2015/02/20

共役無理数に関する二つの定理

分野: 方程式,恒等式  レベル: 最難関大学

共役無理数:$a,b$ を有理数,$k$ を平方因子を持たない(同じ素数で2回以上割り切れない)$2$ 以上の整数とする。このとき,
$a+b\sqrt{k}$ と $a-b\sqrt{k}$ は互いに共役であるという。


共役無理数に関する二つの定理を解説します!

具体例など

  • 例:$3+\sqrt{2}$ と $3-\sqrt{2}$ は共役。 $\sqrt{7}$ と$-\sqrt{7}$ は共役。
  • $a+b\sqrt{k}$ 型の無理数を二次の無理数と言います。
  • $b\neq 0$ のとき,$a+b\sqrt{k}$ が無理数であることは,背理法で簡単に証明できます($\sqrt{2}$ が無理数であることの証明と同様)。
  • 複素数の共役とかなり似ています。
  • $r=a+b\sqrt{k}$ の共役な数を $\overline{r}=a-b\sqrt{k}$ と書きます。
    すると,簡単な計算により
    性質1:$\overline{r_1+r_2}=\overline{r_1}+\overline{r_2}$
    性質2:$\overline{r_1\cdot r_2}=\overline{r_1}\cdot\overline{r_2}$

    が分かります(ただし $r_1$ と $r_2$ の $k$ は共通とする)。

方程式の解について

定理1:有理数係数多項式=0という方程式に対して $a+b\sqrt{k}$ が解なら,その共役な無理数 $a-b\sqrt{k}$ も解である。

「実数係数多項式=0という方程式に対して複素数 $z$ が解なら $\overline{z}$ も解である」という定理にかなり似ています。→共役複素数の覚えておくべき性質

証明も複素数の場合と全く同様にできます(性質1と性質2を使う)。

有理数係数というのは重要です。実際,係数として無理数を許すと上記の定理は成立しません。

$\sqrt{2}x=2$ という方程式について,$\sqrt{2}$ は解だが$-\sqrt{2}$ は解でない。

発展的な話題

定理2:
$(a+b\sqrt{k})^n=a_n+b_n\sqrt{k}$(ただし,$a_n,b_n$ は有理数)で数列 $a_n,b_n$ を定める。このとき,$(a-b\sqrt{k})^n=a_n-b_n\sqrt{k}$

難関大の入試ではけっこう頻出の話題です。例えばペル方程式の一般解を明示的に書き表すときに活躍します(→三角数とは,三角数定理,平方数との関係の一番下)。

定理2の二通りの証明を解説します。

証明1

性質1を使います。
$(a+b\sqrt{k})^n=a_n+b_n\sqrt{k}$
の両辺の共役を取ると,
$\overline{(a+b\sqrt{k})^n}=a_n-b_n\sqrt{k}$
ここで,性質2を用いて左辺を計算すると,
$\overline{(a+b\sqrt{k})^n}=\left(\overline{a+b\sqrt{k}}\right)^n=(a-b\sqrt{k})^n$ となる

美しいですね!
二項定理を用いた証明もあります。

証明2

二項定理より,$(a+b\sqrt{k})^n=\displaystyle\sum_{t=0}^n{}_n\mathrm{C}_ta^{n-t}(b\sqrt{k})^{t}$
$t$ が偶数のときの項の和が $a_n$ で奇数のときの項の和が $b_n\sqrt{k}$ である。

一方,
$(a-b\sqrt{k})^n=\displaystyle\sum_{t=0}^n{}_n\mathrm{C}_ta^{n-t}(-b\sqrt{k})^{t}$
$(-1)$ の指数が $t$ であることに注意すると,$t$ が偶数のときの項の和は $a_n$ と一致し,奇数のときの項の和は$-b_n\sqrt{k}$ と一致することが分かる。

突然ですが「二次体の整数論が数オリや入試の問題に使える」という例をご存知の方がもしいたらご一報ください。
分野: 方程式,恒等式  レベル: 最難関大学