連立方程式の発展的な解き方(検算テクニック)

一次連立方程式は代入法,加減法のいずれでも解けるが,クラメルの公式でも解ける。検算用に覚えておくとよい。

二元一次連立方程式

この記事では,単純な二元一次連立方程式を考えます:

具体例: {2x3y=14x5y=3\left\{ \, \begin{aligned} & 2x-3y=1\\ & 4x-5y=3 \end{aligned} \right.

一般形: {ax+by=pcx+dy=q\left\{ \, \begin{aligned} & ax+by=p\\ & cx+dy=q \end{aligned} \right.

実戦では,代入法または加減法で素早く解いて,もとの方程式に代入して成立することの確認&クラメルの公式で検算するというのがオススメです。

代入法と加減法については有名で教科書にも載っていますが,クラメルの公式を使っている中高生は少ないです。

クラメルの公式

一般の二元一次連立方程式の解を丸暗記する方法です。クラメルの公式,クラメールの方法などと呼ばれます。

クラメルの公式(二元の場合)

adbc0ad-bc\neq 0 のとき,連立方程式: {ax+by=pcx+dy=q\left\{ \, \begin{aligned} & ax+by=p\\ & cx+dy=q \end{aligned} \right. の解は,

x=pdbqadbc,y=aqpcadbcx=\dfrac{pd-bq}{ad-bc},\:y=\dfrac{aq-pc}{ad-bc}

連立方程式: {2x3y=14x5y=3\left\{ \, \begin{aligned} & 2x-3y=1\\ & 4x-5y=3 \end{aligned} \right. の解はクラメルの公式より,

x=1(5)(3)32(5)(3)4=2y=23142(5)(3)4=1x=\dfrac{1\cdot (-5)-(-3)\cdot 3}{2\cdot (-5)-(-3)\cdot 4}=2\\y=\dfrac{2\cdot 3-1\cdot 4}{2\cdot (-5)-(-3)\cdot 4}=1

  • クラメルの公式の証明は,もとの方程式に代入して成立していることを確認するだけです。計算練習にどうぞ。
  • adbc=0ad-bc=0 のときは解が無数にある or 解が存在しないという特殊な場合になります。
  • やや複雑で覚えるの大変そうですが,実は綺麗な構造を持っています。慣れたら代入法,加減法よりも(多くの場合)素早く解くことができます。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT69では,連立方程式の3通りの解き方と計算ミスをしないためのコツも紹介しています。

クラメルの公式の覚え方

  • adbcad-bc という量が重要。 xxyy の分母にはこの量が来る。
  • xx の分子は adbcad-bcaapp に,ccqq に変えたもの。
  • yy の分子は adbcad-bcbbpp に,ddqq に変えたもの。

ということが分かります。

よって,abcd=adbc\begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix}=ad-bc (実は行列式と呼ばれる量です)とおくと,

x=pbqdabcd,y=apcqabcdx=\dfrac{\begin{vmatrix} p & b \\ q & d \end{vmatrix}}{\begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix}},\:y=\dfrac{\begin{vmatrix} a & p \\ c & q \end{vmatrix}}{\begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix}}

と表せます。この形なら覚えやすいですね。

多変数に向けて

代入法・加減法・クラメルの公式は,いずれも三元以上の場合にも適用(拡張)できます。

三元以上のクラメルの公式は,クラメルの公式の具体例と証明で紹介しています。行列式という量が出てきて非常に美しいです。 →行列式の3つの定義と意味

ただし,三元以上の場合は行列式の計算がかなり大変なため実戦向きではありません。

連立方程式は計算ミスしやすいので検算が不可欠です。

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