最終更新:2019/05/10

等周問題に関連する高校数学の問題

分野: 平面図形  レベル: 最難関大学

周の長さが一定である図形の中で面積が最大のものは円です。(等周定理)

等周定理の厳密な証明は少し大変なので,ここでは等周定理に関連して「対称性が高い図形は面積が大きい」というテーマで,高校数学で分かる性質をいくつか紹介します。

長方形の等周問題

まずは,高校数学の基本的な問題から始めてみます。

性質1:
周の長さが一定である長方形の中で,面積が最大のものは正方形。

これを証明してみましょう。

証明

周の長さを $2L$(定数)とする。
縦の長さを $x$ とすると,横の長さは $L-x$ なので,長方形の面積は
$S=x(L-x)$
となる。よって,この二次関数の最大化問題を考えれば良い。

平方完成すると,
$S=-x^2+Lx\\
=-\left(x-\dfrac{L}{2}\right)^2+\dfrac{L^2}{4}$
よって,$x=\dfrac{L}{2}$ のときに最大値 $\dfrac{L^2}{4}$ となる。

つまり,周の長さが一定である長方形の中で,面積が最大のものは正方形。

相加相乗平均の不等式を使って,
$x+(L-x)\geq 2\sqrt{x(L-x)}$
$L\geq 2\sqrt{S}$
(等号成立条件は $x=L-x$)
とすることもできます。

ちなみに,辺の長さの和が一定である直方体の中で,体積が最大になるものは立方体になることも分かります。

三角形の等周問題

次はもう少し難しいです。

性質2:
周の長さが一定である三角形の中で,面積が最大のものは正三角形。

証明方法はいくつかありますが,ここではヘロンの公式を使ってみます。

証明

三角形の周の長さを $2s$(定数),3辺の長さを $a,b,c$ とおくと,面積は,
$S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$
となる。

一方,相加相乗平均の不等式より,
$\dfrac{(s-a)+(s-b)+(s-c)}{3}\\
\geq\sqrt[3]{(s-a)(s-b)(s-c)}$

以上より,
$\dfrac{3s-2s}{3}\geq\sqrt[3]{\dfrac{S^2}{s}}$
$\dfrac{s^3}{27}\geq\dfrac{S^2}{s}$
$S^2\leq \dfrac{1}{27}s^4$
$S\leq \dfrac{1}{3\sqrt{3}}s^2$

等号成立条件は,$s-a=s-b=s-c$
つまり,正三角形の場合である。

四角形の等周問題

性質3:
周の長さが一定である四角形の中で,面積が最大のものは正方形。

性質1の拡張です。これも,ヘロンの公式の四角形版(※ブレートシュナイダーの公式)を認めれば,三角形の場合と同様に相加相乗平均の不等式を使って証明できます。

※ブレートシュナイダーの公式によると,面積は
$\sqrt{(s-a)(s-b)(s-c)(s-d)-abcd\cos^2\left(\dfrac{\theta}{2}\right)}$
ただし,$s=\dfrac{a+b+c+d}{2}$,$\theta$ は向かい合う2つの角の和。

正多角形について

周の長さが一定である $n$ 角形の中で,面積が最大のものは正 $n$ 角形であることが知られています。性質1や性質3の拡張です。厳密な証明は少し大変なのでここではしません。

ここでは,周の長さが $L$ で一定である正 $n$ 角形の面積 $S(n)$ は,$n$ に依存してどう変わるかを考えます。

正 $n$ 角形は,底辺が $\dfrac{L}{n}$ で高さが $\dfrac{L}{2}\div\tan\dfrac{\pi}{n}$ である三角形 $n$ 個の集まりとみなせるので,
$S(n)=\dfrac{L^2}{4n}\dfrac{1}{\tan\frac{\pi}{n}}\\
=\dfrac{L^2}{4\pi}\dfrac{\frac{\pi}{n}}{\tan\frac{\pi}{n}}$
となります。これより,

  • $S(n)$ は $n$ に関して単調増加(微分すると分かります)
  • $\displaystyle\lim_{n\to\infty}S(n)=\dfrac{L^2}{4\pi}$

であることが分かります。

一般の等周問題

長さが一定である閉曲線 $C$ の中で,$C$ が囲む面積が最大となるものは円である。

一般の場合の証明は大変です。

(閉曲線が微分可能な場合に限定した)証明が等周問題の下の方にあります。

性質1では2変数,性質2では3変数,性質3では4変数の相加相乗平均の不等式が出てくるのが楽しいです。