2014/03/01

外接円の半径と内接円の半径の関係


三角形 $ABC$ の内接円の半径を $r$, 外接円の半径を $R$ とするとき以下の式が成立する:
$r=4R\sin\dfrac{A}{2}\sin\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}$


美しい関係式です、数学オリンピックを目指す人は覚えておきましょう。
ただ,公式を覚えることよりもエレガントな証明と応用例(オイラーの不等式を導く)を知っておくことが大事だと思います。

公式の証明1(三角関数の計算)

証明

内接円の半径と面積の関係式から,
$S=\dfrac{1}{2}r(a+b+c)$
外接円の半径と面積の関係式から,
$S=\dfrac{abc}{4R}$
2つの式から $S$ を消去すると,$\dfrac{abc}{4R}=\dfrac{1}{2}r(a+b+c)$
ここで,正弦定理を用いて辺の情報を角度の情報に変換する:
$2R^2\sin A\sin B\sin C=rR(\sin A+\sin B+\sin C)$
左辺を倍角公式,右辺を和積公式の発展版で変形する:
$16R\sin\dfrac{A}{2}\cos\dfrac{A}{2}\sin\dfrac{B}{2}\cos\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}\cos\dfrac{C}{2}=4r\cos\dfrac{A}{2}\cos\dfrac{B}{2}\cos\dfrac{C}{2}$
この式を整理して求める公式を得る。

公式の証明2(図形的に求める)

r4rsin

証明

1:強引に $\sin\frac{A}{2}$ と $r$ を登場させる。
三角形の内心を $I$ とおく。
$r=AI\sin \dfrac{A}{2}$
2:強引に $\sin\frac{B}{2}$ と $R$ を登場させる。
直線 $BI$ と外接円の交点を $D$ とおく。
三角形 $ABD$ に正弦定理を用いて,$\dfrac{AD}{\sin \frac{B}{2}}=2R$ 以上2式から,$\dfrac{r}{R}=2\dfrac{AI}{AD}\sin \dfrac{A}{2}\sin \dfrac{B}{2}$
3:目的の式と比較する。
$\dfrac{AI}{AD}=2\sin\dfrac{C}{2}$ を示せばよいが,
これは$∠DAI=∠DIA=\dfrac{A+B}{2}$ より従う。

公式の応用例(オイラーの不等式の証明)

上の公式を用いてオイラーの不等式($R\geq2r$)を証明します。

証明

$r=4R\sin\dfrac{A}{2}\sin\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}$ より,
$\sin\dfrac{A}{2}\sin\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}\leq\dfrac{1}{8}$ を全力で示せばよい。
まず,相加相乗平均の不等式より,
$\sin\dfrac{A}{2}\sin\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}\leq \left(\dfrac{\sin\frac{A}{2}+\sin\frac{B}{2}+\sin\frac{C}{2}}{3}\right)^3$
次に,$0\leq x \leq \pi$ で $\sin x$ は上に凸関数なので,イェンゼンの不等式より
$\dfrac{\sin\frac{A}{2}+\sin\frac{B}{2}+\sin\frac{C}{2}}{3}\leq \sin \left(\dfrac{\frac{A}{2}+\frac{B}{2}+\frac{C}{2}}{3}\right)=\sin \dfrac{\pi}{6}=\dfrac{1}{2}$
上の2つの式を合わせることにより題意は示された。

ちなみに,等号成立条件は $A=B=C$  つまり,三角形 $ABC$ が正三角形の場合であるということも分かる。


Tag: 幾何不等式の解法パターンまとめ