2014/02/18

ブラーマグプタの公式とその証明

分野: 平面図形  レベル: 最難関大学

ブラーマグプタの公式;
円に内接する四角形 $ABCD$ において $AB=a, BC=b, CD=c, DA=d$ とおくと,四角形 $ABCD$ の面積は,
$S=\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}$
ただし, $s=\dfrac{a+b+c+d}{2}$ とおいた。


円に内接する四角形の面積を瞬時に求める公式です。

ヘロンの公式と同様,まず $s$ を求めてから面積 $S$ を計算します。
ちなみに,$d\rightarrow0$ の極限を取ればブラーマグプタの公式はヘロンの公式と一致するので,ブラーマグプタの公式はヘロンの公式を含んでいます。

本記事ではブラーマグプタの公式の証明を2つ紹介します。1つ目は三角関数を用いた素直な方法,2つ目はヘロンの公式を用いた方法です。

三角関数(余弦定理)を用いたブラーマグプタの定理の証明

方針:求める面積は三角形 $ABD$ と $CBD$ の面積の和です。そこで,$\angle A$ を4辺の長さで表せばよいので余弦定理を用います。その後は気合いで因数分解します。

ブラーマグプタの公式

証明

$S^2=(\dfrac{1}{2}ad\sin A+\dfrac{1}{2}bc\sin C)^2\\
=\dfrac{1}{4}(ad+bc)^2(1-\cos^2A)\cdots(*)\\
=\dfrac{1}{16}\{4(ad+bc)^2-(a^2+d^2-b^2-c^2)^2\}\cdots(**)$
これで四角形の面積を辺の長さで表せたのであとは因数分解する。上式は,
$\dfrac{1}{16}(2ad+2bc+a^2+d^2-b^2-c^2)(2ad+2bc-a^2-d^2+b^2+c^2)\\
=\dfrac{(a+b+c-d)}{2}\dfrac{(a+b-c+d)}{2}\dfrac{(a-b+c+d)}{2}\dfrac{(-a+b+c+d)}{2}\\
=(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)$

ただし,途中の変形において、
(*): $A+C=180^\circ$ より $\sin A=\sin C$ であることを用いた。
(**):余弦定理より $a^2+d^2-2ad\cos A=b^2+c^2-2bc\cos C$ 及び $\cos C=-\cos A$ より,$\cos A=\dfrac{a^2+d^2-b^2-c^2}{2(ad+bc)}$ であることを用いた。

ヘロンの公式を用いたブラーマグプタの定理の証明

方針:三角形の面積ならヘロンの公式を用いて辺の長さだけで表せます。よって,面積を求めたい四角形を「大きい三角形」ー「小さい三角形」と捉えます。すると,相似な三角形が出現してうまくいきます。

四角形 $ABCD$ が長方形の場合は簡単なので長方形でないとする。すると $AD$ と $BC$ が平行でないと仮定しても一般性を失わないので,交点を $E$ とおく。 $EA=p, EB=q$ とおく。

ブラーマグプタの公式の証明

△ $EAB$ と△ $ECD$ は相似なので,
$a:c=q:p+d\\ → a(p+d)=cq\\
a:c=p:q+b\\ → a(q+b)=cp$
この2式を辺々和と差を取る:
$p+q=\dfrac{a(b+d)}{c-a}$
$p-q=\dfrac{a(b-d)}{c+a}$
また,三角形 $EAB$ の面積を $T$ とおくと,相似な三角形の面積比は辺の比の2乗なので,
$T:T+S=a^2:c^2$
以上から,
$S=\dfrac{c^2-a^2}{a^2}T\\
=\dfrac{c^2-a^2}{4a^2}\sqrt{(a+p+q)(-a+p+q)(a-p+q)(a+p-q)}\\
=\dfrac{c^2-a^2}{4a^2}\sqrt{(a+\dfrac{a(b+d)}{c-a})(-a+\dfrac{a(b+d)}{c-a})(a-\dfrac{a(b-d)}{c+a})(a+\dfrac{a(b-d)}{c+a})}\\
=\dfrac{1}{4}\sqrt{(-a+b+c+d)(a-b+c+d)(a+b-c+d)(a+b+c-d)}\\
=\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)}$

ただし,1行目から2行目の変形にヘロンの公式を用いた。

諸注意

センター試験などマーク式の試験ではブラーマグプタの公式は最強です。しかし,一発で答えが求まってしまうぶん,記述式の試験では証明なしでの使用は減点されるかもしれません。証明の概略を添えるか,検算の使用にとどめておきましょう。

ちなみに,誘導つき(証明1の方針)でブラーマグプタの公式の証明が立命館大学で出題されたことがあります。

ヘロンの公式を用いる方法もなかなかおしゃれです

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