2015/07/31

球面上の多角形の面積と美しい応用

分野: 空間図形  レベル: マニアック

半径が $R$ の球面上の $n$ 角形について,その面積を $S$,内角を $\theta_1,\theta_2,\cdots,\theta_n$ とおくと,
$S=R^2\{\displaystyle\sum_{i=1}^n\theta_i-(n-2)\pi\}$

この公式の証明,および美しい応用としてオイラーの多面体定理の証明を解説します。

球面上の多角形

平面では線分(つまり直線の一部)で囲まれた図形のことを多角形と言いますが,球面上では大円の一部で囲まれた図形のことを多角形と言います。
注:球の中心を通る平面と球面の共通部分を大円と言います。

球面上の多角形の面積と内角の和には美しい関係がある,というのが冒頭の定理です。三角形の場合が本質的です(証明は球面上の三角形の面積と内角の和を参照して下さい)。

三角形の場合を認めれば一般の $n$ 角形については簡単に証明できます!

証明

球面上の $n$ 角形は$(n-2)$ 個の球面上の三角形に分割できる。
よって,$(n-2)$ 個の三角形に定理を適用して辺々加えれば $n$ 角形の場合の公式を得る。

オイラーの多面体定理

穴の開いていない多面体について頂点の数を $V$,辺の数を $E$,面の数を $F$ とすると,$V-E+F=2$ が成立します(オイラーの多面体定理)。

平面グラフに帰着させる証明をオイラーの多面体定理の証明で解説していますが,この記事では冒頭の定理を用いたオイラーの多面体定理の別証を紹介します。

簡単のため凸多面体(へこんでいない多面体)を考えます。

美しい証明

多面体を球面に射影することで球面上の問題にします。そして冒頭の公式を用いて球面の面積を計算していきます。

オイラーの多面体定理

証明

STEP1:多面体を球面に射影する
多面体に含まれる十分小さい球を考える。球の中心を $O$,半径を $R$ とする。
多面体上の任意の点 $A$ を,線分 $OA$ と球面の交点 $A’$にうつす変換を考える。この変換で,多面体の頂点は球面上の一点に,多面体の辺は球面上の大円の一部にうつる。
よって,もとの多面体の $n$ 角形は球面上の $n$ 角形にうつる。

STEP2:球面の面積を $V,E,F$ で表す
もとの多面体の $n$ 角形の数を $c_n$ とおく。
球面の面積は分割された多角形の面積の和であるので冒頭の公式より,
$\dfrac{S}{R^2}=$全ての内角の和$-\displaystyle\sum_{n} (n-2)\pi c_n$

  • 一つの頂点の周りの角度は球面でも $2\pi$ なので,全ての内角の和は $2\pi V$
  • 各面ごとに辺の本数を数えていくと,$\displaystyle\sum_{n}nc_n=2E$
  • $\displaystyle\sum_{n}c_n=F$

以上より,$\dfrac{S}{R^2}=2\pi V-2\pi E+2\pi F$
これが $4\pi$ と等しいので,$V-E+F=2$ を得る。

今日の記事は知人のI氏からの提供でした,感謝!
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