2014/04/14

ピタゴラス数の求め方とその証明

分野: 整数問題  レベル: 最難関大学

ピタゴラス数を全て作り出す公式:
$a^2+b^2=c^2$ を満たす自然数の組$(a,b,c)$ をピタゴラス数と呼ぶ。
ピタゴラス数の中で $a,b,c$ の最大公約数が $1$ のものは,ある正の整数 $m,n$ を用いて $a=m^2-n^2,b=2mn,c=m^2+n^2$
(または $b=m^2-n^2,a=2mn,c=m^2+n^2$)
という形で表せる。

この公式を知っているとピタゴラス数にまつわる入試問題の見通しがよくなります。

ピタゴラスの定理を満たす3つの自然数の組のことをピタゴラス数と言います。例えば,$3^2+4^2=5^2$ なので$(3, 4, 5)$ はピタゴラス数です。ピタゴラス数を全て求める(一般解を求める)のが上の公式です。

ピタゴラス数を作り出す公式

ピタゴラス数は定数倍してもピタゴラス数なので最大公約数が $1$ のもののみを考えます。例えば,$(3, 4, 5)$ がピタゴラス数なので$(6, 8, 10),(9,12,15)$ などもピタゴラス数ですが,それらは「同じ」ピタゴラス数とみなします。最大公約数が $1$ のピタゴラス数を原始ピタゴラス数と言います。

上の公式に従うといくらでもピタゴラス数を作り出すことができます。$(m^2-n^2)^2+(2mn)^2=(m^2+n^2)^2$ だからです!

(例):$m=2,n=1$ とすれば,$3^2+4^2=5^2$
$m=3,n=2$ とすれば $5^2+12^2=13^2$
のようにピタゴラス数を作り出せます。

ここまではよいのですが,重要なのは,全ての原始ピタゴラス数が上記の形で表せるということです。

以下でこのことを証明します。

全ての原始ピタゴラスが表せることの証明

方針:以下の順番で証明していきます。
1:$a$ と $b$ のどちらか一方のみ奇数で他方は偶数。 $c$ は奇数である。
2:$\dfrac{c+a}{2}, \dfrac{c-a}{2}$ はともに平方数である。
3:公式の導出

1の証明

$(a,b,c)$ を原始ピタゴラス数とする。
$a,b$ ともに偶数だと $c$ も偶数となり最大公約数が1でなくなる。 $a,b$ ともに奇数だと $a^2+b^2$ は $4$ で割って2余るが,$c^2$ は4で割った余りは0か1なので不適。
つまり,$a$ と $b$ のどちらか一方のみ奇数で他方は偶数。
よって,$a^2+b^2$ が奇数なので $c$ も奇数
$a$ を奇数,$b$ を偶数としても一般性を失わない。

次に2を背理法で証明します。

2の証明

$\dfrac{c+a}{2}$ と $\dfrac{c-a}{2}$ のどちらか一方でも平方数でないとすると,それらの積は平方数である($\dfrac{c+a}{2}\cdot \dfrac{c-a}{2}=\dfrac{b^2}{4}$ に注意)ので
$\dfrac{c+a}{2}$ と $\dfrac{c-a}{2}$ は共通因数 $p\geq 2$ を持つ。つまり,$c+a=2up, c-a=2vp$ ただし $u,v$ は自然数,と書ける。
これを $a,c$ について解くと,
$a=(u-v)p, c=(u+v)p$
よって,$a,c$ はともに $p$ の倍数となり,さらに $b$ も $p$ の倍数となるので原始ピタゴラス数であるという仮定に矛盾。

最後に整理します。

3の証明

2より $\dfrac{c+a}{2}=m^2,\dfrac{c-a}{2}=n^2$ と書けるので,これを $a,c$ について解くと
$a=m^2-n^2,c=m^2+n^2$ となり証明完了。

なお,この証明中には整数問題の重要なテクニックが2つ含まれています。
「割った余りを考える(平方剰余)」により1の証明が,
「整数問題の不定方程式は因数分解すべし」により2の証明が自然と思いつくようになれば玄人です。

2015/4/2:大幅に追記・修正しました。

ピタゴラス数を全て作り出せるというのはすごい!

Tag: 不定方程式の解き方まとめ

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