放物線の準線・焦点と一般化

直線 ll と点 PP からの距離が等しい点の集合は放物線である。ll をこの放物線の準線PP焦点と呼ぶ。

軌跡に関する基本的な知識であり,二次曲線の基本的な公式でもあります。

前半は教科書レベル,後半はこの公式のある種の一般化です。

準線と焦点から放物線を導出

以下 p0p \neq 0 とします。

定理1

準線 l:x=pl:x=-p,焦点 P(p,0)P(p,0) に対して,準線と焦点からの距離が等しい点の集合は放物線 y2=4pxy^2=4px 全体となる。

証明

放物線

(X,Y)(X,Y) と準線の距離は,X+p|X+p|,焦点との距離は,(Xp)2+Y2\sqrt{(X-p)^2+Y^2} である。

これらが等しいことの必要十分条件は,

(X+p)2=(Xp)2+Y2 (X+p)^2=(X-p)^2+Y^2

である。これを整理すると,

Y2=4pX Y^2=4pX

となる。

「放物線の式」と「焦点,準線」の行き来

さきほどの結果は様々な言い換えができます。以下の公式を覚える必要はありませんが,さきほどの結果からすぐに導出できるようになっておきましょう。

  1. 放物線から準線と焦点を求める

放物線 y2=axy^2=ax の準線は x=a4x=-\dfrac{a}{4},焦点は (a4,0)\left( \dfrac{a}{4},0 \right) である。

  1. xxyy を交換

直線 y=py=-p と頂点 (0,p)(0,p) からの距離が等しい点の軌跡は,放物線:x2=4pyx^2=4py である。

  1. 以上2つの合体

放物線 x2=ayx^2=ay の準線は y=a4y=-\dfrac{a}{4},焦点は (0,a4)\left( 0,\dfrac{a}{4} \right) である。

円と直線に接する点の軌跡

軌跡に関するそれなりに有名な事実です!

定理2
  1. 直線 ll に接し,円 CC外接するような円の中心の軌跡は放物線である。

  2. 直線 ll に接し,円 CC を内側に含み,円 CC内接するような円の中心の軌跡は放物線である。

CC の半径をどんどん小さくしていき r0r\to 0 の極限を考えると冒頭の主張が得られます。すなわち,この定理2は冒頭の主張のある種の一般化になっています。

2も同様なので1だけ証明します。

証明(直接的な計算)

放物線の性質

l:y=0,C:x2+(ya)2=r2(a>0)l:y=0,\\C:x^2+(y-a)^2=r^2\:(a > 0)

とおいても一般性を失わない。

(X,Y)(X,Y) が求める軌跡上にある

    Y=X2+(Ya)2r\iff Y=\sqrt{X^2+(Y-a)^2}-r

rr を移項して両辺に二乗すると,(注:ここの変形は Y+r0Y+r\geq 0 のもとで必要十分)

2Yr+r2=X22aY+a2 2Yr+r^2=X^2-2aY+a^2

となり,整理すると

Y=X2+a2r22(a+r) Y=\dfrac{X^2+a^2-r^2}{2(a+r)}

となり,放物線上にあることが分かる。

注:上記で証明したのは厳密には必要条件のみですが,十分条件(軌跡が放物線 全体を動くこと)も簡単に確認できます。つまり,放物線上にあるとき Y+r0Y+r\geq 0 を言えばOKです。

定理1を用いて証明することもできます。

証明(焦点・準線を用いる方法)

焦点と準線

同じく,

l:y=0,C:x2+(ya)2=r2(a>0)l:y=0,\\C:x^2+(y-a)^2=r^2\:(a > 0)

とおいても一般性を失わない。図の青い直線 m:y=rm : y = -r を考えると,求める軌跡は,mm(0,a)(0,a) からの距離が等しい点の集合である。これは,定理1より放物線である!

これで定理2の証明は完了だが,実際に放物線の式を計算してみる。

図全体を yy 方向に a+r2a=ra2\dfrac{a+r}{2} - a = \dfrac{r-a}{2} 平行移動すると,放物線は (0,a+r2)\left( 0,\dfrac{a+r}{2} \right) を焦点,l:y=a+r2l' : y = -\dfrac{a+r}{2} を準線とする放物線に移る。

移った先の放物線の式は x2=4a+r2y x^2 = 4 \cdot \dfrac{a+r}{2} y すなわち y=12(a+r)x2 y = \dfrac{1}{2(a+r)} x^2 となる。

これを元に戻す(yy 方向に ar2\dfrac{a-r}{2} 平行移動する)ことで y=12(a+r)x2+ar2=x2+a2r22(a+r)\begin{aligned} y &= \dfrac{1}{2(a+r)} x^2 + \dfrac{a-r}{2}\\ &= \dfrac{x^2 + a^2 - r^2}{2(a+r)} \end{aligned} を得る。

軌跡の問題では十分性の確認を忘れやすいので注意しましょう。

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