2016/02/02

ルモアーヌ点(類似重心)とその性質

分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック

ルモアーヌ点

三角形 $ABC$ において,「中線を角の二等分線に関して折り返した直線」は $3$ 本あるが,それらは $1$ 点で交わる。
この点をルモアーヌ点(類似重心,Symmedian Point,Lemoine Point)と言う。

ルモアーヌ点の存在証明

より一般に,以下の定理が成立します。

等角共役点について

三角形 $ABC$ と点 $P$ がある。
角の頂点を通る直線 $l$ と角の二等分線に関して対称な直線 $m$ を $l$ の等角共役線という。
$AP,\:BP,\:CP$ の等角共役線は一点 $Q$ で交わる。

上の定理において $P$ を重心とすれば,ルモアーヌ点の存在が分かります(ルモアーヌ点は重心の等角共役点です)。上の定理の証明については等角共役点とその証明を参照してください。

ルモアーヌ点の性質1

本命は性質2です。その準備。

三角形 $ABC$ のルモアーヌ点を $L$ とする。このとき,
$|ALB|:|BLC|:|CLA|=c^2:a^2:b^2$

ただし,$|ALB|$ は三角形 $ALB$ の面積,$c$ は辺 $AB$ の長さ(他も同様)です。

証明はよい練習問題です。ここでは計算でやってみます。

ルモアーヌ点の性質

証明

$|ALB|:|ALC|=c^2:b^2$ を示す。$BC$ の中点を $M$,$\angle BAM=\angle CAL=\theta$ とおく。

$|ALB|:|ALC|=c\sin(A-\theta):b\sin\theta\\
=c\sin A\dfrac{\cos\theta}{\sin\theta}-c\cos A:b$

ここで,三角形 $AMB$ に余弦定理および正弦定理を用いると,
$\dfrac{\cos\theta}{\sin\theta}=\dfrac{c^2+AM^2-\frac{a^2}{4}}{2c AM}\div\dfrac{a\sin B}{2AM}\\
=\dfrac{c^2+AM^2-\frac{a^2}{4}}{ac\sin B}$

これを上式に代入して整理すると,
$|ALB|:|ALC|=\dfrac{c^2}{b}:b$ を得る。

ただし,途中で $AM^2=\dfrac{-a^2+2b^2+2c^2}{4}$(中線定理を使えば簡単に導出できる→三角形の五心と頂点までの距離),$\dfrac{\sin B}{\sin A}=\dfrac{b}{a}$,$\cos A=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc}$を用いる。

ルモアーヌ点の性質2

三角形 $ABC$ 内の点 $P$ から $BC,CA,AB$ に下ろした垂線の長さを $d_A,d_B,d_C$ とする。
ルモアーヌ点は $d_A^2+d_B^2+d_C^2$ を最小にするような点 $P$ である。

証明

$ABC$ を3つに分割して考えることにより,
$2|ABC|=ad_A+bd_B+cd_C$ である。よって,シュワルツの不等式より,
$(d_A^2+d_B^2+d_C^2)(a^2+b^2+c^2)\geq 4|ABC|^2$

よって(シュワルツの等号成立条件から),$d_A:d_B:d_C=a:b:c$ のときに $d_A^2+d_B^2+d_C^2$ は最小となる。実際,ルモアーヌ点は(性質1より)この条件を満たしている!

ルモワーヌという表記も見かけます。

Tag: 三角形の五心に関する定理まとめ

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