2014/09/03

方べきの定理とその統一的な証明

分野: 平面図形  レベル: 入試対策

方べきの定理の主張と一般的な証明について復習した後で,3タイプの方べきの定理を統一的に証明するエレガントな方法を解説します。

方べきの定理タイプ1とその証明

方べきの定理タイプ1

方べきの定理:タイプ1
円 $C$ とその内部の点 $P$,$P$ を通る二本の直線 $l, m$ がある。 $l$ と $C$ の交点を $A_1, A_2,$ $m$ と $C$ の交点を $B_1, B_2$ とおくと
$PA_1\times PA_2=PB_1\times PB_2$

証明:円周角の定理より三角形 $PA_1B_1$ と $PB_2A_2$ は相似なので方べきの定理が成立する。

方べきの定理タイプ2とその証明

方べきの定理タイプ2

方べきの定理:タイプ2
円 $C$ とその外部の点 $P$,$P$ を通り $C$ と二点で交わる二本の直線 $l, m$ がある。 $l$ と $C$ の交点を $A_1, A_2,$ $m$ と $C$ の交点を $B_1, B_2$ とおくと
$PA_1\times PA_2=PB_1\times PB_2$

証明:円に内接する四角形の性質より三角形 $PA_1B_1$ と $PB_2A_2$ は相似なので方べきの定理が成立する。

方べきの定理タイプ3とその証明

方べきの定理タイプ3

方べきの定理:タイプ3
円 $C$ とその外部の点 $P$,$P$ を通り $C$ と二点で交わる直線 $l$ と $P$ から $C$ に引いた接線 $m$ がある。 $l$ と $C$ の交点を $A_1, A_2,$ $m$ と $C$ の交点を $B$ とおくと
$PA_1\times PA_2=PB^2$

証明:接弦定理より三角形 $PA_1B$ と $PBA_2$ は相似なので方べきの定理が成立する。

方べきの定理を統一的に見る

  • $A,B,C,D$ という記号ではなく $A_1,A_2,B_1,B_2$ という記号を用いることで上記の3タイプの類似性が分かりやすくなります。
  • タイプ3において接線 $m$ をほんの少しずらすと円と二点で交わることになるのでタイプ2になります。つまりタイプ3はタイプ2の極限と見ることができます。
  • 方べきの定理の証明は上記のように相似を使うのが一般的ですが,座標を用いることで3タイプ同時に証明することができます!

座標を用いた方べきの定理の証明

方べきの定理を座標計算で証明します。座標設定の方法,傾きと $\tan$ の話,解と係数の関係など座標計算で重要なテクニックが凝縮されているので非常によい練習問題になります。

方べきの定理の証明

座標設定の方法:
円 $C$: $x^2+y^2=r^2$,点 $P(p,0)$ としても一般性を失いません。点 $P$ を通る直線 $l$ は傾き $k$ を用いて
$y=k(x-p)$ と書け,このとき $l$ と $C$ の交点を $A_1,A_2$ とおきます。(交点が1つのときは $A_1=A_2$)
$PA_1\times PA_2$ が $k$ によらないことを示せばOKです。

証明

$l$ と $C$ の方程式から $y$ を消去すると,
$x^2(1+k^2)-2k^2px+k^2p^2-r^2=0$

$A_1, A_2$ の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ とおくと
解と係数の関係より $\alpha+\beta=\dfrac{2k^2p}{1+k^2}$,$\alpha\beta=\dfrac{k^2p^2-r^2}{1+k^2}$

また,上図のように $l$ と $x$ 軸がなす角を $\theta$ とおくと,
$PA_1=\dfrac{|p-\alpha|}{\cos\theta}, PA_2=\dfrac{|p-\beta|}{\cos\theta}$
より,
$PA_1\times PA_2=\dfrac{|(p-\alpha)(p-\beta)|}{\cos^2\theta}\\
=(1+\tan^2\theta)|p^2-(\alpha+\beta)p+\alpha\beta|\\
=(1+k^2)|p^2-\dfrac{2k^2p^2}{1+k^2}+\dfrac{k^2p^2-r^2}{1+k^2}|\\
=|p^2-r^2|$
となり傾き $k$ によらない!
よって,方べきの定理は成立する。

  • 実は座標設定の際に $r=1$ としても一般性を失いませんが,計算の手間は変わりません。
  • $|p| <r$ のときタイプ1,$|p| > r$ で交点が2つのときタイプ2,また $A_1=A_2$ となる場合も考慮できているのでタイプ3も証明できています。

このように初等幾何では場合分けが必要でも座標で考えれば統一的に証明できる場合は多いです。

方べきの定理の場合は初等幾何による証明が非常に簡単なので座標のありがたみが半減ですが,複数のパターンを統一的に扱うという考え方は重要です。

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