2014/07/05

分母の有理化や実数化を行う理由

分野: 式の計算  レベル: 基本公式

分母の有理化と実数化は似ている。分母の有理化は $\mathbb{Q}(\sqrt{p})$ が体であることを,分母の実数化は複素数が体であることを表している。

分母の有理化

まずは復習がてら,分母の有理化について。
$\dfrac{1}{a+b\sqrt{p}}$ の分母分子に $a-b\sqrt{p}$ をかけることで分母のルートを消すことができます。

例1

$\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{2}}{2}$(分母分子に $\sqrt{2}$ をかけた)

例2

$\dfrac{4}{2+\sqrt{2}}=4-2\sqrt{2}$(分母分子に $2-\sqrt{2}$ をかけた)

答えが有理化されていないときは有理化したうえで答えるというのが中学数学,高校数学の掟になっていますがそれはなぜでしょうか。「採点者が楽だから」というのも1つの理由かもしれませんが,実はもっと本質的な理由があるのです。

分母を有理化しなければいけない理由

ある数が,よい集合 $\mathbb{Q}(\sqrt{p})$ に属しているのなら,その集合に属していることがひと目で分かるようなきれいな形で表したほうがよい,というのが答えです。

これだけでは分かりにくいので「よい」集合 $\mathbb{Q}(\sqrt{p})$ について説明します。

四則演算が集合内でできる集合のことを「体(たい,field)」と呼びます。(もっと厳密な定義は大学で学びます)
例えば有理数同士の足し算,引き算,かけ算,割り算の結果も有理数なので有理数全体の集合は体です。同様に実数,複素数も体です。
整数どうしの割り算は整数とは限らないので整数全体の集合は体ではありません。

次に,$a+b\sqrt{2}$ という形の数全体($a,b$ は有理数)
という集合を考えてみると実は体をなしていることが分かります!
($a+b\sqrt{2}$ という形の数同士の割り算もまた $a’+b’\sqrt{2}$ という形になるのは分母の有理化により分かる)
これは,有理数に $\sqrt{2}$ を添加した体と呼ばれる重要な集合で,$\mathbb{Q}(\sqrt{2})$ と書きます。

$\dfrac{4}{2+\sqrt{2}}$ と書くよりも $4-2\sqrt{2}$ と書いた方が一目で $\mathbb{Q}(\sqrt{2})$ に属している数だということが分かるので有理化が推奨されているわけです。

分母の実数化

分母の有理化と似た操作に,分母の実数化があります。 $\dfrac{c+di}{a+bi}$ の分母分子に $a-bi$ をかけることで分母を実数化することができます。

例3

$\dfrac{1}{1+i}=\dfrac{1-i}{2}$

分母の実数化という操作は,複素数同士の割り算もまた複素数であることを表しています。

分母の実数化を行わないといけない理由は有理化の場合と同じです:
ある数が,よい集合(複素数全体の集合)に属しているのなら,その集合に属していることがひと目で分かるようなきれいな形で表したほうがよい!

有理化していないという理由で減点された苦い思い出があります

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