2015/12/09

コーシーリーマンの関係式と微分可能性

分野: 解析  レベル: 大学数学

$f(z)$ が複素関数の意味で微分可能
$\iff$ $f(z)$ の実部と虚部が実関数の意味で微分可能,かつコーシーリーマンの関係式が成立する。

問題設定

$f(z)$ は複素数から複素数への関数です。

$f(z)$ の実部と虚部をそれぞれ $u,v$ とします。つまり,複素数 $z=x+iy$ を入力したときの出力を $f(x+iy)=u(x,y)+iv(x,y)$ と書きます。
($x,y,u,v$ は実数)

以下では複素関数の微分可能性について考えます。

微分可能性

実関数 $f(x)$ が $x=x_0$ で微分可能とは,
$\displaystyle\lim_{x\to x_0}\dfrac{f(x)-f(x_0)}{x-x_0}$ が存在するという意味です。
1次近似の形で表現すると,ある実数 $R$ が存在して
$f(x)=f(x_0)+R(x-x_0)+o(|x-x_0|)$ となるという意味です。

同様に,複素関数 $f(z)$ が $z=z_0$ で微分可能とは,
$\displaystyle\lim_{z\to z_0}\dfrac{f(z)-f(z_0)}{z-z_0}$ が存在するという意味です($z$ が $z_0$ へどのように近づいても同じ極限値が存在しないといけない)。
1次近似の形で表現すると,ある複素数 $Z$ が存在して
$f(z)=f(z_0)+Z(z-z_0)+o(|z-z_0|)$ となるという意味です。

コーシーリーマンの関係式と具体例

コーシーリーマンの関係式(方程式)
$\dfrac{\partial u}{\partial x}=\dfrac{\partial v}{\partial y}$,$\dfrac{\partial u}{\partial y}=-\dfrac{\partial v}{\partial x}$

例題

$f(z)=z^2$ についてコーシーリーマンの関係式が成立していることを確認せよ。

解答

$f(x+iy)=(x^2-y^2)+2xyi$
なので,$u=x^2-y^2,v=2xy$
偏微分を計算すると,$\dfrac{\partial u}{\partial x}=\dfrac{\partial v}{\partial y}=2x$,$\dfrac{\partial u}{\partial y}=-\dfrac{\partial v}{\partial x}=-2y$ となっている。

冒頭の定理の証明

必要性と十分性を同時に示します。

証明

$f(z)$ が $z=z_0$ において複素関数の意味で微分可能
$\iff$ ある複素数 $Z=A+Bi$ が存在して $f(z)=f(z_0)+(A+Bi)(z-z_0)+o(|z-z_0|)$

ここで,$z=x+iy,z_0=x_0+iy_0$ として計算すると,
$u(x,y)+iv(x,y)\\=u(x_0,y_0)+iv(x_0,y_0)+(A+Bi)(x-x_0+iy-iy_0)+o(|z-z_0|)$
となる。これを実部と虚部にわけると,
$u(x,y)=u(x_0,y_0)+A(x-x_0)-B(y-y_0)+o(|z-z_0|)$
$v(x,y)=v(x_0,y_0)+B(x-x_0)+A(y-y_0)+o(|z-z_0|)$

よって,上の条件が成立
$\iff$ $u,v$ が2変数の実関数の意味で微分可能($u,v$ が1次近似できる),かつ$(x_0,y_0)$ においてコーシーリーマンの関係式($u$ と $v$ の1次近似式の間の関係式)が成立

複素関数の記事も少しずつ書いていきたいですね。

Tag:数検1級の範囲と必要な公式まとめ

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