二次方程式における解と係数の関係

更新:19/04/14
分野: 方程式,恒等式  レベル: 基本公式

二次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解を $\alpha,\:\beta$ とおくと,
$\alpha+\beta=-\dfrac{b}{a},\:\alpha\beta=\dfrac{c}{a}$
が成立する。これを解と係数の関係と言う。

解と係数の関係の例

例えば,$2x^2+3x-5=0$ という二次方程式を考えてみます。$a=2,b=3,c=-5$ です。

この二次方程式には2つの解があります。それを $\alpha,\beta$ とおき,解と係数の関係を使うと,
$\alpha+\beta=-\dfrac{b}{a}=-\dfrac{3}{2}$
$\alpha\beta=\dfrac{c}{a}=-\dfrac{5}{2}$
となります。

このように,解と係数の関係を使えば,解 $\alpha,\beta$ を求めなくても,解の和や解の積を素早く計算することができます。

解と係数の関係の使い方1

例題

$x^2-2x+5=0$ の解を $\alpha,\:\beta$ とおくとき,$\alpha^2+\beta^2$ を求めよ。

解答

解と係数の関係より,$\alpha+\beta=2,\:\alpha\beta=5$
となり,基本対称式の値が求まった。よって,あとは目標の対称式 $\alpha^2+\beta^2$ を基本対称式で表せばよいので,
$\alpha^2+\beta^2\\
=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta\\
=2^2-2\cdot 5\\
=-6$
となる。

このように,解と係数の関係を使えば,方程式が与えられたときに,その方程式の解 $\alpha,\:\beta$ に関する対称式の値を計算することができます。

いろいろな対称式を基本対称式で表す方法はマスターしておきましょう。→対称式について覚えておくべき7つの公式

解と係数の関係の使い方2

例題

連立方程式 $u+v=3,\:u^2+v^2=7$ を解け。

解答

解と係数の関係を使うためにまずは基本対称式の値を求める。 $u+v$ は与えられているので $uv$ を求めに行く。
$u^2+v^2=(u+v)^2-2uv$ より,$uv=\dfrac{3^2-7}{2}=1$
よって,解と係数の関係より $u,\:v$ は以下の二次方程式の解となる:
$x^2-3x+1=0$
これを解くと,
$x=\dfrac{3\pm\sqrt{5}}{2}$
となるので求める解は,
$u=\dfrac{3+\sqrt{5}}{2},\:v=\dfrac{3-\sqrt{5}}{2}$
および $u$ と $v$ の値を交換したもの。

このように,解と係数の関係を使えば,対称式の値が $2$ 個指定された $2$ 個の変数を解に持つような $2$ 次方程式を構成できます。

解と係数の関係の使い方を2つ紹介しました。特に,2つ目の使い方は実践で見落としがちです。対称式を見たら,解と係数の関係を連想するようにしましょう。

なお,これら二つの使い方は一般の $n$ 次方程式でも使える重要な手法です。数学オリンピックではしばしば高次方程式の解と係数の関係,高次の対称式に関する問題が出題されます。

解と係数の関係の証明1

解と係数の関係:
$\alpha+\beta=-\dfrac{b}{a},\:\alpha\beta=\dfrac{c}{a}$
を証明してみましょう。二次方程式の解の公式を使って証明します。

証明

二次方程式の解の公式より,$\alpha=\dfrac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a},\:\beta=\dfrac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$
とおくことができるので,
$\alpha+\beta=\dfrac{-b-b}{2a}=-\dfrac{b}{a}$
$\alpha\beta=\dfrac{b^2-(b^2-4ac)}{4a^2}=\dfrac{c}{a}$
を得る。

解の公式で得られる解は汚いのに,和や積はきれいというのが素晴らしいです。

解と係数の関係の証明2

解と係数の関係の証明は,因数定理を使うことでもできます。

証明

二次方程式 $ax^2+bx+c=0$ が $x=\alpha,\:\beta$ を解に持つとき,因数定理より,定数 $A$ を用いて
$ax^2+bx+c\\
=A(x-\alpha)(x-\beta)$
とかける。

これを展開して係数を比較すると,
$a=A,\:b=-A(\alpha+\beta),\:c=A\alpha\beta$
よって,二つ目と三つ目の式から,解と係数の関係
$\alpha+\beta=-\dfrac{b}{a},\:\alpha\beta=\dfrac{c}{a}$
を得る。

2つの証明について

二次方程式の解と係数の関係を,2つの方法で証明しました。

1. 解の公式を使う方法
2. 因数定理を使う方法

実は,解と係数の関係は,3次以上の高次方程式の場合にも拡張できる美しい公式です。そして,1つめの証明方法では(二次方程式の場合には分かりやすいですが)三次方程式に拡張するのはかなり厳しいです。というのも,三次方程式には解の公式→カルダノの公式と例題がありますが,非常に複雑だからです。

そして五次以上の方程式では,解の公式は存在しませんが,解と係数の関係は存在します。つまり,1つめの方法では,一般の高次方程式の場合の解と係数の関係は証明できないのです。

一方,2つ目の方法なら,一般の高次方程式に拡張することができます。そのため,2つ目の証明方法をぜひ覚えておきましょう。

「解と係数の関係」は英語でVieta’s formulaといいます。

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