2015/03/10

剰余の定理の証明と応用

分野: 方程式,恒等式  レベル: 基本公式

剰余の定理:多項式 $P(x)$ を $x-a$ で割った余りは $P(a)$

剰余の定理についての注意,証明,例題などを解説します。

具体例

まずは剰余の定理を一発適用するだけの問題です。

例題1

$f(x)=x^2+3x+1$ を $x-3$ で割った余りを求めよ。

解答

余りは剰余の定理により $f(3)$ である。
実際に割り算(多項式の割り算はめんどくさい!)をしなくても $f(3)$ を計算するだけで答えが求まる:$f(3)=3^2+3\cdot 3+1=19$

剰余の定理の証明

(多項式で割り算ができることを認めれば)剰余の定理の証明は非常に簡単です。

証明

多項式 $P(x)$ を $x-a$ で割ったときの商を $Q(x)$,余りを $R$ とおくと,
$P(x)=(x-a)Q(x)+R$
この恒等式に $x=a$ を代入すると,$P(a)=R$ となる。

剰余の定理はもちろん覚えるべきですが,導出過程(商と余りを設定して立式する)が非常に重要なのできちんと理解しておきましょう。

補足

  • $f(x)$ を $x-a$ で割った余りは $f(a)$ です。 $x+a$ で割った余りは $f(-a)$ です。符号を間違う人が多いので注意して下さい。
  • 同様な議論により,$f(x)$ を $ax+b$ で割った余りは $f(-\dfrac{b}{a})$ です。(→例題2)

・剰余の定理の証明でも登場しましたが,
割り算の等式をたてる→割る式=0の解を代入する
というのが鉄板の流れです。割る式が2次以上の場合は剰余の定理は使えませんが,上記の流れは通用します。

頻出の例題

一次の係数が1でない場合

例題2

$f(x)=x^5$ を $2x-1$ で割ったときの余りを求めよ。

解答

商を $Q(x)$,余りを $R$ とおくと,$x^5=(2x-1)Q(x)+R$
両辺に $x=\dfrac{1}{2}$ を代入すると,$R=f(\dfrac{1}{2})=\dfrac{1}{32}$


二次式で割る場合

例題3

$f(x)=x^4+x$ を $x^2-3x+2$ で割ったときの余りを求めよ。

解答

余りは一次式になることに注意して商を $Q(x)$,余りを $ax+b$ とおくと,
$x^4+x=Q(x)(x^2-3x+2)+ax+b$
ここで,$x^2-3x+2=0$ の解が $x=1,2$ であるので両辺に $x=1,2$ をそれぞれ代入すると,
$2=a+b$
$2^4+2=2a+b$
これを解くと $a=16,b=-14$,よって答えは $16x-14$

応用問題

重解のときには情報が足りないので微分すると覚えておきましょう。

例題4

$f(x)=x^{10}$ を$(x-1)^{2}$ で割った余りを求めよ。

解答

余りは一次式になることに注意して商を $Q(x)$,余りを $ax+b$ とおくと,
$x^{10}=(x-1)^2Q(x)+ax+b$

鉄則に従って両辺に $x=1$ を代入すると $1=a+b$ を得る。
これだけでは情報が足りないので,両辺を $x$ で微分してから $x=1$ を代入すると $10=a$ を得る。
よって,余りは $10x-9$

注1:両辺微分するときに積の微分公式:$(fg)’=f’g+fg’$(数3で習う)を使っています。

注2:テイラー展開を知っていれば簡単に検算できます。 $f(x)=x^{10}$ を $x=1$ でテイラー展開すると,
$x^{10}=f(1)+f'(1)(x-1)+$「$(x-1)^2$ 以上の項」
よって,求める余りは $f(1)+f'(1)(x-1)=1+10(x-1)=10x-9$

剰余の定理を使った超難問がないかと探してみましたがいいのがありませんでした。

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