ルーローの三角形と定幅図形

ルーローの三角形と定幅曲線について。意味や応用などを解説します。

ルーローの三角形とは

正三角形の各辺を円弧にして膨らませた図形(以下の3手順で構成される図形)をルーローの三角形と言います。

ルーローの三角形

  1. 一辺の長さが rr の正三角形 ABCABC を書く

  2. 各頂点を中心とし,半径が rr の円を書く

  3. 全ての円の内部にある領域(緑の部分)をルーローの三角形と呼ぶ

ルーローの三角形は「三角形」と名前がついていますが境界は曲線です。

なお,似たような方法でルーローの nn 角形(nn33 以上の奇数)も考えることができます。

定幅図形

ルーローの三角形の著しい性質として,定幅図形であることが挙げられます。定幅図形とは,その名の通り(どの方向から測っても)幅が一定である図形のことです。例えば円や球は定幅図形です。

特に,二次元の(閉曲線である)定幅図形を定幅曲線と言います。

ルーローの三角形はどの方向から測っても幅が rr であることは簡単に確認できます,上の図で確認してみてください!

定幅曲線の応用

・マンホール

定幅図形でないと「フタが外れたときに穴に落ちてしまう」のでマンホールには定幅図形を用いるのがよいという話は有名です。

(しかし実際は,四角形のマンホールもたくさんありますし,ルーローの三角形のマンホールは見かけない気がします)

ルーローの三角形の応用

・掃除機(お掃除ロボット)

ルーローの三角形は定幅図形だから隅々まで掃除できるというアイディアです。固定した正方形の中でルーローの三角形を回転させると(重心の位置は変化します)円の場合よりも効率よく掃除できそうです。ただし,正方形内を完全に掃くことはできません,端っこが少しだけ残ります。

他にもルーローの三角形は,正方形(に近い形の)の穴をあけるためのドリルやロータリーエンジンにも使われているようです。

バルビエの定理

定幅曲線に関する美しい定理です!

バルビエの定理

幅が一定の定幅曲線の長さは全て同じである。

半径 r2\dfrac{r}{2} の円および幅 rr のルーローの三角形はどちらも幅が rr の定幅曲線だが,その周の長さはどちらも πr\pi r である。

円→ 2π×r2=πr2\pi \times\dfrac{r}{2}=\pi r

ルーローの三角形→ 2πr×16×3=πr2\pi r\times \dfrac{1}{6}\times 3=\pi r

なお,バルビエの定理の証明には簡単な微分幾何が必要なので割愛します。

図の端っこが微妙に汚いのはご容赦くださいm(__)m

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