2016/01/08

収束半径の意味と求め方

分野: 解析  レベル: 大学数学

べき級数 $\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}a_nz^n$ に対して,以下を満たす $\rho$(ただし $0\leq \rho \leq\infty$)が存在する:
$|z| < \rho$ ならこのべき級数は収束
$|z| > \rho$ ならこのべき級数は発散

このような $\rho$ をべき級数の収束半径と言います。

この記事では $z$ は複素数を表すものとします(実数と考えても差し支えありません)。

収束半径について

べき級数が収束するか発散するかにはしきい値が存在します。このしきい値が収束半径です。複素数平面で考えると「半径」の意味が分かります。

収束半径のイメージ

($0$ 以外の)全ての $z$ に対して発散するようなべき級数の収束半径は $0$ です。
全ての $z$ に対して収束するようなべき級数の収束半径は $\infty$ と考えます。

なお,ギリギリの点,つまり $|z|=\rho$ の場合にべき級数が発散するか収束するかはケースバイケースです。

冒頭の定理の証明は解析学の教科書を参照して下さい(難しくありません)。

収束半径の例

例題

べき級数 $1+z+z^2+z^3+z^4+\cdots$ の収束半径 $\rho$ を求めよ。

解答

$\rho=1$ であることを証明する。

等比数列の和の公式より
$1+z+z^2+z^3+\cdots +z^n=\dfrac{(1-z^{n+1})}{1-z}$
であるので,$n\to\infty$ とすると,$|z| < 1$ のとき収束し,$|z| > 1$ のとき発散する。

注:この例ではギリギリの点,つまり $|z|=1$ の場合も発散します。

収束半径の求め方

収束半径の求め方の一つであるダランベールの判定法を紹介します。

ダランベールの判定法:
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left|\dfrac{a_{n+1}}{a_n}\right|=C$ が存在すれば,収束半径は $\dfrac{1}{C}$ である。ただし $\dfrac{1}{0}=\infty,\dfrac{1}{\infty}=0$ とみなす。

$|a_n|$ が激しく減少する→ $\left|\dfrac{a_{n+1}}{a_{n}}\right|$ は小さい→収束半径は大きい
という感じです。

例題(再掲)

べき級数 $1+z+z^2+z^3+z^4+\cdots$ の収束半径 $\rho$ を求めよ。

解答

$a_n=1$ であるので $C=1$,収束半径も $1$

例題2

べき級数 $1+z+\dfrac{z^2}{2!}+\dfrac{z^3}{3!}+\dfrac{z^4}{4!}+\cdots$ の収束半径 $\rho$ を求めよ。

解答

$a_n=\dfrac{1}{n!}$ であるので,
$\dfrac{a_{n+1}}{a_n}=\dfrac{1}{n+1}$
となり $C=0$ 。よって収束半径は $\infty$

解析の記事は証明を書くのが難しいので,定理の主張や使い方を中心に解説しようと思います。
分野: 解析  レベル: 大学数学