2014/02/12

シュワルツの不等式とそのエレガントな証明

分野: 不等式  レベル: 最難関大学

シュワルツの不等式:
${\displaystyle(\sum_{i=1}^n a_i^2)}{\displaystyle(\sum_{i=1}^n b_i^2)}\geq{\displaystyle(\sum_{i=1}^n a_ib_i)^2}\\$

等号成立条件は $a_1:a_2:\cdots:a_n=b_1:b_2:\cdots:b_n$

特に $n=2$ の場合
$(a_1^2+a_2^2)(b_1^2+b_2^2)\geq(a_1b_1+a_2b_2)^2$

$n=3$ の場合
$(a_1^2+a_2^2+a_3^2)(b_1^2+b_2^2+b_3^2)\geq(a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3)^2$

コーシーの不等式,コーシー・シュワルツの不等式ともいいます。

シュワルツの不等式は相加相乗平均の不等式の次に有名な不等式で応用範囲も広いです。ただし,形が少し複雑なので応用するのはそれなりの鍛錬が必要になります。

このページではシュワルツの不等式の証明と幾何学的な意味を解説します。
より具体的な応用例を知りたい方は以下を参考にしてください。
→ルートの和とシュワルツの不等式
→シュワルツの不等式の応用公式

シュワルツの不等式のエレガントな証明

$n=2, 3$ の場合は両辺の差が非負になることを直接示してもよいですが,一般の $n$ の場合は工夫しないと大変です。ここでは2次方程式の判別式を用いたエレガントな証明を紹介します。

記号簡略化のためシグマの上下の添字を省略しますが,和は $1$ から $n$ までとっています。

証明

2次方程式 $\sum(a_ix-b_i)^2=0$ を考えると,この式の左辺は非負であり,方程式の解は多くても1つである。つまり,この方程式の判別式 $D$ は0以下である。
実際に左辺を計算すると $\sum(a_ix-b_i)^2=(\sum a_i^2)x^2-2(\sum a_ib_i)x+(\sum b_i^2)$
となるので判別式を $D$ として
$\frac{D}{4}=(\sum a_ib_i)^2-(\sum a_i^2)(\sum b_i^2)$
となる。 $D$ が0以下であることからシュワルツの不等式が示された。また,等号成立条件は,判別式が0となるとき,すなわち
2次方程式 $\sum(a_ix-b_i)^2=0$
が解を持つときであり,
これは $a_ix-b_i=0\hspace{5mm}(i=1, 2, 3, \cdots n)$ と同値である。
さらにこの条件は
$a_1:a_2:\cdots:a_n=b_1:b_2:\cdots:b_n$
と同値である。

ちなみに,ラグランジュの恒等式を用いたシュワルツの不等式の証明もエレガントです。
→ラグランジュの恒等式とその仲間

シュワルツの不等式の幾何学的な意味

シュワルツの不等式は幾何学的な意味を考えるとより深く理解できます。

イメージが湧きやすいように $n=3$ の場合を考えます。
$\overrightarrow{a}=(a_1,a_2,a_3), \overrightarrow{b}=(b_1,b_2,b_3)$ と定義すると,シュワルツの不等式はベクトルの長さと内積を用いて以下のように書けます。

$|\overrightarrow{a}|^2|\overrightarrow{b}|^2\geq(\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b})^2$

上記の不等式が成立するのは,内積の定義$(\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b})=|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\cos\theta$ より明らかでしょう。(シュワルツの不等式の別証)

(ここで,ベクトル $\overrightarrow{a},\overrightarrow{b}$ のなす角を $\theta$ とおきました。どちらかが0ベクトルの場合はなす角が定義できませんが,その場合はシュワルツの不等式の両辺は0となり自明に成立します。)

また,等号成立条件は $\cos\theta=\pm 1$ すなわちふたつのベクトルが平行な場合です。これは,以下の条件と同値です。
$a_1:a_2:\cdots:a_n=b_1:b_2:\cdots:b_n$

シュワルツの不等式
代数的な事実と幾何的なイメージを関連付けて互いに変換しようとすると理解が深まります。

Tag: 数学オリンピック突破のための有名不等式まとめ

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