2014/02/01

サラスの公式

分野: 座標,ベクトル  レベル: 入試対策

座標平面上の三角形の面積及び座標空間上の四面体の体積を高速に求めるための公式を紹介します。
サラスの公式のとその応用例と証明。

(i)座標平面上の3点 $O(0,0), A(a,b), B(c,d)$ に対して,三角形 $OAB$ の面積は,
$\dfrac{1}{2}|ad-bc|$
(ii)座標空間上の4点 $O(0,0,0),A(x_1,y_1,z_1), B(x_2,y_2,z_2),C(x_3,y_3,z_3)$ に対して四面体 $OABC$ の体積は,
$\dfrac{1}{6}|y_1z_2x_3+z_1x_2y_3+x_1y_2z_3-z_1y_2x_3-x_1z_2y_3-y_1x_2z_3|$

サラスの公式の覚え方

公式(ii)をそのまま覚えるのは厳しいので,サラスの規則と呼ばれる次の方法を用いて覚えます:

左上から右下に向かう方向にかけてたす」ー「右上から左下に向かう方向にかけてたす」最後に $\dfrac{1}{6}$ 倍する。(図参照)

サラスの公式1
サラスの公式2

ちなみに,右端と左端はつながっているいわゆるドラクエスタイルです。

サラスの公式を使う際の諸注意

  • (i)を暗記している人は多いですが,(ii)を使いこなせるようになれば単純な場合だと30秒以内に四面体の体積を求めることができるので多くの場面で活躍します。解答するのに直接サラスの公式を用いてもよいですし,定期テストなどで答案に「サラスの公式より」と書くのが憚られる場合は誘導にしたがって求積した上で検算に用いることもできます。
  • (i)の場合には最後に $\dfrac{1}{2}$ 倍,(ii)の場合には最後に $\dfrac{1}{6}$ 倍するのを忘れやすいので注意しましょう。
  • 面積or体積を求めたい図形の頂点に原点が含まれない場合は,いずれかの頂点が原点に重なるように全ての頂点を平行移動して考えます。

$A(1,3), B(-1,-3), C(0,-1)$ として三角形 $ABC$ の面積を求めたいときは,各頂点を $y$ 方向に1ずらして $A'(1,4), B'(-1, -2), C'(0,0)$ として
三角形 $ABC$ の面積=三角形 $A’B’C’$の面積$=\frac{1\cdot(-2)-4\cdot(-1)}{2}=1$,
とすればよい。

サラスの公式の他の応用例

サラスの公式の応用例としては,
正四面体の面積の公式の導出や,体積比の公式の導出があります。
→正三角形の面積,正四面体の体積
→三角形の面積比にまつわる公式たちのラスト

サラスの公式の証明

読者の方に質問をいただいたのでサラスの公式の証明を追記しておきます。愚直に体積を計算していく方針ですが,座標空間の便利な道具を駆使することで簡単な計算で証明できます。
使う道具は以下の3つです:
「ベクトルの外積」→内積と外積の本質的な意味と嬉しさ
「平面の方程式」→平面の方程式とその3通りの求め方
「点と平面の距離公式」→点と平面の距離公式とその証明

証明

三角形 $OAB$ を底面とする四面体と見て体積を計算する。

三角形 $OAB$ の面積 $S$ は,
$S=\dfrac{1}{2}OA\times OB\times\sin \angle AOB\\
=\dfrac{1}{2}OA\times OB\times\sqrt{1-\cos^2\angle AOB}\\
=\dfrac{1}{2}\sqrt{OA^2OB^2-(\overrightarrow{OA}\cdot \overrightarrow{OB})^2}\\
=\dfrac{1}{2}\sqrt{(x_1^2+y_1^2+z_1^2)(x_2^2+y_2^2+z_2^2)-(x_1x_2+y_1y_2+z_1z_2)^2}\\
=\dfrac{1}{2}\sqrt{(y_1z_2-y_2z_1)^2+(z_1x_2-z_2x_1)^2+(x_1y_2-x_2y_1)^2}$

次に,三角形 $OAB$ を含む平面の方程式を求める。法線ベクトルはベクトルの外積を用いて,
$\overrightarrow{OA}\times \overrightarrow{OB}=(y_1z_2-y_2z_1,z_1x_2-z_2x_1,x_1y_2-x_2y_1)$ と表わせるので,求める平面が原点を通ることに注意すると,
$(y_1z_2-y_2z_1)x+(z_1x_2-z_2x_1)y+(x_1y_2-x_2y_1)z=0$
となる。

最後に三角形 $OAB$ と点 $C$ の距離 $h$ を求める。点と平面の距離公式より,
$h=\dfrac{|(y_1z_2-y_2z_1)x_3+(z_1x_2-z_2x_1)y_3+(x_1y_2-x_2y_1)z_3|}{\sqrt{(y_1z_2-y_2z_1)^2+(z_1x_2-z_2x_1)^2+(x_1y_2-x_2y_1)^2}}$

ここで,求める体積は $\dfrac{1}{3}Sh$ だが $S$ と $h$ の分母が打ち消し合って $h$ の分子の $\dfrac{1}{6}$ 倍が残り,サラスの公式が証明された。

なお,この公式を応用することで六辺の長さから四面体の体積を求める公式も導出できます。→四面体の体積を求める2つの公式with行列式

大学で行列式を習うとサラスの公式のイメージがより鮮明になります→行列式の3つの定義と意味

Tag: センター試験にも役立つ即効性の高い公式まとめ
Tag: 三角形の面積を求める公式まとめ

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