2014/03/29

三角形の五心の覚えておくべき性質を整理

分野: 平面図形  レベル: 最難関大学

三角形の五心は有名ですが非常に豊かな性質を持っており,数学オリンピックの初等幾何の証明問題では超頻出です。三角形の五心の定義と重要な性質をまとめておきます。

解析幾何とは,座標を設定したりベクトルを導入して計算でゴリゴリ解く方法,初等幾何とは,図形的な性質に注目して証明していく方法です。どちらのアプローチが適しているかは問題によります。

重心

三角形の重心

定義:三本の中線(頂点と向かい合う辺の中点を結んだ線)の交点。

解析幾何的性質:

・各頂点の平均として表される。
ベクトルでは,$\overrightarrow{g}=\dfrac{\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c}}{3}$
座標平面では,$(x_G,y_G)=(\dfrac{x_A+x_B+x_C}{3},\dfrac{y_A+y_B+y_C}{3})$

初等幾何的性質:

・重心は各中線を $2:1$ に内分する。

外心

三角形の外心

定義:各辺の垂直二等分線の交点。

解析幾何的性質:

・外心の位置ベクトル $\overrightarrow{o}$ は各頂点の位置ベクトルを用いて以下のように表される:
$\overrightarrow{o}=\dfrac{\sin 2A\overrightarrow{a}+\sin 2B\overrightarrow{b}+\sin 2C\overrightarrow{c}}{\sin 2A+\sin 2B+\sin 2C}$
ちなみにこの公式はベクトルの面積比の公式からすぐに導ける。

初等幾何的性質:

  • $OA=OB=OC$
  • $\angle BOC=\angle 2BAC, \angle COA=\angle 2CBA, \angle AOB=\angle 2ACB\\$
  • 外接円の中心

内心

三角形の内心

定義:各角の2等分線の交点。

解析幾何的性質:

・内心の位置ベクトル $\overrightarrow{i}$ は各頂点の位置ベクトルを用いて以下のように表される:
$\overrightarrow{i}=\dfrac{a\overrightarrow{a}+b\overrightarrow{b}+c\overrightarrow{c}}{a+b+c}$
ちなみにこの公式も外心の場合と同様に面積比を利用して導ける。

初等幾何的性質:

  • $I$ から各辺までの距離は等しい
  • 内接円の中心

垂心

三角形の垂心

定義:各頂点から向かい合う辺におろした垂線の交点

垂心の存在については,垂心の存在の3通りの証明参照。

解析幾何的性質:

・垂心の位置ベクトル $\overrightarrow{h}$ も外心,内心と同様の手法で各頂点の位置ベクトルを用いて以下のように表される:
$\overrightarrow{h}=\dfrac{\tan A\overrightarrow{a}+\tan B\overrightarrow{b}+\tan C\overrightarrow{c}}{\tan A+\tan B+\tan C}$

初等幾何的性質:

・四角形 $AFHE, BDHF, CEHD$ は円に内接する四角形である(円周角の定理や正弦定理が使える)
・ $AH=2R\cos A$

ちなみに2つめの性質は以下のようにして導かれる:
$AH=\dfrac{AE}{\cos \angle CAD}=\dfrac{c\cos A}{\sin C}=2R\cos A$

傍心

三角形の傍心

定義:1つの角の二等分線と残り2つの角の外角の二等分線の交点

どの角の内角を考えるかによって傍心は3つ考えることができます,図では,∠Aの内角の二等分線上にあるものを示しています。傍心は定義が内心と似ているので多くの場合、内心とほとんど同様な手法で扱うことができます。→内心と傍心の性質の比較

外心,重心,垂心は座標やベクトルを用いたゴリ押し計算で扱うこともできますが,内心,傍心は角度に関する情報が本質的な役割を果たすので解析的なアプローチはほとんどの場合で通用しません。

僕の中でのイメージカラーは重心が黒,外心が緑,内心が赤,垂心が青,傍心が黄色です。

Tag: 三角形の五心に関する定理まとめ
Tag: 数学Aの教科書に載っている公式の解説一覧

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