底の変換公式の証明と例題

底の変換公式

底の変換公式

a,b,c>0a,b,c > 0a,c1a,c\neq 1 のとき

logab=logcblogca\log_a b=\dfrac{\log_c b}{\log_c a}

底の変換公式について,意味と証明を解説します。

底の変換公式とは

  • 対数 logab\log_a b について,aa の部分をと言います。
  • 底を aa ではなく cc に変換したい! という場合があります。
  • そんなときに使えるのが,以下の底の変換公式です:
    logab=logcblogca\log_a b=\dfrac{\log_c b}{\log_c a}
    左辺では底が aa ですが,右辺では cc に変換されています。
例題1

log48\log_4 8 の底を 22 に変換して計算せよ。

解答

a=4,b=8,c=2a=4,b=8,c=2 として底の変換公式を使うと,

log48=log28log24\log_4 8=\dfrac{\log_2 8}{\log_2 4}

となり底が 22 になった。log24=2\log_2 4=2log28=3\log_2 8=3 なので,右辺は 32\dfrac{3}{2} になる。

底の変換公式の証明

底の変換公式

logab=logcblogca\log_a b=\dfrac{\log_c b}{\log_c a}

を証明してみましょう。証明に使うのは,以下の2つです。

  • 対数の定義:
    logab\log_a b とは ad=ba^d=b を満たす dd のこと
  • 対数の性質:
    logcaX=Xlogca\log_c a^X=X\log_c a
証明

ad=ba^d=b を満たす実数 ddlogab\log_a b とする」というのが対数の定義であった。

つまり,alogab=ba^{\log_ab}=b が成立する。

両辺の対数を取る(底は cc )と,

logcalogab=logcb\log_c a^{\log_a b}=\log_c b

ここで,対数の性質: logcaX=Xlogca\log_c a^X=X\log_c a を用いて左辺を変形すると以下を得る。

logablogca=logcb\log_a b\log_c a=\log_c b

両辺を logca\log_c a で割ると底の変換公式を得る。

底の変換公式の使い方のコツ

  • 底の変換公式:logab=logcblogca\log_a b=\dfrac{\log_c b}{\log_c a}
    を使うと,対数の底を aa から cc に変換できます。そのため,底の変換公式は,対数の底をそろえるために使われます。

  • 底の決め方(いくつにそろえるか)で迷う人がいますが,後述の例題で見るように底はなんでもOKです。

底の変換公式を使う例題

例題

log48\log_4 8 を計算せよ。

解答

底の変換公式を使って底を 22 にするのがスタンダードな考え方。

log48=log28log24=log223log222=32\log_4 8=\dfrac{\log_2 8}{\log_2 4} =\dfrac{\log_2 2^3}{\log_2 2^2} =\dfrac{3}{2}

別解

底は 22 である必要はない。なんでもよい。

log48=logc8logc4=logc23logc22=3logc22logc2=32\log_4 8=\dfrac{\log_c 8}{\log_c 4} =\dfrac{\log_c 2^3}{\log_c 2^2} =\dfrac{3\log_c 2}{2\log_c 2} =\dfrac{3}{2}

注:慣れていれば普通に 432=84^{\frac{3}{2}}=8 より log48=32\log_4 8=\dfrac{3}{2},と一瞬で計算できます。

例題2

log35log57log79\log_3 5\log_5 7\log_7 9 を計算せよ。

解答

例えば底を 33 にそろえるのがスタンダードな考え方。

log35log57log79=log35log33log37log35log39log37=log39log33=2\log_3 5\log_5 7\log_7 9\\ =\dfrac{\log_3 5}{\log_3 3}\dfrac{\log_3 7}{\log_3 5}\dfrac{\log_3 9}{\log_3 7}\\ =\dfrac{\log_3 9}{\log_3 3}\\ =2

別解

底は 33 である必要はない。なんでもよい。

log35log57log79=logc5logc3logc7logc5logc9logc7=logc9logc3=logc32logc3=2logc3logc3=2\log_3 5\log_5 7\log_7 9\\ =\dfrac{\log_c 5}{\log_c 3}\dfrac{\log_c 7}{\log_c 5}\dfrac{\log_c 9}{\log_c 7}\\ =\dfrac{\log_c 9}{\log_c 3}\\ =\dfrac{\log_c 3^2}{\log_c 3}\\ =\dfrac{2\log_c 3}{\log_c 3}\\ =2

なお,覚えておきたい対数(log)の応用公式4点セットの公式(ii)を使えば一発で

log35log57log79=log39=2\log_3 5\log_5 7\log_7 9=\log_3 9=2 が分かります。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT19で,この記事の復習をしてみてください。

底の変換公式は,底の「aca\to c」という変換です。 cc がなんでも良いというのが面白いです。

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