2014/09/02

フェルマーの二平方和定理

分野: 整数問題  レベル: 数学オリンピック

定理:$2$ つの非負整数 $x,y$ を用いて $n=x^2+y^2$ と表される
⇔ $n$ を素因数分解したときの $4k+3$ 型の素数の指数が全て偶数

高々2つの自然数の二乗和で表される自然数はどんなものか?という疑問に答える非常に有名な定理です。

この定理を知っていることで数学オリンピックで有利になることはないと思いますが,整数論の様々な知識を動員するので応用例として勉強になります。

フェルマーの二平方和定理

上記の定理は以下の $2$ つの主張に分解できます:

主張1:$m,n$ がいずれも $x^2+y^2$ の形で表されるなら $mn$ も $x^2+y^2$ の形で表せる
主張2(フェルマーの二平方和定理):奇素数 $p$ について
$p$ を $4$ で割った余りが $1$ ⇔ $p$ は2つの平方数の和で表せる

$2$ つの平方数の和で表される自然数はどんなものか考えるときに,主張1のおかげで素数についてだけ考えればよいことが分かります。そして素数に関しては $4$ で割った余りを考えることできれいに分類できるというのがフェルマーの二平方定理です。

主張1の証明

こちらは簡単です。ブラーマグプタ・フィボナッチ恒等式を用います。

証明

$(x_1^2+y_1^2)(x_2^2+y_2^2)=(x_1y_2-x_2y_1)^2+(x_1y_1+x_2y_2)^2$
より $m, n$ が $2$ つの平方数の和で表せるならその積も $2$ つの平方数の和で表せる。

フェルマーの二平方和定理の証明

あとは素数が $2$ つの平方数の和で表せるかどうかです。

  • $2$ は $2=1^2+1^2$ と平方数の和で表せるので,奇素数についてのみ考えればよいわけです。
  • 平方数を $4$ で割った余りは $0$ か $1$ なので $x^2+y^2$ を $4$ で割った余りは $3$ になることはありません。よって $4k+3$ 型の素数は2つの平方数で表すことができません。これで主張2の⇐の対偶が証明されたことになります。よってあとは⇒を示せばOKです。

・⇒の証明が難しいです。ルジャンドル記号とオイラーの規準で解説した平方剰余の第一補充法則を用います。

証明

以下 $\:\mathrm{mod}\:p$ を省略して表記する。
$p$ を $4$ で割った余りが $1$ のとき第一補充法則より
$x^2\equiv -1$ となる $x$ が存在するので例えば $y=1$ とすれば
$x^2+y^2\equiv 0$ となる$(x,y)$ が存在する。

よって $x^2+y^2=kp$
となる自然数 $k$ が存在するのでそのような組$(x,y,k)$ の中で $k$ が最小なものをとってくる。
$k=1$ であることを背理法で示す。

$x,y$ を $k$ で割る(余りの絶対値が最小となるようにする):
$x=Ak+B, y=Ck+D$
ただし,$B,D$ の絶対値は $\dfrac{k}{2}$ 以下。つまり $B^2+D^2$ は $\dfrac{k^2}{2}$ 以下。

このとき $x^2+y^2$ は $k$ の倍数なので $B^2+D^2$ も $k$ の倍数:
$B^2+D^2=nk, (n <k)$
以上から,$pn=(\dfrac{x^2+y^2}{k})(\dfrac{B^2+D^2}{k})\\
=(\dfrac{xB+yD}{k})^2+(\dfrac{xD-yB}{k})^2$
となり,$np$ も平方数の和で表される(※)ので $k$ の最小性に矛盾。

(※)最後に $\dfrac{xB+yD}{k},\dfrac{xD-yB}{k}$ が整数であることが以下のように示される:
$xB+yD\equiv x^2+y^2\equiv 0\:\mathrm{mod}\:k$
$xD-yB\equiv xy-yx\equiv 0\:\mathrm{mod}\:k$

原始根を突破口としていろいろな定理が証明されます。
分野: 整数問題  レベル: 数学オリンピック