2014/02/14

オイラーの定理(初等幾何)

分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック

内心と外心の距離を求める公式です。

内接円の半径を $r$,外接円の半径を $R$ とおくとき,外心 $O$ と内心 $I$ との距離 $d$ は以下の式で表される:
$d^2=R^2-2Rr$

非常に美しい定理です。

オイラーの定理と呼ばれる定理はいくつもあるのでオイラーの定理(初等幾何)というタイトルにしました。

定理自体は美しいのですが,実際にこの公式を使うことはあまりありません。
ただ,初等幾何を用いた証明はエレガントで覚える価値は十分にあります。
数学好きの方はよい鍛錬になるので,以下の証明を見ずに自力で考えてみてください!

以下ではオイラーの定理の証明をいくつか解説します。

オイラーの定理(初等幾何)の証明

まずは初等幾何のみの証明です。

オイラーの定理の証明

証明

右の図で $M$ は $AI$ と外接円の交点,$D$ は $OM$ と外接円の交点,$N$ は $AB$ と内接円の接点,$P$ と $Q$ は $OI$ と外接円の交点である。
$(R-d)(R+d)
=PI×IQ\\
=AI×IM・・・(1)\\
=AI×BM・・・(2)\\
=DM×NI・・・(3)\\
=2Rr$
この式を整理してとオイラーの定理を得る。

  • (1)への変形は方べきの定理から
  • (2)への変形は

$∠BIM=∠BAM+∠ABI\\=∠MAC+∠IBC\\=∠MBC+∠IBC=∠IBM$
より $IM=BM$ から
・(3)への変形は△ $ANI$ と△ $DBM$ が相似だから
(円周角の定理から$∠NAI=∠BDM$,
内心,外心の定義から$∠ANIも∠DBM$ も直角)

オイラーの定理の計算による証明

上記の方法は技巧的なので補足しておきます。

・まず,(1)から(2)への変形の部分: $IM=BM$ は頻繁に使うので補題として覚えておくとよいでしょう。

・(2)までたどりついたときに三角形の相似に気がつくのはけっこう大変です。そこで,$AI$ と $BM$ の長さを気合いで計算することでも証明できます。

$AI\times BM=2Rr$ の証明

三角形の五心と頂点までの距離の公式より,$AI=4R\sin\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}$
また,三角形 $OBM$ に注目すると,$BM=2R\sin\dfrac{A}{2}$
よって,$AI\times BM=8R^2\sin\dfrac{A}{2}\sin\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}$

さらに,外接円の半径と内接円の半径の関係:$r=4R\sin\dfrac{A}{2}\sin\dfrac{B}{2}\sin\dfrac{C}{2}$ を用いると $AI\times BM=2Rr$ が分かる。

ベクトルを用いたオイラーの定理の証明

内心の位置ベクトルの公式を知っていれば $OI$ は簡単に計算することができます!→三角形の五心の覚えておくべき性質の整理の内心の部分参照。

証明

内心の位置ベクトルの公式より,$\overrightarrow{OI}=\dfrac{a\overrightarrow{OA}+b\overrightarrow{OB}+c\overrightarrow{OC}}{a+b+c}$

次に長さを計算するために長さと内積を求める。
$|\overrightarrow{OA}|=|\overrightarrow{OB}|=|\overrightarrow{OC}|=R$ および,
$\overrightarrow{OA}$ と $\overrightarrow{OB}$ のなす角が $2C$ であることから,$\overrightarrow{OA}\cdot\overrightarrow{OB}=R^2\cos 2C$ などが分かる。

よって,$|\overrightarrow{OI}|^2=\dfrac{(a^2+b^2+c^2)R^2+2R^2(ab\cos 2C+bc\cos 2A+ca\cos 2B)}{(a+b+c)^2}$

ここで,倍角の公式と正弦定理を用いて角の情報を辺の情報に変換する:
$2R^2\cos 2C=R^2(2-4\sin^2 C)=2R^2-c^2$
などより,
$|\overrightarrow{OI}|^2=\dfrac{(a^2+b^2+c^2)R^2+2R^2(ab+bc+ca)-abc(a+b+c)}{(a+b+c)^2}$

$\dfrac{abc}{a+b+c}=4RS\cdot\dfrac{r}{2S}=2Rr$
となる。
以上から $|\overrightarrow{OI}|^2=R^2-2Rr$ となり,オイラーの定理が示された。

ベクトルによる方法はいくつか前提知識が必要ですが,思いつきやすいです。

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