2014/11/11

弧長積分の公式の証明と例題

分野: 積分  レベル: 最難関大学

弧長積分1:$f$,$g$ が連続かつ微分可能で $f’$,$g’$も連続とする。
$x=f(t), y=g(t)$ と媒介変数表示された曲線 $C$ の $\alpha\leq t\leq \beta$ の部分の長さは, $\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\sqrt{f'(t)^2+g'(t)^2}dt$

弧長積分2:$f$ は連続かつ微分可能で $f’$も連続とする。
$y=f(x)$ と媒介変数表示された曲線 $C$ の $a\leq x\leq b$ の部分の長さは, $\displaystyle\int_{a}^{b}\sqrt{1+f'(x)^2}dx$

弧長積分の公式について

  • 弧長積分の公式は2つとも一般の曲線の長さ(弧長)を積分で求める公式です。「弧長積分」は弧長を求める積分公式というくらいの意味で,きちんとした数学用語ではありません。
  • 「連続」とか「微分可能」とかの細かい条件は大学入試で使うためだけなら覚えなくてもOKです。
  • 弧長積分の公式は高校数学の教科書には載っていません(新課程で登場しました)。しかし,難関大の入試にはときどき登場するので念のため公式は覚えておきましょう。
  • ルートの中に二乗の和が登場してしまうので,実際積分計算が遂行できるような関数は少ないです。放物線 $y=x^2$ の長さを求めるのも簡単ではありません($\sqrt{1+4x^2}$ の積分計算をする必要がある)。

曲線の長さを求める例題

曲線が媒介変数表示されていたら公式1を使いましょう。

例題1

$x=e^{t}\cos t,\:y=e^{t}\sin t$ で表される曲線の $0\leq t\leq 2\pi$ の部分の長さ $L$ を求めよ。

解答

$x’=e^t\cos t-e^t\sin t,\:y’=e^t\cos t+e^t\sin t$ なので,
$L=\displaystyle\int_0^{2\pi}\sqrt{(e^t\cos t-e^t\sin t)^2+(e^t\cos t+e^t\sin t)^2}dt\\
=\displaystyle\int_0^{2\pi}e^t\sqrt{2\cos^2 t+2\sin^2 t}dt\\
=\sqrt{2}\int_0^{2\pi}e^tdt\\
=\sqrt{2}(e^{2\pi}-1)$


$y=f(x)$ というおなじみの形なら公式2を使いましょう。

例題2

$y=\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}$ で表される曲線の $0\leq x\leq 1$ の部分の長さ $L$ を求めよ。

解答

$y’=\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}$ であり,計算すると $1+(y’)^2=y^2$ なので,
$L=\displaystyle\int_0^1\sqrt{1+(y’)^2}dx\\
=\displaystyle\int_0^1\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}dx\\
=\dfrac{1}{2}[e^x-e^{-x}]_0^1\\
=\dfrac{1}{2}(e-\dfrac{1}{e})$


ちなみに,例題1の曲線は等角螺旋,例題2の曲線はカテナリー(双曲線関数)と呼ばれる有名な曲線です。
→媒介変数表示された有名な曲線7つ
→双曲線関数にまつわる重要な公式まとめ

弧長積分の公式の導出

まずは公式1を証明します。公式1が証明できたら公式2は一瞬です。

方針:曲線の長さを折れ線で近似します。折れ線の数を増やしていき近似の精度を上げていった極限を取ると公式が導出できます。

曲線の長さ

(公式1の証明)
媒介変数が $t$ から $t+\Delta t$ に変化するとき,$x$ の増加量を $\Delta x$,$y$ の増加量を $\Delta y$ とおく。
その部分の曲線の長さは,線分の長さで近似できる:
$\sqrt{(\Delta x)^2+(\Delta y^2)}=\sqrt{(\dfrac{\Delta x}{\Delta t})^2+(\dfrac{\Delta y}{\Delta t})^2}\Delta t$

よって,曲線の長さ $L$ は折れ線で近似できる:
$L\simeq \displaystyle\sum \sqrt{(\dfrac{\Delta x}{\Delta t})^2+(\dfrac{\Delta y}{\Delta t})^2}\Delta t$
ここで,$t\to 0$ の極限を取ったものが曲線の長さである。右辺は微分の定義よりルートの中身 $\to f'(t)^2+g'(t)^2$ となり,さらに積分の定義より $L=\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}\sqrt{f'(t)^2+g'(t)^2}dt$ となる。

(公式2の証明)
$x=t,\:y=f(t)$ と媒介変数表示された曲線に公式1を適用すればよい。

定理の前提条件について(気になる人のみどうぞ)

※公式1の証明の最後,極限を取るときに,ルートの中身の極限を取ってから全体の極限を取った。このように一部分だけ先に極限を取る操作は一般には許されない。(例えば $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{n^2}{n}=\infty$ だが,左辺を計算するときに分母だけ先に極限を取ると,$\displaystyle\lim_{n\to\infty}0=0$ となる。)しかし,先に極限を取った部分が有限確定値に収束するなら問題ない。この場合は $f$ や $g$ が微分可能という条件があるのでOK。

また, $f’$や $g’$が連続であるので,シグマの極限を取って積分に飛ばせた(不連続関数に対しては積分は定義できないことがある)。

厳密さと分かりやすさの両立って難しいですね。

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