2015/04/08

三角関数を微分すると位相が90度進むこと

分野: 三角比・三角関数  レベル: 基本公式

$\sin x$ および $\cos x$ は微分すると位相が90度進む。積分すると位相が90度遅れる。

三角関数の微分,積分と位相の進み,遅れについて。交流回路への応用を見据えて。

三角関数の微分

$\sin x$ の微分は $\sin (x+\frac{\pi}{2})$
$\cos x$ の微分は $\cos (x+\frac{\pi}{2})$

証明

以下の二つの公式を組み合わせることで簡単に証明できる。

・三角関数の微分公式(数学3の教科書に載っている):
$\sin x$ の微分は $\cos x$
$\cos x$ の微分は$-\sin x$

・三角関数の定義より簡単に導かれる公式:
$\sin (x+\frac{\pi}{2})=\cos x$
$\cos (x+\frac{\pi}{2})=-\sin x$

なお,図形的な説明もできます。→sinxの微分公式の3通りの証明の証明3参照。

位相が遅れる,進むとは

・サインとかコサインの中身を「三角関数の位相」と言います。

$\sin \theta$ の位相は $\theta$,$3\sin 2x$ の位相は $2x$


・位相の部分を$+A$ した関数を「もとの関数よりも位相が $A$ 進んでいる」と表現することがあります(振幅が正の定数倍されていても気にしません)。

$\sin (x+\frac{\pi}{2})$ は $\sin x$ よりも位相が $\frac{\pi}{2}$ 進んでいる。
$2\cos x$ は $\cos (x+\frac{\pi}{2})$ よりも位相が $\frac{\pi}{2}$ 遅れている。

位相遅れ,進み

この意味は $y=\sin x$(赤)と $y=\sin (x+\frac{\pi}{2})$(青)のグラフを同じ図に書いてみると分かりやすいです。赤が青を($\frac{\pi}{2}$ だけ遅れながら)追いかけている様子が見て取れます。

先ほどの議論と合わせると「サインとコサインは微分すると位相が90度進む」と言うことができます。逆に「サインとコサインは積分すると位相が90度遅れる」と言うこともできます。

高階微分

サインやコサインの高階微分に関しては「 $\sin x$,$\cos x$,$-\sin x$,$-\cos x$ を繰り返す」と表現されることが多いですが,
上記公式を繰り返し使うことで,サインやコサインの $n$ 階微分を簡潔に表現することができます。

$\sin x$ の $n$ 階微分は $\sin (x+\frac{n}{2}\pi)$
$\cos x$ の $n$ 階微分は $\cos (x+\frac{n}{2}\pi)$

交流回路への応用

最後に少しだけ物理の話です。

交流回路において,

  • コンデンサーの両端にかかる電圧の位相は電流の位相よりも90度遅れる
  • コイルの両端にかかる電圧の位相は電流の位相よりも90度進む

(説明)
コンデンサ:
$Q=CV$ と $I=\dfrac{dQ}{dt}$ より $I=C\dfrac{dV}{dt}$
電圧を微分すると電流になるので,位相は電流の方が90度進んでいる。

コイル:
$V=L\dfrac{dI}{dt}$
電流を微分すると電圧になるので,位相は電圧の方が90度進んでいる。

位相幾何の位相とは全く関係ありません。
分野: 三角比・三角関数  レベル: 基本公式