2015/02/06

テイラーの定理の例と証明

分野: 解析  レベル: 大学数学

テイラーの定理:
$f(x)$ が $a\leq x\leq b$ において $n$ 回微分可能なとき,
$f(b)=\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}f^{(k)}(a)\dfrac{(b-a)^{k}}{k!}+f^{(n)}(c)\dfrac{(b-a)^n}{n!}$
を満たす $c\:(a <c <b$)が存在する。

テイラー展開の根拠となる非常に重要な定理です。

平均値の定理の一般化

様子をつかむために具体的に $n=1,2$ の場合についてテイラーの定理に登場する式を書き下してみます。

・ $n=1$ のとき
$f(b)=f(a)+f'(c)(b-a)$
これは平均値の定理そのものです!→平均値の定理とその応用例題2パターン
つまり,テイラーの定理は平均値の定理の一般化になっているのです。

・ $n=2$ のとき
$f(b)=f(a)+f'(a)(b-a)+f”(c)\dfrac{(b-a)^2}{2!}$

テイラー展開の大雑把な意味

テイラーの定理において $a$ を固定して $b$ を変数 $x$ だと考えてみます:
$f(x)=\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}f^{(k)}(a)\dfrac{(x-a)^{k}}{k!}+f^{(n)}(c)\dfrac{(x-a)^n}{n!}$

このシグマの部分は $n-1$ 次の多項式です($c$ は $x$ に依存するので末尾の項は $x$ に関する多項式ではありません)。

末尾の項:$f^{(n)}(c)\dfrac{(x-a)^n}{n!}$
を剰余項と言います。もし剰余項が十分小さければ無視することで $f(x)$ を多項式で近似することができます(複雑な関数を多項式とみなせるといろいろ嬉しい)。これがテイラー展開の原理です。

この記事ではテイラー展開についてはこれ以上深入りしませんが,テイラー展開の背後には平均値の定理の一般化であるテイラーの定理があるということを覚えておいて下さい。

なお,$a=0$ のときのテイラー展開をマクローリン展開と言います。マクローリン展開の具体例はマクローリン展開を参照して下さい。

テイラーの定理の証明

式はけっこう複雑ですがロルの定理を認めれば高校範囲でも十分理解できます。

方針:平均値の定理の証明に用いられるロルの定理を用います。「新たに作った関数 $g(x)$ に対するロルの定理」と「もとの関数 $f(x)$ に対するテイラーの定理」が対応します。

証明

$f(b)=\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}f^{(k)}(a)\dfrac{(b-a)^{k}}{k!}+A\dfrac{(b-a)^n}{n!}$
となるような定数 $A$ を取ってくる
$f^{(n)}(c)=A$ となる $c$ の存在を示すのが目標である。

ここで,新たな関数 $g(x)$ を以下のように定義する:
$g(x)=f(b)-\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}f^{(k)}(x)\dfrac{(b-x)^{k}}{k!}-A\dfrac{(b-x)^n}{n!}$

すると,

  • $g(a)=0$($A$ の定め方から分かる)
  • $g(b)=0$(代入すると簡単に分かる)

なのでロルの定理が使える。つまり,ある $c\:(a <c <b)$ が存在して $g'(c)=0$ となる。

次に,実際に $g'(x)$ を計算していく:
$g'(x)=-\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}f^{(k+1)}(x)\dfrac{(b-x)^{k}}{k!}\\+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}f^{(k)}(x)\dfrac{(b-x)^{k-1}}{(k-1)!}+A\dfrac{(b-x)^{n-1}}{(n-1)!}$
一つ目のシグマと二つ目のシグマがほとんど打ち消し合ってくれるので,
$g'(x)=\dfrac{(b-x)^{n-1}}{(n-1)!}(A-f^{(n)}(x))$

よって,$g'(c)=0$ から $f^{(n)}(c)=A$
となり目標が証明された。

二つのシグマがバサッと打ち消し合うのが素晴らしいですね。
分野: 解析  レベル: 大学数学