2014/06/06

カルダノの公式と例題

分野: 方程式,恒等式  レベル: 最難関大学

三次方程式の解の公式であるカルダノの公式を紹介します。

入試で出題される三次方程式は $99.9%$因数分解できます。しかし,因数分解できないタイプの問題が誘導付きで出題される可能性も $0$ ではないので,どんな三次方程式でも解ける万能なカルダノの公式を知っておいても損はありません。

まず一般的な場合についてカルダノの公式を3ステップで解説します。
その後具体例を挙げます。一般的な場合でよく分からない方は具体例をご覧ください。

ステップ1:三次方程式の立体完成

目標は一般の三次方程式 $ax^3+bx^2+cx+d=0$ を解くことですが,定数倍と平行移動の自由度をうまく利用することでより簡単な式に変換します。

両辺を $a$ で割ると,$x^3+Ax^2+Bx+C=0$ という形になります。更に,平行移動を行うことで $X^3+pX+q=0$ という形になります。(具体的には $X=x+\dfrac{A}{3}$ を新たな変数とします)
この平行移動の操作を立体完成といいます。
(※二次方程式の1次の係数を消す操作→平方完成,に対応する概念です。立方完成とも呼ぶそうです。平方完成に対応するものとしては「立方完成」という名の方が相応しいかもしれません)

ステップ2:カルダノの公式の核心

$X=u+v$ とおき自由度を1つ増やします。これがこの方法の一番の特徴です:

$(u+v)^3+p(u+v)+q=0$
つまり,
$u^3+v^3+q+(3uv+p)(u+v)=0$
よって,
$u^3+v^3+q=0,3uv=-p\cdots(*)$
を満たす $u,v$ の組みを見つければそこから $x$ が求まります。

ステップ3:変数を順々に求めていく

導いた $u,v$ の連立方程式を解く→ $X$ を求める→ $x$ を求める,という流れです。

$(※)$ の2つ目の式から $v$ を消去して1つ目の式に代入すると,$u^3$ についての2次方程式を得ます:
$u^6+qu^3-\dfrac{p^3}{27}=0$
よって,
$u^3=\dfrac{-q\pm\sqrt{q^2+\tfrac{4p^3}{27}}}{2}=-\dfrac{q}{2}\pm\sqrt{\dfrac{q^2}{4}+\dfrac{p^3}{27}}$

ここで,もともとの $u,v$ の連立方程式は $u$ と $v$ に関して対称なので,$v^3$ も同じ式で求まります。そして,$u$ がプラスの方の符号の解で $v$ がマイナスの方の符号の解としても一般性を失いません:

$u^3=-\dfrac{q}{2}+\sqrt{\dfrac{q^2}{4}+\dfrac{p^3}{27}}$

ここで,三乗根を取る際に注意が必要です。 $a$ の三乗根は $\sqrt[3]{a}$ だけでなく $\sqrt[3]{a},\sqrt[3]{a}\omega,\sqrt[3]{a}\omega^2$ (ただし $\omega=\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}$)
なので,$u$ が三通り求まります。

そこから,$(※)$ によって対応する $v$ が求まり $X=u+v$ が求まり,$x=X-\dfrac{A}{3}$ が求まるというわけです。

三次方程式の具体例

例題

$x^3+3x^2+x+1=0$

解答

・立体完成する
$(x+1)^3-2(x+1)+2=0$ より,$X=x+1$ と置くと,$X^3-2X+2=0$

・ $u,v$ についての連立方程式を導く
$X=0$ は解でないので $0$ でない複数数 $u,v$ を用いて $X=u+v$ とおける。これを方程式に代入して整理する:
$u^3+v^3+2=0$
$3uv=2$

・ $u,v$ を求める
第二式から $v$ を消去して第一式に代入すると,
$u^6+2u^3+\dfrac{8}{27}=0$
$u^3$ について解くと,$u^3=-1\pm\sqrt{\dfrac{19}{27}}$
$u,v$ の対称性より $u$ がプラスの符号を採用する。

この3乗根を取ると $u$ が $3$ つ求まる。
そして,もとの連立方程式に代入して対応する $v$ を求める:
$(u,v)=\left(\sqrt[3]{-1+\sqrt{\dfrac{19}{27}}},\sqrt[3]{-1-\sqrt{\dfrac{19}{27}}}\right)$, $\left(\omega\sqrt[3]{-1+\sqrt{\dfrac{19}{27}}},\omega^2\sqrt[3]{-1-\sqrt{\dfrac{19}{27}}}\right)$, $\left(\omega^2\sqrt[3]{-1+\sqrt{\dfrac{19}{27}}},\omega\sqrt[3]{-1-\sqrt{\dfrac{19}{27}}}\right)$

・ $x=u+v-1$ が求まる
$x=\sqrt[3]{-1+\sqrt{\dfrac{19}{27}}}+\sqrt[3]{-1-\sqrt{\dfrac{19}{27}}}-1$, $\omega\sqrt[3]{-1+\sqrt{\dfrac{19}{27}}}+\omega^2\sqrt[3]{-1-\sqrt{\dfrac{19}{27}}}-1$, $\omega^2\sqrt[3]{-1+\sqrt{\dfrac{19}{27}}}+\omega\sqrt[3]{-1-\sqrt{\dfrac{19}{27}}}-1$

式が複雑なのでミスっているかもしれません,発見したらご一報ください。

Tag: いろいろな方程式の解き方まとめ

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