2014/06/18

2009年APMO第2問の解説

分野: 難問・良問  レベル: 数学オリンピック

代数の面白い問題です:

問題

$a_1,a_2,a_3,a_4,a_5$ を以下の5つの方程式を満たす実数とする。
$\displaystyle\sum_{p=1}^5\dfrac{a_p}{k^2+p}=\dfrac{1}{k^2}\: (k=1,2\cdots,5)$
このとき,$M=\dfrac{a_1}{37}+\dfrac{a_2}{38}+\dfrac{a_3}{39}+\dfrac{a_4}{40}+\dfrac{a_5}{41}$ の値を求めよ。

方針

・5変数で独立な一次方程式が5つあるので $a_1$ から $a_5$ まで頑張れば求めることができます。しかし,猛烈な計算が必要になります。おそらく一時間くらいはかかります。(一時間かけてでも正解すれば儲けものですが,高確率で計算ミスします。)
求めるのは $a_1$ たちではなく,$M$ なので何かうまいやり方があるはずです。

  • 両辺の差を $f(k)$ とおくと,「 $k=1,2,3,4,5$ で $f(k)=0$ となる」とみなせます。よって因数定理が使えます。しかも,「 $f(6)$ を求めたらよい」と目標が簡単になりました。方程式たちを $k$ の関数と見るというのが一番の難所です。
  • 更に,$f(k)$ が $k^2$ のみの関数,つまり偶関数であることを利用して因数定理を用います。(第二の難所)

解答

解答

$f(k)=\displaystyle\sum_{p=1}^5\dfrac{a_p}{k^2+p}-\dfrac{1}{k^2}$ とおく。
$f(k)$ を通分すると,$f(k)=\dfrac{g(k)}{k^2(k^2+1)(k^2+2)(k^2+3)(k^2+4)(k^2+5)}\cdots(※)$ という形になる。(ただし,$g(k)$ は $10$ 次多項式)
ここで,$k=1,2,3,4,5$ で $f(k)=0$ つまり $g(k)=0$ なので,因数定理により $g(k)$ は$(k-1)(k-2)(k-3)(k-4)(k-5)$ を因数に持つ。
さらに,$g(k)$ は偶関数なので,$(k+1)(k+2)(k+3)(k+4)(k+5)$ を因数に持つ。

よって,$g(k)=A(k^2-1)(k^2-4)(k^2-9)(k^2-16)(k^2-25)$
となりあとは $A$ を求めればよい。
$※$の両辺を $k^2$ 倍して $k=0$ を代入すると,$-1=\dfrac{g(0)}{1\cdot 2\cdot 3\cdot 4\cdot 5}$
これより,$A=\dfrac{1}{120}$ が分かり $g(x)$ が求まった。
よって,求める値は,
$f(6)+\dfrac{1}{36}\\
=\dfrac{g(6)}{36\cdot 37\cdot 38\cdot 39\cdot 40\cdot 41}+\dfrac{1}{36}\\
=\dfrac{35\cdot 32\cdot 27\cdot 20\cdot 11}{120\cdot 36\cdot 37\cdot 38\cdot 39\cdot 40\cdot 41}+\dfrac{1}{36}\\
=\dfrac{187465}{6744582}$

発想は面白い問題ですが,最後の1行の計算がめんどくさすぎです!

Tag: 各地の数オリの過去問

分野: 難問・良問  レベル: 数学オリンピック