2014/03/01

数学オリンピック突破のための不等式証明のコツ

分野: 不等式  レベル: 数学オリンピック

3変数の対称な不等式(または巡回式)証明の問題は2変数の不等式を3つ足し合わせる,または掛け合わせることで証明することが多い

この方法で必ずうまくいくわけではありませんが,3変数の不等式証明の問題に取り組むときは,やみくもに式をいじるのではなく,3つに分解できないか考えてみると突破できることが多いです。
具体例を4つほど紹介するのでコツを掴んでください。


分解で証明する不等式の例

例題1

$\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}=1,x,y,z>0$ のとき$(x-1)(y-1)(z-1)\geq 8$ を示せ。

方針:右辺の8という数字を見たときに,$2^3$ だ!と気づけば不等式を3つ掛け合わればうまく行きそうな気がします。

解答

条件式が使いやすくなるように示すべき不等式の両辺を $xyz$ で割る:
$(1-\dfrac{1}{x})(1-\dfrac{1}{y})(1-\dfrac{1}{z})\geq \dfrac{8}{xyz}$
→$(\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z})(\dfrac{1}{z}+\dfrac{1}{x})(\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y})\geq \dfrac{8}{xyz}$ を示せば良い。
上の不等式は,相加相乗平均の不等式から導かれる以下の3つの不等式を掛けあわせれば示される:
$\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z}\geq 2\dfrac{1}{\sqrt{yz}}$
$\dfrac{1}{z}+\dfrac{1}{x}\geq 2\dfrac{1}{\sqrt{zx}}$
$\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}\geq 2\dfrac{1}{\sqrt{xy}}$

例題2

$x+y+z=1,x,y,z>0$ のとき $\dfrac{xy}{z}+\dfrac{yz}{x}+\dfrac{zx}{y}\geq 1$ を示せ。

方針:左辺の項をかけ合わせると分母分子でキャンセルされるので相加相乗平均の不等式が使えそうです。しかし,いきなり3変数の相加相乗平均の不等式を用いてもうまく行きそうにないので,2項ずつのセットにして考えてみます。

解答

相加相乗平均の不等式より導かれる以下の3つの不等式を足しあわせて両辺2で割ると求める不等式を得る:
$\dfrac{xy}{z}+\dfrac{yz}{x}\geq 2y, \dfrac{yz}{x}+\dfrac{zx}{y}\geq 2z, \dfrac{zx}{y}+\dfrac{xy}{z}\geq 2x$

例題3

$x,y,z>0$ のとき $\dfrac{2x^3}{x^2+y^2}+\dfrac{2y^3}{y^2+z^2}+\dfrac{2z^3}{z^2+x^2}\geq x+y+z$ を示せ。

方針:2変数の3つの不等式を足しあわせたらうまく行きそうです。
$\dfrac{2x^3}{x^2+y^2}\geq ax+by,(a+b=1)$
となる $a, b$ が発見できれば同様な不等式を3つ足しあわせて証明できます。
そこで,3次の項が消えるように $a=2$ としてやるとうまく行きます。

解答

不等式:$\dfrac{2x^3}{x^2+y^2}\geq 2x-y$  は分母を払い整理すると $y(x-y)^2\geq 0$ と同値であることが分かり簡単に証明できた。
同様にして,
$\dfrac{2y^3}{y^2+z^2}\geq 2y-z$
$\dfrac{2z^3}{z^2+x^2}\geq 2z-x$
も成立し,以上3つの不等式を足しあわせて求める不等式を得る。


この他にも3つに分解して証明する方法として,isolated fudgingCauchy Reverse Techniqueがあります。


分野: 不等式  レベル: 数学オリンピック