2014/08/22

フレネル積分(sin x^2の積分)

分野: 解析  レベル: 大学数学

フレネル積分:
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\sin x^2dx=\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\cos x^2dx=\sqrt{\dfrac{\pi}{2}}$

※被積分関数は$(\sin x)^2$ ではなく $x^2$ のサインです。

大学内容なので覚える必要はありませんが美しい公式なので紹介します。

積分は必ずしも求められるとは限らない

  • 初等関数(多項式,三角関数,指数対数関数の組み合わせで表される関数)を微分しても必ず初等関数ですが,初等関数の不定積分は初等関数とは限りません。
  • 不定積分が(初等関数でないため)求められない場合でも積分区間が特定の場合なら定積分は求められる,というような関数もあります。
  • 実際,不定積分 $\displaystyle\int\sin x^2dx$ は初等関数で表すことができません。しかし,積分区間を$-\infty$ から $\infty$ にすれば定積分の値は計算することができるのです。

フレネル積分とその応用

・より一般には,
$X(t)=\displaystyle\int_{0}^{t}\sin k^2dk,\: Y(t)=\displaystyle\int_{0}^{t}\cos k^2dk$
をフレネル積分ということもあります。

この式で $t=\infty$ のときは冒頭の式より,
$X(\infty)=Y(\infty)=\dfrac{1}{2}\sqrt{\dfrac{\pi}{2}}$
となることが分かります。

  • こちらの一般化されたフレネル積分は光学で登場する積分らしいです。つまり,「単に数学的に綺麗だから考えてみた」よりも重要な意味を持つ積分です。
  • また,フレネル積分を用いて曲線が定義されます。具体的には,媒介変数 $t$ を用いて $x=X(t), y=Y(t)$ と表される曲線を考えます。この曲線はクロソイド曲線(またはオイラーの螺旋)と呼ばれる有名な曲線です。(ハンドルを等速で回転させ続けたときに車が通る軌道!)

フレネル積分とガウス積分の関係

冒頭のフレネル積分の公式について考えてみます。フレネル積分の式に似ている定積分として,ガウス積分:$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-ax^2}dx=\sqrt{\dfrac{\pi}{a}}$
が挙げられます。→ガウス積分の公式の2通りの証明
ガウス積分の公式を用いてフレネル積分の公式を形式的に導出してみます。

ガウス積分の式で「形式的に $a=-i$ としてみる」と,$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{ix^2}dx=\sqrt{\dfrac{\pi}{-i}}$

複素指数関数とオイラーの公式を用いて上式の左辺を変形するとフレネル積分が出現する!:
$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{ix^2}dx=\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\cos x^2dx+i\int_{-\infty}^{\infty}\sin x^2dx$

よって,あとは $\sqrt{\dfrac{\pi}{-i}}=\sqrt{\pi i}$ を計算すればよい。複素数平面または代数計算により $\sqrt{\pi i}=\pm\sqrt{\dfrac{\pi}{2}}(1+i)$
ここで「プラスの方を採用」して実部と虚部をそれぞれ比較するとフレネル積分の公式となっている。

※上記は「形式的に $a=-i$ としてみる」「プラスの方を採用」という部分が厳密な議論ではありません。しかし,ガウス積分とフレネル積分の間に美しい関係があることが分かりました。

フレネル積分の公式をきちんと証明するためには複素関数を使う必要があるのでここでは省略します。証明が気になる方はフレネル積分の計算(外部サイト)を参照して下さい。

実数の積分を求めたいだけなのに,複素数の話を持ち出すことでうまくいってしまう,という複素数の偉大さを表す例になっています。

Tag: 積分公式一覧

分野: 解析  レベル: 大学数学