最終更新:2019/05/03

二項定理の意味と2通りの証明

分野: 場合の数  レベル: 基本公式

二項定理とは,$n$ 乗の式を展開するための以下のような公式のこと:
$(a+b)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^kb^{n-k}$

二項定理は見た目が少し複雑ですが,慣れてしまえば難しくありません。二項定理の意味と,二項定理の2通りの証明を解説します。

二項定理の意味

二項定理は,
「$(a+b)^n$ を展開したときの各項の係数は,${}_{n}\mathrm{C}_k$ になる」
という定理です。

例えば,二項定理で $n=3$ の場合を書き下してみると,
$(a+b)^3=\displaystyle\sum_{k=0}^3{}_3\mathrm{C}_ka^kb^{3-k}\\
={}_3\mathrm{C}_0a^3+{}_3\mathrm{C}_1a^2b+{}_3\mathrm{C}_2ab^2+{}_3\mathrm{C}_3b^3$

となります。

二項定理を理解するために必要な知識

$\displaystyle\sum_{k=0}^n$ とは「$k$ に $0$ から $n$ まで順番に代入して足し算する」という意味です。

また,${}_n\mathrm{C}_k$ とは,$n$ 個から $k$ 個を選ぶ組合せの数(二項係数)です。

二項定理の例題

$(a+b)^5$ を展開したときの $a^2b^3$ の係数を計算せよ。

二項定理より,
$(a+b)^5=\displaystyle\sum_{k=0}^5{}_5\mathrm{C}_ka^kb^{5-k}$
となる。よって,$a^2b^3$ が現れる項は $k=2$ の部分であり,係数は
${}_5\mathrm{C}_2=\dfrac{5\cdot 4}{2\cdot 1}=10$

例2

$(2x-y)^6$ を展開したときの $x^3y^3$ の係数を計算せよ。

二項定理より,
$(2x-y)^6=\displaystyle\sum_{k=0}^6{}_6\mathrm{C}_k(2x)^k(-y)^{6-k}$
となる。よって,$x^3y^3$ が現れる項は $k=3$ の部分であり,係数は
${}_6\mathrm{C}_32^3(-1)^3=-160$

二項定理の頻出形

二項定理で,$a=x,b=1$ としたバージョン:
$(1+x)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_kx^{k}$
も頻出です。

ちなみに,上式は二項定理の特殊ケースに見えますが,こちらからもとのバージョンを導出することもできます($x=\dfrac{a}{b}$ とおいて両辺に $b^n$ をかける)。

例3

$(1+x)^{100}$ を展開したときの $x^2$ の係数を計算せよ。

答えは,${}_{100}\mathrm{C}_2=\dfrac{100\cdot 99}{2}=4950$

二項定理の証明1

教科書にも載っている定番の方法です。組合せの議論を用います。

二項定理の証明

証明

$n=3$ の場合を図に示す。
$(a+b)^n$ を展開したときに出てくる1つの項は,
「$a$ と $b$ のうちどちらかを選ぶ」という操作を各カッコに対して行い,選んだものを全てかけあわせたもの。このようにして出てくる項を全て($2^n$ 個)足し合わせると展開式が得られる。

よって,展開後は $a^{k}b^{n-k}$ というタイプの項のみが存在し,その係数は ${}_n\mathrm{C}_k$($n$ 個のうちどの $k$ 個のかっこから $a$ を選ぶのかで${}_n\mathrm{C}_k$ 通り)である。

ちなみに,${}_n\mathrm{C}_k={}_n\mathrm{C}_{n-k}$ なので,二項定理を
$(a+b)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_n\mathrm{C}_ka^{n-k}b^{k}$ と書いてもOKです。

二項定理の証明2

教科書には載っていませんが,二項定理を数学的帰納法で証明することもできます。「任意の自然数に対して〜を証明せよ」というタイプの問題で困ったら帰納法にトライです。
→数学的帰納法のパターンまとめ

証明

・ $n=1$ のとき成立。

・ $n=m-1$ のとき二項定理が成立していると仮定する:
$(a+b)^{m-1}=\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k}$
両辺に$(a+b)$ をかける:
$(a+b)^{m}=(a+b)\left(\displaystyle\sum_{k=0}^{m-1}{}_{m-1}\mathrm{C}_ka^{k}b^{m-1-k}\right)$

右辺を展開したときには $a^kb^{m-k}$ というタイプの項のみが登場し,その係数は ${}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1}$

ここで,二項係数の公式より ${}_{m-1}\mathrm{C}_k+{}_{m-1}\mathrm{C}_{k-1}={}_{m}\mathrm{C}_k$ なので $n=m$ のときにも二項定理が成立することが分かった。

最後に用いた二項係数の公式は二項係数の有名公式を2つの方法で導くで解説しています。

2つの証明のうちどちらが分かりやすいかは人による気がしますが,ぜひ両方とも理解してください。

帰納法は泥臭い最後の手段だから推奨しないという方もいますし,帰納法が大好きな友人もいます。僕は中立派。

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