2014/08/12

極線の方程式の証明と応用

分野: 座標,ベクトル  レベル: 最難関大学

極線の方程式

円 $x^2+y^2=r^2$ とその外側の点 $A(x_1,y_1)$ から引いた二本の接線の交点をそれぞれ $P,Q$ とおくと,直線 $PQ$ の方程式は $x_1x+y_1y=r^2$

直線 $PQ$ のことを極線と呼びます。(イントネーションは「曲線」とは異なります)

極線の方程式の導出

極線の方程式を求める問題は入試でしばしば出題されます。
上記の公式を用いれば接点の座標を求めずして極線の方程式を一発で求めることができます。

方針:接点の座標をそれぞれ $P(p_x,p_y), Q(q_x,q_y)$ とおき,$P,Q$ が $x_1x+y_1y=r^2$ 上にあることを言えばいいのです。独特な証明方法ですが重要なので理解するまでじっくり考えてみてください。

極線の方程式の証明

証明

$x^2+y^2=r^2$ 上の点 $P(p_x,p_y)$ における接線の方程式は,
$p_xx+p_yy=r^2$
これが点 $A(x_1,y_1)$ を通るとき,$p_xx_1+p_yy_1=r^2$ を満たす。
つまり,題意の方程式 $l:x_1x+y_1y=r^2$ 上に点 $P$ があることがわかった。
同様に $l$ 上に点 $Q$ もある。そして,$P,Q$ を通る直線は一本しかないので $l$ こそが求める極線である。

円の中心が一般の場合の極線の方程式

より一般的に,$(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ とその外側の点$(x_1,y_1)$ に関する極線の方程式は,
$(x_1-a)(x-a)+(y_1-b)(y-b)=r^2$ です。
原点中心の場合の結果とグラフの平行移動の考え方を用いて証明します。

証明

図形全体を $x$ 軸方向に$-a$,$y$ 軸方向に$-b$ 平行移動して円の中心を原点にずらす:
円:$x^2+y^2=r^2$
外側の点:$(x_1-a,y_1-b)$
よって先ほどの結果より,これらに対する極線の方程式は
$(x_1-a)x+(y_1-b)y=r^2$
これを元に戻す($x$ 軸方向に $a$,$y$ 軸方向に $b$ 平行移動)
すると求めるの極線方程式が得られる!

極線の方程式の応用

極線にまつわる重要な性質を紹介します。

  • この性質を証明せよと入試で出題されたことがあります!
  • 数学オリンピックの問題でたまに使える性質です!

極線と調和点列:
点 $A$,円 $C$,極線を $PQ$ とする。円 $C$ と2点 $S,T$ で交わり極線と $B$ で交わるような $A$ を通る直線を考える。
すると,$AS:SB=AT:TB$ ($A,S,B,T$ は調和点列である)

ここでは極線の方程式を使って機械的な座標計算で証明します。(解と係数の関係を用いることで計算量を減らすことができます)

極線と調和点列

証明

$C:x^2+y^2=r^2,$ $A(a,0),$ $l:y=m(x-a)$ と座標を設定する。
目標は $AS:SB=AT:TB$ だが,長さを計算するのは面倒なので全て $x$ 座標の比率で考える(注1)

  • 極線の方程式は $ax=r^2$ より $B$ の $x$ 座標は $\dfrac{r^2}{a}$
  • 直線と円の方程式を連立させて $y$ を消去すると,

$x^2(m^2+1)-2am^2x+a^2m^2-r^2=0$
なので $S,T$ の $x$ 座標を $\beta,\alpha$ として
解と係数の関係より $\alpha+\beta=\dfrac{2am^2}{m^2+1}, \alpha\beta=\dfrac{a^2m^2-r^2}{m^2+1}$

ここで,目標は,
$a-\beta:\beta-\dfrac{r^2}{a}=a-\alpha:\dfrac{r^2}{a}-\alpha\\
⇔2r^2+2\alpha\beta-(a+\dfrac{r^2}{a})(\alpha+\beta)=0$
なので上記の結果を代入して左辺を計算すると確かに成立していることが分かる。

注1:長さの比は $x$ 方向の距離の比と等しいです。
注2:細かい計算は省略したので是非とも一度手を動かして確認してみてください。

追記

「極線と調和数列」の美しい証明を読者の方に教えてもらいました。

証明

極線と調和数列の証明

接弦定理より,
$\angle APS=\angle SQB$($=\alpha$ とおく)
$\angle BPS=\angle SQA$($=\beta$ とおく)
$\angle TPB=\gamma$ とおく
$\angle PQT=\delta$ とおく

すると(頂点 $P$ を含む)三角形の面積比に注目することで
$\dfrac{AS}{SB}\cdot\dfrac{TB}{AT}=\dfrac{AP\sin\alpha}{BP\sin\beta}\cdot\dfrac{BP\sin\gamma}{AP\sin(\alpha+\beta+\gamma)}=\dfrac{\sin\alpha\sin\gamma}{\sin\beta\sin\delta}$
($\alpha+\beta+\gamma+\delta=180^{\circ}$ であることを用いた)

同様に(頂点 $Q$ を含む)三角形の面積比に注目することで
$\dfrac{AS}{SB}\cdot\dfrac{TB}{AT}=\dfrac{AQ\sin\beta}{BQ\sin\alpha}\cdot\dfrac{BQ\sin\delta}{AQ\sin(\alpha+\beta+\delta)}=\dfrac{\sin\beta\sin\delta}{\sin\alpha\sin\gamma}$

以上2つの式より($x=\dfrac{1}{x}$ かつ $x> 0$ なら $x=1$ なので)$\dfrac{AS}{SB}\cdot\dfrac{TB}{AT}=1$

最後の美しい証明を教えて下さった方,ありがとうございました!
分野: 座標,ベクトル  レベル: 最難関大学