2016/02/22

双曲線関数の加法定理とその証明

分野: いろんな関数  レベル: マニアック

1: $\sinh (x+y)=\sinh x\cosh y+\cosh x\sinh y$
2: $\sinh (x-y)=\sinh x\cosh y-\cosh x\sinh y$
3: $\cosh (x+y)=\cosh x\cosh y+\sinh x\sinh y$
4: $\cosh (x-y)=\cosh x\cosh y-\sinh x\sinh y$
5: $\tanh (x+y)=\dfrac{\tanh x+\tanh y}{1+\tanh x\tanh y}$
6: $\tanh (x-y)=\dfrac{\tanh x-\tanh y}{1-\tanh x\tanh y}$


ただし,$\cosh x=\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}$,$\sinh x=\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}$,$\tanh x=\dfrac{\sinh x}{\cosh x }$ です。→双曲線関数にまつわる重要な公式まとめ

三角関数の加法定理と形が似ていますが,符号が微妙に違うので注意して下さい。

単純計算による証明

1の証明

右辺は,
$\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\right)\left(\dfrac{e^y-e^{-y}}{2}\right)+\left(\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right)\left(\dfrac{e^y+e^{-y}}{2}\right)\\
=\dfrac{2e^{x+y}-2e^{-x-y}}{4}$
となり左辺と一致する。

3の証明

右辺は,
$\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\right)\left(\dfrac{e^y+e^{-y}}{2}\right)+\left(\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right)\left(\dfrac{e^y-e^{-y}}{2}\right)\\
=\dfrac{2e^{x+y}+2e^{-x-y}}{4}$
となり左辺と一致する。

5の証明

1,3と $\tanh(x+y)=\dfrac{\sinh (x+y)}{\cosh (x+y)}$ を使うと 5 を得る。

2,4,6の証明

1,3,5で $y\to -y$ とすればそれぞれ 2,4,6 になる。
ただし,$\sinh(-y)=-\sinh y$,$\cosh(-y)=\cosh y$,$\tanh(-y)=-\tanh y$ に注意。

三角関数の加法定理を用いた証明

かなり大げさですが,以下の2つを認めることでも導出できます。

  • 任意の複素数 $z$ に対して指数関数,三角関数が定義され,以下が成立する:
    $\cos z=\dfrac{e^{iz}+e^{-iz}}{2}$,$\sin z=\dfrac{e^{iz}-e^{-iz}}{2i}$
    ($z$ が実数の場合はオイラーの公式から分かる)
  • 任意の複素数に対して三角関数の加法定理が成立する。

証明

1つめの前提知識の式から,
$\cos iz=\cosh z$
$\sin iz=-\dfrac{1}{i}\sinh z=i\sinh z$

1 を証明する(他も同様)。
三角関数の加法定理:
$\sin (z+w)=\sin z\cos w+\cos z\sin w$
において $z\to ix$,$w\to iy$ とおくと,
$i\sinh (z+w)=i\sin z\cos w+(\cos z)i\sin w$
となり1を得る。

三角関数と双曲線関数は複素数を通じてつながっています。
分野: いろんな関数  レベル: マニアック