2014/03/30

内心と傍心の性質の比較

分野: 平面図形  レベル: 数学オリンピック

傍心に関する性質は内心に関する性質とほとんど同じ。傍心,傍接円に関して迷ったらまずは内心,内接円を考えるべし。


内心と傍心の定義はこちら→三角形の五心の覚えておくべき性質まとめ

傍心は一見扱いにくいですが,内心とほぼ同様に扱うことができます。内心も傍心も角の2等分線の交点として定義されるので,ほとんど同じ性質を持っているのです。内心でできることは傍心でもできて,内心でできないことは傍心にもできません。

具体例として,内接円に関する重要な2つの性質が傍心の場合にどうなるのか考えてみます。

内心と内接円に関する重要な性質

以下の2つの性質は導出も含めて覚えておくべき重要な性質です。

内接円の性質

性質1:$S=\dfrac{1}{2}r(a+b+c)=rs$
性質2:$AF=AE=\dfrac{-a+b+c}{2}=s-a\\
BF=BD=\dfrac{a-b+c}{2}=s-b\\
CD=CE=\dfrac{a+b-c}{2}=s-c$

ただし,$D,E,F$ は内接円と各辺の接点,$S$ は△ $ABC$ の面積,$r$ は内接円の半径,$s=\dfrac{a+b+c}{2}$ です。

以下ではこの2つの性質を傍心に応用するとどうなるか考えてみます。

性質1を傍心に応用

傍心の性質

内心の場合に,性質1の導出の肝となるのは,面積に関して
△ $ABC$ =△ $IBC$ +△ $ICA$ +△ $IAB$
が成立するということでした。
傍心の場合も同じような性質が成立することを期待して,△ $I_AAB$,△ $I_ABC$,△ $I_ACA$ を眺めていると,
△ $ABC$ =ー△ $I_ABC$ +△ $I_ACA$ +△ $I_AAB$
が成立することが分かります。
あとは,内心の場合と全く同様にして以下の公式が導けます。

性質1’:$S=\dfrac{1}{2}r_A(-a+b+c)=r_A(s-a)$

ただし,傍接円の半径を $r_A$ とあらわしました。

性質2を傍心に応用

傍心の性質

内心の場合に,性質2の導出の肝となるのは,1点から円に引いた2本の接線の長さが等しいことでした:
$AF=AE, BD=BF, CD=CE$
(性質2の導出の詳細は,タンジェントの美しい関係式の後半あたり参照)

傍心の場合も上記の肝となる部分は同様に成立するので,内心の場合と同様に以下の性質が導けます:
$AF=c+BF\\
=c+BD\\
=c+a-CD\\
=a+c-CE\\
=a+c-(AE-b)\\
=a+b+c-AF$
よって,$AF=\dfrac{1}{2}(a+b+c)$
他の辺に関しても同様に導ける

性質2’:$AE=AF=\dfrac{1}{2}(a+b+c)=s\\
BF=BD=\dfrac{1}{2}(a+b-c)=s-c\\
CD=CE=\dfrac{1}{2}(a-b+c)=s-b$

上記の性質を組み合わせることで内心と傍心のより複雑な関係式を導くこともできます。
内心に関する性質は導出方法も含めて覚えておくべきですが,傍心に関する性質1’,性質2’は覚える必要はありません。「傍心は内心と同様に扱うことができる」と理解しておけば,傍心の性質は全て内心の場合から導出できるわけです。

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