2015/04/13

積の微分公式とその証明の味わい

分野: 極限,微分  レベル: 入試対策

積の微分公式:
$f(x),g(x)$ が(考えている区間で)微分可能なとき
$\{f(x)g(x)\}’=f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$

積の微分法則,ライプニッツルールなどとも呼ばれる超重要な公式です。

覚え方など

・式を丸ごと覚えるのではなくて二つの関数の積の微分は片方微分×片方そのままの和と覚えましょう。

例題

$x^2\sin x$ を微分せよ。

解答

$x^2$ の微分は $2x$,$\sin x$ の微分は $\cos x$ なので
$(x^2\sin x)’=2x\sin x+x^2\cos x$

・三つ以上の関数,高階微分の場合などに一般化できます。→ライプニッツの公式の証明と二項定理

証明

積の微分公式の証明は味わい深いのでぜひ覚えましょう。

証明

$f(x)g(x)$ の導関数は定義より,
$\{f(x)g(x)\}’=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}$

ここで,$f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)$ は扱いにくいので以下のように二つの和に分解する:
$f(x+h)g(x+h)-f(x+h)g(x)$
$+f(x+h)g(x)-f(x)g(x)$

以上より
$\{f(x)g(x)\}’=\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{g(x+h)-g(x)}{h}f(x+h)\\\displaystyle +\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}g(x)$

ここで,$f(x)$ が微分可能なので $f(x)$ は連続であり,$\displaystyle\lim_{h\to 0}f(x+h)=f(x)$ となる。

よって,結局 $\{f(x)g(x)\}’=g'(x)f(x)+f'(x)g(x)$ となり積の微分公式を得る。

証明を味わう

・「導関数の定義」「微分可能なら連続」という二つの重要な基礎知識を使うよい例です。

積の微分公式の証明

・ $A-B$ を評価したいが,そのままでは難しいので$(A-C)+(C-B)$ と変形することで評価するという手法は大学数学でもときどき使う重要なテクニックです。

・証明で一度 $f(x)$ と $g(x)$ の対称性を崩しました。当然ですが,$f(x)$ と $g(x)$ の役割を入れ替えても証明できます。
すなわち $f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)$ を
$f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x+h)$
$+f(x)g(x+h)-f(x)g(x)$
と分解しても証明できます(仲介役を緑丸ではなく青丸にしてもOKということ)。

積の微分公式の別の説明

「微分係数」=「一次近似したときの傾き」 という考え方も重要です(一次近似の意味とよく使う近似公式一覧)。この考え方に基づくと少々荒っぽいですが以下のように説明することもできます。

一次近似

(説明)
$h$ が十分小さいとき($h^2$ 以下の項を無視すると),
$f(x+h)\simeq f(x)+hf'(x)$
$g(x+h)\simeq g(x)+hg'(x)$
よって,辺々掛けあわせて再び $h^2$ の項を無視すると,
$f(x+h)g(x+h)\simeq f(x)g(x)+h\{f'(x)g(x)+f(x)g'(x)\}$

これは,$f(x)g(x)$ の微分が $f'(x)g(x)+f(x)g'(x)$ であることを表している。

仲介役をはさむテクニック,かなり好きです。

Tag: 微分公式一覧(基礎から発展まで)
Tag: 数学3の教科書に載っている公式の解説一覧

分野: 極限,微分  レベル: 入試対策