2015/06/16

多項式の割り算の二通りの計算方法と例題

分野: 式の計算  レベル: 基本公式

整式の除法:任意の多項式 $A(x),B(x)$ に対して,

  • $A(x)=B(x)Q(x)+R(x)$
  • $\deg R(x) <\deg B(x)$

を満たす多項式 $Q(x)$,$R(x)$ がただ一つ定まる。 $Q$ を商,$R$ を余りと言う。

注:$x$ についての多項式 $R(x)$ の次数を $\deg R(x)$ などと書きます。

多項式の割り算

多項式 $A,B$ が与えられたときに割り算を実行する($Q,R$ を求める)二通りの方法を解説します。

$\deg A <\deg B$ のときはつまらない($Q(x)=0,R(x)=A(x)$ となる,割り算で何も起こらない)ので,以下 $\deg A \geq \deg B$ の場合を考えます。

割り算の式の両辺の次数に注目すると, $\deg A=\deg B+\deg Q$ となり,$Q$ の次数が分かります。

方法1:恒等式の問題にする

例題1

$A(x)=x^3+2x^2+5$ を $B(x)=x^2-x+4$ で割った商と余りを求めよ。

方針:$\deg Q=\deg A-\deg B=1$ および $R$ が一次以下の式であることに注意して恒等式の問題にします。

解答

商 $Q$ は一次式,余り $R$ は一次以下の式なので,$Q(x)=ax+b,R(x)=cx+d$ とおける。

$x^3+2x^2+5=(x^2-x+4)(ax+b)+cx+d$
が恒等式となる $a,b,c,d$ を求めるのが目標。
右辺を展開すると,$ax^3+(b-a)x^2+(4a-b+c)x+4b+d$
となる。係数比較すると
$1=a,2=b-a,0=4a-b+c,5=4b+d$
これを解くと,$a=1,b=3,c=-1,d=-7$

よって,商は $x+3$,余りは$-x-7$


補足

・係数比較の際に,高次の項の式から順々に見ていくことで $a,b,c,d$ が順々に一つずつ決まっていきます(この例題以外でも同じような構造になる)。

・試験では出てきた値をもとの赤字の等式に代入して恒等式であることを再確認(検算)することをオススメします。

方法2:筆算

多項式の割り算を筆算で行います!

多項式の割り算に対する筆算:
1.割る式と割られる式の係数を並べる。存在しない項は係数 $0$ とみなすことに注意。
2.数字に対する割り算と同じように筆算する(左の桁を1つずつ消していくように)。
3.右端まで行ったらストップ。上に商の係数が並び,下に余りの係数が並ぶ。

例題1(再掲):$A(x)=x^3+2x^2+5$ を $B(x)=x^2-x+4$ で割った商と余りを求めよ。

多項式の割り算の筆算

解答

図のように割り算を筆算で実行していく。
商の係数は順番に $1,3$ なので $Q(x)=x+3$,
余りの係数は順番に$-1,-7$ なので $R(x)=-x-7$ と分かる。

二つの方法の比較,例題

・慣れたら方法2(筆算)の方がかなり早いですが,割り算の意味,構造は方法1(恒等式)の方が分かりやすいです。

・ $B(x)$ が一次式(特に一次の係数が1)のときは組立除法を使うとさらにスピーディーにできます。

最後に例題をもう一問。

例題2

$A(x)=-2x^4$ を $B(x)=x^2-1$ で割った商と余りを求めよ。

方法1による解答:商は二次式,余りは一次以下の式なので,
$-2x^4=(x^2-1)(ax^2+bx+c)+dx+e$
を満たす $a$ 〜 $e$ を求めればよい。
係数比較すると $a=-2,b=0,c=-2,d=0,e=-2$ となるので商は$-2x^2-2$,余りは$-2$

多項式の割り算の例題

方法2による解答:図のように筆算をすると,方法1と同じ答えを得る。

注:$A(x)=-2x^4+0x^3+0x^2+0x+0$ なので $0$ が4つ並んでいる。

計算ミスしやすいポイントなので検算も忘れないようにしてください!

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