等差数列の和

等差数列

等差数列とは,同じ数ずつ増えていく(または減っていく)数の列のことです。

等差数列の意味

等差数列の基礎と和の公式についてわかりやすく説明します。

等差数列の例

4,7,10,13,164,7,10,13,16

33 ずつ増えていく等差数列です。

等差数列の例

等差数列において,最初の数を初項,増えていく一定値のことを公差,並んでいる個数を項数と言います。

4,7,10,13,164,7,10,13,16

初項が 44公差が 33項数が 55 である等差数列です。

練習問題1

以下の等差数列の初項公差項数を述べよ。

  • 1,2,3,4,5,61,2,3,4,5,6
  • 3,1,1,3,5,7,93,1,-1,-3,-5,-7,-9
解答
  • 1,2,3,4,5,61,2,3,4,5,6初項が 11公差が 11項数が 66 である等差数列。

  • 3,1,1,3,5,7,93,1,-1,-3,-5,-7,-9初項が 33公差が 2-2項数が 77 である等差数列。

等差数列の和

等差数列の和の公式

同じ数ずつ増える(減る)数たちの足し算は

(最初の数+最後の数)2×個数\dfrac{(最初の数+最後の数)}{2}\times個数

で計算できる。

例題1

4+7+10+13+164+7+10+13+16 を計算せよ。

証明

同じ数ずつ増える数たち(等差数列)の足し算である。

  • 最初の数は 44
  • 最後の数は 1616
  • 個数は 55

なので,公式を使うと (4+16)2×5=50\dfrac{(4+16)}{2}\times 5=50

等差数列の和の公式の証明

まずは具体例で,4+7+10+13+164+7+10+13+16 について考えてみます。

図を見てください。 等差数列の和の公式

4+7+10+13+164+7+10+13+16で2つ並べると,大きな長方形になります。

  • 長方形の縦の長さは (4+16)(4+16)
  • 横の長さは 55

よって,長方形の面積は (4+16)×5(4+16)\times 5 になります。結局求める足し算の答えは (4+16)×5÷2(4+16)\times 5\div 2 になります。

一般の場合も (最初の数+最後の数)2×個数\dfrac{(最初の数+最後の数)}{2}\times個数 になることがわかります。

和の公式の覚え方と練習問題

=(最初の数+最後の数)2×個数和=\dfrac{(最初の数+最後の数)}{2}\times個数
という公式について,

  • 平均値 最初の数+最後の数2\dfrac{最初の数+最後の数}{2} に個数 nn をかけたものと覚えるとおぼえやすいです。

  • 台形の面積公式:(上底+下底)×高さ÷2 と似ていることからも覚えやすいです。

  • あとは,多くの練習問題を解いて覚えましょう。

練習問題2
  • (1) 1+2+3+4+5+61+2+3+4+5+6 を計算せよ。
  • (2) 100100 以下の偶数の和を求めよ。
解答

(1) 最初=1=1,最後=6=6,個数=6=6 として等差数列の和の公式を使うと,
1+62×6=21\dfrac{1+6}{2}\times 6=21

(2) 2+4+6++1002+4+6+\cdots +100 を計算すればよい。
最初=2=2,最後=100=100,個数=50=50 として等差数列の和の公式を使うと,
2+1002×50=2550\dfrac{2+100}{2}\times 50=2550

等差数列の一般項

等差数列の一般項

等差数列において,初項を aa,公差を dd とすると,nn 番目の数ana_n

an=a+(n1)da_n=a+(n-1)d

と表せる。

4,7,10,13,16,...4,7,10,13,16,... という等差数列では,a=4,d=3a=4,d=3 なので nn 番目の数は
4+3(n1)4+3(n-1) つまり 3n+13n+1 と表せる。

例えば n=3n=3 とすると 3n+1=103n+1=10 である。たしかに3番目の数は 1010 になっている。

  • 等差数列では番号が1進むごとに数が dd 増えます。nn 番目は最初の数から「n1n-1 回だけ」dd 増えるので a+(n1)da+(n-1)d となります。
  • nn 番目の数 ana_nnn の式で表すことを「一般項を求める」と言います。
練習問題3

以下の等差数列の一般項を求めよ。

  • 1,2,3,4,5,6,...1,2,3,4,5,6,...
  • 3,1,1,3,5,7,9,...3,1,-1,-3,-5,-7,-9,...
解答
  • 1,2,3,4,5,6,...1,2,3,4,5,6,... は初項が a=1a=1 で公差が d=1d=1 なので,一般項は
    an=a+(n1)d=1+(n1)=na_n=a+(n-1)d=1+(n-1)=n

  • 3,1,1,3,5,7,93,1,-1,-3,-5,-7,-9 は初項が a=3a=3 で公差が d=2d=-2 なので,一般項は
    an=3+(n1)×(2)=2n+5a_n=3+(n-1)\times(-2)=-2n+5

補足

等差数列の和に関する2つの補足です。

和の公式の別の形

等差数列の和は (最初の数+最後の数)2×個数\dfrac{(最初の数+最後の数)}{2}\times個数

で計算できましたが。「最後の数」ではなく項数 nn を使って表す公式もあります。

等差数列の和の公式(nで表す)

初項が aa,公差が dd,項数が nn であるような等差数列の和は,

S=12n(2a+(n1)d)S=\dfrac{1}{2}n(2a+(n-1)d)

これは覚える必要はありません。和の公式 S=a+an2×nS=\dfrac{a+a_n}{2}\times n に,一般項の式 an=a+(n1)da_n=a+(n-1)d を代入するだけですぐに導けます。

例題2

初項が 44,公差が 33,項数が 66 であるような等差数列の和 SS を求めよ。

解答

和の公式 S=12n(2a+(n1)d)S=\dfrac{1}{2}n(2a+(n-1)d) において a=4,d=3,n=6a=4,d=3,n=6 とすると,S=62(8+5×3)=69S=\dfrac{6}{2}(8+5\times 3)=69

発展:自然数の和の公式

自然数の和の公式だけ覚えていれば等差数列の和の公式を瞬時に導出できます!

導出

S=a+(a+d)+(a+2d)++{a+(n1)d}S=a+(a+d)+(a+2d)+\cdots +\{a+(n-1)d\}

aa の部分と dd の部分に分ける:

S=na+d{1+2++(n1)}S=na+d\{1+2+\cdots +(n-1)\}

ここで,1+2++(n1)=n(n1)21+2+\cdots +(n-1)=\dfrac{n(n-1)}{2} である(→べき乗の和の公式,この公式は使う機会が非常に多いので絶対覚えて下さい)ので,S=na+nd2(n1)S=na+\dfrac{nd}{2}(n-1)

つまり,等差数列の和の公式は自然数の和の公式と似たようなもの(1次変換しただけ)というわけです。

教科書レベルの公式を解説するときも.教科書に載っていないような視点,ネタを提供できるように頑張りたいです。

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