2015/07/15

log xのn階微分とテイラー展開

分野: 極限,微分  レベル: 最難関大学

対数関数のテイラー展開:
$-1 < x \leq 1$ のとき,
$\log (1+x)=x-\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^3}{3}-\dfrac{x^4}{4}+\cdots$

  • $y=\log x$ の $n$ 次導関数
  • $\log x$ の $x=1$ でのテイラー展開

について解説します。

対数関数の $n$ 階微分

まずは高校数学の教科書レベル。テイラー展開の準備として対数関数の $n$ 階微分を求めます。 $n$ 階微分を求める問題→予想して帰納法という典型的なパターンです。

例題

$y=\log x$ の $n$ 次導関数 $y^{(n)}$ を求めよ。

解答

何回も微分してみると,$y’=\dfrac{1}{x}$
$y^{(2)}=-\dfrac{1}{x^2}$
$y^{(3)}=\dfrac{2}{x^3}$
$y^{(4)}=-\dfrac{3!}{x^4}$
より,一般に $y^{(n)}=(-1)^{n-1}\dfrac{(n-1)!}{x^n}$ となることが予想できる。

実際これは以下のように帰納法で証明できる:

  • $n=1$ のときOK
  • $n=k$ のときOKと仮定すると,

$y^{(k+1)}=\dfrac{d}{dx}\left\{(-1)^{k-1}\dfrac{(k-1)!}{x^k}\right\}\\
=(-1)^k\dfrac{k!}{x^{k+1}}$

log (1+x)を考える理由

ここから教科書範囲外です。対数関数 $\log x$ を多項式で近似したいという状況を考えます。

$\sin x,\cos x,e^x$ は $x=0$ でテイラー展開(マクローリン展開)することができました(→sinとcosのn階微分とマクローリン展開→e^xのマクローリン展開)が,$\log x$ は $x=0$ で定義されていないのでマクローリン展開できません。

そこで,$\log x$ を $x=1$ でテイラー展開することを考えます($x=2$ とか別の値でも展開できるがきれいな式にはならない)。

これは(平行移動して考えると), $\log (1+x)$ を $x=0$ で展開(マクローリン展開)するともみなせます。

対数関数のテイラー展開

というわけで,$f(x)=\log (1+x)$ をマクローリン展開します。

$f(x)$ の $n$ 階微分は,$\log x$ の $n$ 階微分を$-1$ 平行移動したものです:
$f^{(n)}(x)=(-1)^{n-1}\dfrac{(n-1)!}{(x+1)^n}$
よって,$f^{(n)}(0)=(-1)^{n-1}(n-1)!$

これをマクローリン展開の公式:
$f(x)=f(0)+f'(0)x+\dfrac{f^{(2)}(0)}{2!}x^2+\dfrac{f^{(3)}(0)}{3!}x^3$
に代入すると,

$\log (1+x)=x-\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^3}{3}-\dfrac{x^4}{4}+\cdots$
となります。
($x^n$ の係数 $a_n$ は $\dfrac{f^{(n)}(0)}{n!}=\dfrac{(-1)^{n-1}(n-1)!}{n!}=\dfrac{(-1)^{n-1}}{n}$ となる)

収束半径

$\log (1+x)$ のマクローリン展開の収束半径 $R$ は $1$ です(つまり$-1 < x < 1$ で冒頭の式の右辺の級数が収束することが保証される)。→収束半径の意味と求め方

これはダランベールの判定法から分かります:
$\dfrac{1}{R}=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left|\dfrac{a_{n+1}}{a_n}\right|\\
=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{n}{n+1}=1$

ちなみに,$x=1$ のときは別の議論により等式の正しさが証明できます。→log2に収束する交代級数の証明

$n!$ と$(n-1)!$ が打ち消し合うのが非常にきれい!
分野: 極限,微分  レベル: 最難関大学