証明してみます。 $f(x)$ は多変数関数なのでうまいこと一変数関数に変換してから中間値の定理を使います。

証明

$f(x,y,z)$ は$(0,0,1)$ で最小値 $0$,$\left(\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{3}\right)$ で最大値 $\dfrac{7}{27}$ を取ることに注意して,
$t$ の一変数関数 $g(t)$ を
$g(t)=f\left(\dfrac{t}{3},\dfrac{t}{3},1-\dfrac{2t}{3}\right)$
と定義する。
$g(0)=0, g(1)=\dfrac{7}{27},$ $g$ は連続。
よって,一変数関数の中間値の定理が使えて,
任意の実数 $k\;(0\leq k\leq \dfrac{7}{27})$ に対して
$g(c)=k$ となる $c$ が $0$ と $1$ の間に存在する。
よって,$(x,y,z)=\left(\dfrac{c}{3},\dfrac{c}{3},1-\dfrac{2c}{3}\right)$
とすれば $x+y+z=1, x,y,z\geq 0$ を満たし,$f(x,y,z)=g(c)=k$ となる。
よって $0$ から $\dfrac{7}{27}$ まで全ての値をとりうる!

多変数関数の中間値の定理

先ほどの例を一般化してみます。二変数関数 $f(x,y)$ に対する中間値の定理です!三変数以上でも全く同様です。

  • $f$ は連結な領域 $D$ 上で定義されている。つまり定義域内の任意の2点$(x_1,y_1)$ と$(x_2,y_2)$ に対してそれを結ぶ曲線 $l$ がある。
  • $f$ は連続。

このとき,$f(x_1,y_1)$ と $f(x_2,y_2)$ の間にある任意の実数 $k$ に対して,$l$ 上の点$(x_c,y_c)$ で $f(x_c,y_c)=k$ を満たすものが存在する。

先ほどの数学オリンピックの例を一般化するだけで全く同様にして証明できます。(一変数関数へ帰着)

イメージは一変数の場合と同じです。
「高さの違う2点を結ぶとき,どんな道を通ってもその中間の高さを絶対に一回は横切る」
「高さ」とは関数値のことです。

二次元の中間値の定理

図の説明:山の地図だと思ってください。$(x_1,y_1)$ が出発点。$(x_2,y_2)$ が山頂。登るルート $l$ として青い線を選んでも赤い線を選んでもOK。水色の領域が定義域 $D$ 。山頂を目指すときにどういうルートで登っても任意の標高を一回は通過する!

多変数関数は大学に入ってから本格的に学ぶことになりますが,一変数関数のときのイメージが非常に重要です。

Tag: 数学3の教科書に載っている公式の解説一覧

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