2014/03/07

サイン分の1,コサイン分の1の積分の2通りの方法

分野: 積分  レベル: 最難関大学

方法1:サイン分の1,コサイン分の1の積分は2乗分の1乗にして部分分数分解して解く

サイン分の1やコサイン分の1の積分は有名で,知らないとできませんが,知ってたら必ずできます。有名なパターンなので確実に抑えておきましょう。

この積分の値自体は覚える必要はありません,積分の方法を覚えてください。

方法1に従って積分をしてみる

まずは,公式に従って前処理を行います。
$\dfrac{1}{\sin x}=\dfrac{\sin x}{\sin^2 x}\\
=\dfrac{\sin x}{1-\cos^2 x}\\
=\dfrac{\sin x}{(1-\cos x)(1+\cos x)}\\
=\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{\sin x}{1-\cos x}+\dfrac{\sin x}{1+\cos x}\right)$

ここで,公式 $\displaystyle\int\dfrac{f^{\prime}(x)}{f(x)}dx=\log | f(x) |$ を用いて上の式を積分します:

$\displaystyle\int \dfrac{1}{\sin x}dx=\dfrac{1}{2}\displaystyle\int (\dfrac{\sin x}{1-\cos x}+\dfrac{\sin x}{1+\cos x})dx\\
=\dfrac{1}{2}\{\log(1-\cos x)-\log(1+\cos x)\}+C\\$
$=\dfrac{1}{2}\log\left(\dfrac{1-\cos x}{1+\cos x}\right)+C$

コサイン分の1についても同様にできます。
前処理:
$\dfrac{1}{\cos x}=\dfrac{\cos x}{\cos^2 x}\\
=\dfrac{\cos x}{1-\sin^2 x}\\
=\dfrac{\cos x}{(1-\sin x)(1+\sin x)}\\
=\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{\cos x}{1-\sin x}+\dfrac{\cos x}{1+\sin x}\right)$

積分:
$\displaystyle\int \dfrac{1}{\cos x}dx=\dfrac{1}{2}\displaystyle\int (\dfrac{\cos x}{1-\sin x}+\dfrac{\cos x}{1+\sin x})dx\\
=\dfrac{1}{2}\{-\log(1-\sin x)+\log(1+\sin x)\}+C\\$
$=\dfrac{1}{2}\log\left(\dfrac{1+\sin x}{1-\sin x}\right)+C$

方法2

上記の方法が一般的で,入試問題を解く際には方法1を用いればよいのですが,
$\sin x, \cos x$ のどんな有理式も(手間はかかるけど)必ず積分できる万能な方法があるのでこちらも覚えておきましょう。

方法2: $\sin x, \cos x$ の分数(有理式)の積分は $\tan \dfrac{x}{2}=t$ と置換すれば必ずできる。(一般的には計算量が多くてめんどくさい)

置換積分の準備

$\tan \dfrac{x}{2}=t$ とおくと,$\sin x, \cos x$ は $t$ を用いて以下のように表すことができます。
$\sin x=2\sin\dfrac{x}{2}\cos\dfrac{x}{2}\\
=2\tan\dfrac{x}{2}\cos^2\dfrac{x}{2}\\
=\dfrac{2t}{1+t^2}$

$\cos x=2\cos^2\dfrac{x}{2}-1\\
=\dfrac{2}{1+t^2}-1\\
=\dfrac{1-t^2}{1+t^2}$

また,$t=\tan\dfrac{x}{2}$ を $x$ で微分すると,
$\dfrac{dt}{dx}=\dfrac{1}{2\cos^2\dfrac{x}{2}}=\dfrac{1}{2}(1+t^2)$

実際に積分を行う

$\displaystyle\int\dfrac{1}{\sin x}dx=\displaystyle\int \dfrac{1+t^2}{2t}\dfrac{2}{1+t^2}dt\\
=\log |t|+C\\$
$=\log |\tan\dfrac{x}{2}|+C$

$\displaystyle\int\dfrac{1}{\cos x}dx=\displaystyle\int \dfrac{1+t^2}{1-t^2}\dfrac{2}{1+t^2}dt\\
=\displaystyle\int\left(\dfrac{1}{1-t}+\dfrac{1}{1+t}\right)dt\\$
$=\log \left|\dfrac{1+\tan\dfrac{x}{2}}{1-\tan\dfrac{x}{2}}\right|+C$

方法1と方法2を比べる

方法1と方法2の答えは一見異なったように見えますが,答えは一致しているはずです。
つまり,以下の式が成立していなければいけません:
$\dfrac{1}{2}\log\left(\dfrac{1-\cos x}{1+\cos x}\right)=
\log |\tan\dfrac{x}{2}|\\
\dfrac{1}{2}\log\left(\dfrac{1+\sin x}{1-\sin x}\right)=
\log \left|\dfrac{1+\tan\dfrac{x}{2}}{1-\tan\dfrac{x}{2}}\right|$

実際に三角関数の倍角の公式などを使って,以下の関係式を導くことができます:
$\dfrac{1-\cos x}{1+\cos x}=
(\tan\dfrac{x}{2})^2\\
\dfrac{1+\sin x}{1-\sin x}=
\left(\dfrac{1+\tan\dfrac{x}{2}}{1-\tan\dfrac{x}{2}}\right)^2$

一つの問題を異なった方法で解き,一見同じだとわからない2つの解を得ることで,関係式を見つけることができました!


追記:こんな方法もあります(読者の方に教えていただきました)!
$\displaystyle\int\dfrac{dx}{\sin x}\\
=\displaystyle\int\dfrac{dx}{2\sin\frac{x}{2}\cos\frac{x}{2}}\\
=\displaystyle\int\dfrac{dx}{2\cos^2\frac{x}{2}\tan\frac{x}{2}}\\
=\log |\tan\dfrac{x}{2}|+C$

また,$\cos x=-\sin (x-\frac{\pi}{2})$ に注意すると,
$\displaystyle\int\dfrac{dx}{\cos x}=-\log\left|\tan\left(\dfrac{x}{2}-\dfrac{\pi}{4}\right)\right|+C$

いろいろな方法があって面白いですね。

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